住宅ローンが払えないとどうなる?滞納の予防策までFPが徹底紹介

「住宅ローンの支払いが、最近ちょっときつい・・・」
「住宅ローンが払えないと、どうなるんだろう?」
「少しでも支払いが遅れたら、家はすぐ手放さなきゃいけないの??

この記事にお読みになっている方は、上記のような不安をお持ちなのではないでしょうか。

住宅ローンが払えず返済を滞納してしまっている、という状況は、一刻も早く改善すべき問題です。

ですが、それが起こった原因や対策を知らないまま行動しても、有効な解決にならない可能性があります。

そこで本コラムでは、住宅ローンの支払いに不安を持っている方や、滞納が心配という方向けに、住宅ローンが払えないと何が起こるのか、何が原因なのかを解説した上で、このような事態を起こさないための対策をまとめました。

最悪の事態を回避するためにも、住宅ローンの支払いに少しでも不安があるなら、ぜひ参考にしてください。

1. 住宅ローンが払えない時に起こること

1章ではまず、住宅ローンが払えなくなり返済を滞納してしまった時に、どんなことが起こるかを確認していきます。

住宅ローンを払えなくなると、大まかに以下の3つのステップを経て、自宅を手放さざるを得なくなります。

  • 金融機関から返済の督促状や催告書が届く
  • 自宅が競売にかけられる
  • 競売の落札後も居座り続けると強制退去

1-1. 金融機関から返済の督促状や催告書が届く

住宅ローンの返済を滞納すると、まず金融機関から督促状や催告書が届きます。

金融機関は最初は通知書を送り、期限日までに支払いがない場合は、督促状が送られます。
督促状を放置すると、金融機関はより強硬的な対応を取ることになりますので、できるだけ早めの対応が重要です。

一般的に3ヶ月~6か月以上の滞納が続くと催告書が送られ、これに応じなければ期限の利益」を失うことになります。

期限の利益とは、借りたお金は期日までに返済すればいいという権利のことです。
これがあるので、住宅ローンは分割での返済で可能となっています。この「期限の利益」を失うと、一括返済を求められることになります。

この段階になると、住宅ローンの債権は、銀行の子会社等で組織している債権管理会社か債権回収会社へ移行されることになります。
ここまでくると、一括返済できない場合には自宅差押え→競売手続きに入ってしまう可能性が高くなります。

また債権が債権管理会社か債権回収会社へ移行されてしまうと個人信用情報に「異動」の記載がされてしまいます。その情報が消えるまでは、新しいローンが借りられない、クレジットカードの発行が難しくなるなどのデメリットも発生します。

したがって、債権が異動されてしまう前に、金融機関と相談することが重要、と言えるでしょう。

1-2. 自宅の競売情報が一般公開され入札が始まる

その後も住宅ローンの滞納が続くと、自宅が競売にかけられることになります。

競売手続きに入ってしまうと、

  • 裁判所から競売開始決定通知書が届く
  • 裁判所が現地調査を行い、現況調査通知書が届く
  • 自宅の競売情報が一般公開されて入札が始まる

という流れで進みます。

競売は、一般的な売却よりも成約価格がかなり低くなるデメリットがあります。

そのため、金融機関と相談の上、競売ではなく任意売却(一般ルートで売却)して返済計画を立てるという方法もあります。
任意売却ができれば、売却資金で多くの残債が消せる可能性があるのです。

また最近では「リースバック」という手法も出てきています。

これは、

  1. 一時的に業者に住居を売却
  2. 売却資金で金融機関のローンを返済
  3. 住居を買い取ってもらった業者に家賃を支払って住み続ける
  4. 購入資金がつくれたら買い戻す

という手法です。リースバックは金融機関が取り扱っていることもあります。

つまり競売が始まる前に、とにかく金融機関と相談することが重要です。

1-3. 競売の落札後も居座り続けると強制退去

競売によって自宅が落札された場合、所有権移転登記が行われ、自宅の所有権が落札者に移ります。

その後、引渡命令が裁判所から出されますが、もし所有権移転後も居座り続けると、強制退去になります。

そのため早めに新しい暮らしの場所を探すことが必要です。

2. 「住宅ローンを払えない」が起こる3つの原因

住宅ローンを払えず滞納しつづけるとどうなるかは、お分かりいただけたかと思います。

では「住宅ローンを払えない」という事態は、なぜ起こってしまうのでしょうか。主な原因を3つ解説します。

2-1. 収入が下がる

住宅ローンが払えなくなる原因の一つ目は、収入が下がることです。

住宅ローンの借り入れ時には安定した収入が前提とされていますが、予期しない状況で収入が減ることがあります。住宅ローンは35年という長期間の返済が続きますので、予期しない状況が起こるのは、決してありえないことではないと思います

例えば、

  • 会社都合の退職・失業
  • 離婚
  • 転職
  • 病気や怪我による休職
  • 自営業の事業不振による売上減
  • ボーナスが支給されない
  • 予定していた昇給・昇格が見込めなくなる

などが考えられます。

当初の返済計画が立てられなくなる場合には、ファイナンシャルプランナーに今後の資金計画を相談する、金融機関と相談して返済方法の変更や期間の延長を検討するなど、早めの対策が重要です。

また、そもそも収入が減るリスクを考慮した上で借入することも大切です。

2-2. 他の支出が増える

住宅ローンが払えなくなる原因の二つ目は、他の支出が増えることです。

例えば、子供のための支出が挙げられます。
子供の成長とともに食費や生活費は増えますし、教育費や学費も増えることは予想されます。

小学校、中学校、高校と進むごとに、授業料やその他の費用もかかってくるでしょう。

  • 公立を想定していたけれど、私立に進学した
  • 自宅から通わせるつもりだったが、一人暮らしが必要になった

など、子供も希望進路をかなえるために、教育資金の想定が大きく変わることはよくあります。

他にも、

  • 予期せぬ事故や怪我
  • 病気による治療費
  • 親の介護費用

などの突発的な出費がかかることも考えられます。

上記以外にも、収入に見合わない生活を送ると、生活費や食費・光熱費・通信費の増加もありますので、計画的に資産形成や返済を進めることが重要です。

2-3. 金利上昇によって返済額が増える

変動金利や固定期間選択型の住宅ローンの場合、金利の上昇により月々の返済額が増えることがあります。

想定より大幅に金利が上昇してしまった場合には、金利上昇により月々の支払額が増え、住宅ローンが払えなくなり、滞納してしまうリスクもあると言えます。

一般的な変動金利の住宅ローンのように5年間は返済額に変更がないというルールや返済額の上昇も125%までというルールがあれば、返済額の急激な上昇は抑えられるでしょう。ですが、これらのルールはあくまで一時的な急激な返済額増を和らげるための仕組みであり、代わりに元金の返済が遅れる可能性があります。すると、その時は大丈夫でも、将来また同じ状況になることも考えられるので注意が必要です。

3. 「住宅ローンを払えない」をそもそも起こさない3つの予防策

住宅ローンを払えない原因である、収入減・支出増・金利upは、外部的な要因によって起こると言えるかもしれません。

ですが「住宅ローンを払えない」を起こさないための予防策もあります。その方法を3つご紹介します。

3-1. 自分が返せる金額以上の借入をしない

まず大事なのは「自分が返せる金額以上の借入をしない」ことです。

住宅を購入する際には住宅ローンを利用される方がほとんどですが、実は、金融機関から借りられる金額は、あなたが返せる金額ではない可能性があるのです。

この違いをしっかりと把握しておくことが大切です。

「この金利までなら月々の支払いはなんとかできそう…」といって、借入額を上げてしまうことは避けましょう。

大事なのは、直近の支払い可能額だけで考えるのではなく、老後までみすえた長期の資金計画を立てて検討することです。変動金利を選択した場合は、金利が上昇することの想定も重要です。

当たり前ですが自分が返せる金額以上の借入をしないことが、住宅購入において安心して返済に取り組むことができる秘訣です。

自分で長期の資金計画を立てられない場合は、ファイナンシャルプランナーなどお金のプロに計画を立ててもらうことをおすすめします。

こちらの記事では「金融機関から借りられる金額≠自分が返せる金額」となってしまう理由や、借りていいローン金額の考え方などを解説しています。ぜひこちらも参考にしてください。

3-2. 金利上昇しても問題なく返済を続けられるように貯蓄しておく

変動金利の場合、金利上昇によって月々の返済額が増える可能性があります。そのため、問題なく返済を続けられるように、長期のキャッシュフローを考慮しておくことが重要です。

住宅ローンを組む際、今後金利が上がらないという保証はありません。
政策や経済情勢によって変動する金利は、注意が必要なのです。

まずは、月々の返済額を差し引いてプラスアルファの余裕を持った金額を継続して貯められるように計画しましょう。
併せて、継続した資産形成の仕組みを作ることで、金利上昇しても問題なく返済を続けられる安心感を持つことができます。

弊社に相談にくるお客様も、

「住宅ローンの金利上昇は不安だけど、金利の安い変動金利型がいい」

というお客様が圧倒的に多いです。

全期間固定金利型の住宅ローンと比べれば、借入額にもよりますが、月額1万円~3万円ほど返済額に差が出ることになり、その気持ちはよくわかります。

そんな時にどうアドバイスするかというと、まず金利の予測はプロでも難しいということをお伝えします。その上で、

  • 将来的に金利上昇による返済額の上昇があったとしても、年間の収支に余力がある
  • 借入前に、金利上昇リスクを吸収できる資金計画が作れる

こういったポイントをクリアできるご家庭であれば、住宅ローンは変動金利で組んでも大丈夫というゴーサインを出しています。

3-3. 全期間固定金利タイプの住宅ローンにする

全期間固定金利タイプの住宅ローンは、全期間金利が変わらないため、返済額も一定で安心です。

代表的な商品としては、「フラット35」があります。

住宅ローンを組む際には金利の動向を考慮することが大切ですが、金利の動向は簡単には予測ができません。
その点、全期間固定金利ローンは、金利が変動しないため返済計画が立てやすく、金利上昇リスクを回避できるのです。

ただ、全期間固定金利タイプのローンは、金利が上昇リスクを回避できる一方で、変動金利よりも金利が高く、月々の返済額は高くなりがちです。

そのため、住宅ローンを選ぶ際は、自身のライフスタイルや金利動向を考慮したうえで、変動金利も踏まえたうえで自分にあった最適な選択を検討することが大切です。

こちらの記事では、全期間固定金利型の住宅ローンのメリット・デメリットをさらに詳しく解説した上で、固定金利がおすすめな人はどんな人かなどを解説しています。ぜひ参考にしてください。

4. 「住宅ローンを払えない」が起こりそうな時にやるべきこと

「ちょっと月々の支払いがきつくなってきた」「このままだと住宅ローンを払えなくなるかも…」という不安が出てきたら、まずは本章で紹介する、次の5つの方法に取り組んでみてください。

一番良くないのは、不安から逃げるために見て見ぬふりをしてしまうことです。
取り返しのつかない事態になる前に、相談や解決策の検討を行いましょう。

4-1. ファイナンシャルプランナーに相談して収支の見直しをする

住宅ローンの返済が厳しくなった場合、まずはファイナンシャルプランナー(FP)に相談することがおすすめです。

ローン返済に関する専門的な知識を持っているFPであれば、現在の状況や滞納の理由を確認・整理した上で、収支の見直しなど具体的な対策を提案してくれます。

特に、良いFPからの提案は、現状解決だけに留まりません

もちろん目先は、「住宅ローンを払えない」状況を改善するのが最優先ではあります。
ですが良いFPからの提案はその先の、子の教育費や老後資金の準備など、あなたが思い描く将来の生活像なども考慮した上で「これからどのようにしていくのが良いか」までを示してくれるのです。

これは、相談者のライフプランを重視する、FPが得意とする分野です。
(※ライフプランとは、これからの人生において、いつ、どんなライフイベントあるか、必要な費用はどのくらいか等を盛り込んだ人生計画のこと。)

時には厳しいことを言われるかもしれませんが、住宅ローンの返済の不安解消だけでなく、ご家族で安心して過ごしていくためにも、FPへの相談は積極的に活用していくことをおすすめします。

こちらの記事では、良いファイナンシャルプランナーとはどんな存在なのか、どのように探せばいいのか等のトピックを取り上げています。FPへの相談について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

4-2. 金融機関に返済条件等の相談をする

金融機関に返済条件等の相談をするのも有効です。

金融機関としても、ローンが返ってこない事態は最も避けたいと考えています。
それを回避できるのであれば、金融機関としても、以下のような返済条件の見直しを検討してくれます。

  • 返済期間の延長
  • 金利の引き下げ(月々の返済額の引き下げ)
  • 支払いの猶予期間の設定

ただしこちらとしても、現在の状況を整理して伝え、「条件変更してもらえれば、住宅ローンをきちんと返せる」という計画を示す必要があることに注意です。

そのためにも事前に、現在の収支状況や金利条件、返済状況等を把握しましょう。
また相談に行く際には、収入証明書や税金証明書、住宅ローンの契約書などを持参しましょう。

そして相談は早めに行い、一度では解決しない場合も複数回相談して状況を改善していきましょう。

4-3. 住宅ローンの借り換えを検討する

住宅ローンの返済負担を軽減する方法の一つとして、借り換えがあります。

借り換えとは、現在の金融機関から別の金融機関の住宅ローンに切り替えることです。
これにより、金利や返済期間などの条件を改善し、返済負担を軽くできる可能性があります。

ただし借り換えをする際の注意点としては、以下が挙げられます。

  • 費用が掛かる
  • 必ず条件が改善するとは限らない
  • 目的を間違えると効果がない

また、住宅ローンが払えない状況を改善したいなら、総支払額がお得になるよりも、月々の返済額のコントロールができるようになることを重視して借り換えを考えましょう。

こちらの記事では、住宅ローン借り換えの主な注意点と対策をまとめて解説しています。注意点を知っておくことは、借り換えを検討する上で非常に重要なポイントなので、ぜひご確認ください。

4-4. 団信の適用対象にならないか確認する

もし住宅ローンが払えない原因が健康上の理由の場合には、ご自身の団体信用生命保険(団信)の適用対象かを確認してみてください。

最近の住宅ローンは、団信の内容が多様化し、カバー範囲が広くなっています。
以前の主な適用範囲は、死亡や高度障害(失明や四肢の欠損等で日常生活が困難な状態)になった場合だけでした。

しかし現在では、

  • ガンと診断された場合
  • 三大疾病と診断された場合
  • 長期入院した場合
  • 障害認定された場合

などのケースでも団信が適用され、住宅ローンの支払いが免除されるようになってきました。

健康上の理由が原因であれば、ご自身の団信の適用対象か確認してみるのは、一考の余地があると思います。

4-5. 住み替えして住宅ローンの返済額を下げる

住宅ローンの返済額が重荷に感じる場合、住み替えを検討することで返済額を下げることも可能です。

より低価格な物件に住み替えすることで、

  • 借入金額が下がる
  • 住宅ローンを新しく借りるので返済期間が延びる

などができるので、返済額の負担の軽減が期待できます。

特に、新しい住宅ローンの返済額を減らすのが目的であれば、購入する物件の価格を抑えることが重要です。

ただし住み替えに伴う手続きや費用、環境の変化も考慮する必要がありますので、慎重に検討しましょう。

5. まとめ

住宅ローンの支払いは35年もの長期間に及ぶため、借りる時も入念な計画づくりが必要であり、借りた後もしっかりと返済計画を考えていくことが重要です。

ですが様々な見通しが不透明な現代において、ひとりの力や知識では、万全な対応をするのが難しいことは多々あります。

そのような時は、お気軽に当社FPバンクへご連絡ください。

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