マイホームの購入を検討していて住宅ローンについて調べていると、住宅ローンの「事前審査」という言葉が出てきた・・・。
「住宅ローンの事前審査って何だろう?」
「事前審査にはどんな準備が必要なの?」
「事前審査の次は?もし落ちたらどうなる?」
と、わからないことだらけで本コラムにたどり着いた、という方も多いのではないでしょうか。
通常、住宅ローンには事前審査と本審査という二段階の審査があり、事前審査とは文字通り本審査の事前に行う審査で、比較的簡易な審査になります。
特に最近ではネット銀行の台頭もあり、事前審査は簡単に申請できるようになっています。
しかし、そうは言っても、事前審査はやみくもに申請すべきではないというのが本コラムの見解です。
簡易な事前審査とはいえ審査は審査であるため、やみくもに事前審査を申請してしまうと、後の本審査や住宅ローンの借入条件が不利になってしまうことがあるのです。
そうならないためにも、実際に事前審査を申請する前に、事前審査の流れや注意点について、しっかり確認しておきましょう。
本コラムをご覧いただくことで、次のことがわかるようになります。
本コラムをご覧いただき、住宅ローンの事前審査についての理解が深まることで、マイホーム購入の第一歩を踏み出せるようになるでしょう。
1. 住宅ローンの事前審査とは
住宅ローンの事前審査とは、一言で言えば、本審査の前に行われる簡易的な審査という位置づけになります。
一般的に住宅ローンの審査には、事前審査と本審査の二段階があります。
より重視されるのは本審査であり、事前審査は、本審査の前に行われる、比較的簡易な審査です。
しかしそうはいっても、あくまでも住宅ローンの審査の過程であることに変わりはありません。
事前審査の申請次第で、後の本審査、ひいては住宅ローンの借入条件を左右することになることは言うまでもありません。
そこで、本章では、住宅ローンの事前審査の概要やポイント、事前審査では金融機関はどんな点に注目しているのか、といったことについて解説していきます。
1-1. 本審査の前に行われる事前チェック
住宅ローンの事前審査は、本格的な審査に進む前に金融機関が行う事前のチェックです。
事前に審査を受けることで、借入可能額の目安を把握できます。
住宅購入はスピードも問われます。「欲しい」と思う物件が見つかったとき、他の誰かに先を越されないためにも、あらかじめ事前審査を通しておくことで、他の購入希望者よりも一歩リードできるでしょう。
1-2. 個人信用情報と収入を審査されることが多い
事前審査では、住宅ローンの返済がちゃんとできるかどうかを確認するために、個人信用情報と収入に焦点を当てて審査が行われます。
個人信用情報の審査は、例えば、以前のカード支払いや借入の返済に延滞の有無などが確認され、延滞があれば審査は不利に働きます。
また、希望する借入額の妥当性を判断するために、収入も審査でみていきます。
このように、住宅ローンの事前審査は、金融機関は住宅ローンを融資しても問題ない信用できる人か、融資後の返済も問題なくできる見込みのある人か、ということを簡易的に確認するための審査です。
1-3. 結果が出るまでの日数は3日~1週間程度
住宅ローンの事前審査結果が出るまでの日数は、通常3日~1週間程度とされています。
ただし、金融機関や申込み状況によっては、もう少し時間がかかる場合もあります。
たとえば、ペアローンといって、夫婦で住宅ローンを組む場合です。ペアローンの場合は、夫婦それぞれで審査するため、単独の住宅ローンと比べると審査結果の回答にやや時間を要する傾向にあります。
一方、単独のローンやネット銀行の事前審査の結果は翌日、早い場合は即日ということもあります。
このように、金融機関や申込み状況によって審査結果が出るまでの日数は異なりますが、事前審査を受ける際は、余裕を持って手続きを行うことが望ましいです。
1-4. 物件が決まっていなくても申し込める
住宅ローンの事前審査では、物件が決まっていなくても申し込むことが可能です。
住宅ローンの本審査(事前審査可決後の審査)では担保評価が行われるため、その際には物件が決まっていることが前提です。
ですが、事前審査では基本的に担保評価のチェックはあまり厳密に行わないので、物件は仮でも良いのです。
希望する物件の種類や広さ、価格帯に近しい金額で、審査を進めることができます。
事前審査の結果が出た後に、希望に沿った物件を見つけることができれば、住宅ローンの手続きをスムーズに進めることができます。
1-5. 複数の金融機関に申し込みできる
住宅ローンの事前審査は、複数の金融機関への申し込みが可能です。
事前審査を複数の金融機関で行う理由は、金利等、融資の条件が異なるためです。
自分にとって最適な条件を見つけるためにも、複数の機関に申し込むことがおすすめです。
ただし、複数の金融機関に申し込む場合は、それぞれの機関で別々に申請が必要です。
事前審査を複数の金融機関に申し込むのは手間がかかりますが、希望先が通らなかった場合の選択肢が広がります。
とは言え、出し過ぎるのは良くありませんので、その点は要注意と言えます。
(詳細は「4-2. 事前審査を出し過ぎると不利になる可能性がある」にて解説しています)
事前審査を通じて、自分に最適な住宅ローンを見つけ、快適な住まいを手に入れることができます。
2. 住宅ローンの事前審査で用意するもの
住宅ローンの事前審査の申請で、一般的に必要になるもの、用意すべきものは次の4点です。
- 事前審査申込書
- 本人確認書類
- 収入が確認できる書類
- 物件が確認できる書類
まず、事前審査申込書ですが、これは金融機関ごとに専用の書式が用意されているため、指定のものを使用します。
次に運転免許証や健康保険証、パスポートといった、本人確認書類が必要となります。
また、収入が確認できる書類も必要です。これには源泉徴収票や、給与明細、所得証明書などが含まれます。
さらに、物件が確認できる書類も準備が求められます。物件チラシや、不動産会社から提供される物件概要書などが該当します。購入希望の物件が確定している場合は、物件の詳細が分かる資料を揃えておくことが重要です。
以上4点が、一般的に事前審査で用意が必要になる書類です。
ただし、最近はネット銀行で住宅ローンの事前審査を申請する方も増えてきており、ネット銀行の事前審査では、上記書類の用意は必須でない場合もあります。とはいえ、ネット銀行でも事前審査の申請の際には、収入や物件の情報をWebで入力していくため、可能な限り、手元に用意しておいた方が望ましいでしょう。
3. 住宅ローンの事前審査で落ちる4つの原因と対策
住宅ローンの事前審査で落ちる(否決になってしまう)原因は様々ありますが、本章では、その代表的なケースを4つ紹介します。
このような状況に該当するという方は、比較的住宅ローンの事前審査は通りにくいでしょう。しかし、だからといって住宅ローンの事前審査が絶対通らない、というわけではありません。
では、上記に該当するという方は、どうすればよいのでしょうか。その対策とともに、本章では解説していきます。
なお本章では一般的な住宅ローンを想定していますが、こちらの記事では、全期間固定金利タイプのフラット35に限定して解説しています。特に固定金利を検討している方は、参考にしてください。
3-1. 個人信用情報に傷がある
住宅ローンの事前審査で落ちる原因の一つに、個人信用情報に傷があることが挙げられます。
信用情報とは、金融機関が借り手の信用度を判断する際に確認する情報です。
その人の過去の借り入れや返済履歴、クレジットカードの利用状況などが記録されています。
たとえば、過去に返済の延滞や滞納があった場合、それが原因で信用情報に傷がついている可能性があります。
信用情報に傷がある場合の対策としては、返済の遅れがある場合は速やかに返済を済ませることが大切です。また、クレジットカードの利用状況を改善することも効果的です。カードの利用額を抑え、毎月きちんと支払いを行うことで、信用情報が改善されることがあります。
信用情報を改善するためには時間がかかることがありますが、焦らず計画的に取り組むことが大切です。
信用情報の改善を行い、住宅ローンの事前審査に通過できるよう努力しましょう。
3-2. 収入が低い
一定水準以上の収入が見込めない場合、事前審査は厳しめに見られ、審査が通らないことがあります。
収入の目安は金融機関によりますが、一般的には年収400万円以上が一つの目安になるでしょう。
ただし、当然金融機関も年収だけで審査をしているわけではありません。
たとえば、同じ年収400万円でも、20代と50代後半のそれとでは、一般的に前者の方が収入の伸びしろがあると考えられるため、後者よりも有利でしょう。
また、業種や勤務先の規模によっても変わります。
さらには、家族構成も考慮される場合があります。
同じ年収400万円であっても、シングルの方と扶養家族がいる場合とでは、一般的に前者の方がローンの支払い余力があるとみられ、審査も有利に運びやすいと考えられます。
3-3. 勤続年数が短い
勤続年数が短い場合、具体的には、勤続1年未満の場合、住宅ローンの審査が厳しくなることがあります。
その理由の一つに、勤続年数が短いと収入の見通しを証明しづらい(できない)から、という要因が考えられます。
弊社のご相談者様の中にも、住宅ローンの事前審査を申請したけれど、転職したばかりであるため否決になってしまったという方がいました。
その方は、見込みの年収では審査上の一定の水準を超える予定なのですが、審査当時の給与証明書では直近の賞与を加味して年換算しても、一定の水準の年収に届かなかったのです。
では、勤続年数が短いと絶対に審査は通らないのかというと、必ずしもそうでもありません。
たとえば、転職直後でも前職と同業種であれば、金融機関は前職の勤続年数を評価してくれることがあります。同じ業界でスキルや経験がある場合、安定した収入が得られると判断されやすくなるのです。
また、転職先が大手企業であったり、試用期間中や非正規雇用ではなく、正社員の方が審査も通りやすくなります。
以前は、転職して半年~1年以上経過しなければ、審査は通らない金融機関も多くありました。しかし、昨今では転職は当たり前になりつつあるため、住宅ローンの審査において金融機関も、以前より転職に寛容になってきています。
3-4. 他に借入がある
他に借入がある場合、住宅ローンの申込時には十分な注意が必要です。
金融機関ではローンの審査をする際、借入の総額や返済状況を確認します。借入額が多かったり、返済状況に滞りがあるなどする場合、審査が不利に働きます。
たとえば、既存の借入がクレジットカードや自動車のローンなどの消費者ローンである場合、金利が高く、返済負担が大きいことが問題となることがあります。また、他の住宅ローンや事業ローンがある場合も、返済負担が増えるため、新たな住宅ローンの審査が厳しくなることがあります。
このような状況を回避するためには、住宅ローン申込前に借入を整理することが望ましいです。具体的には、既存の借入を一本化するなどをして返済期間を延ばすことで、月々の返済額を減らすという対応を検討しましょう。
4. 住宅ローンの事前審査で知っておくべき注意点2つ
最後に、住宅ローンの事前審査で知っておくべき注意点をお伝えしておきましょう。
ここでご紹介する注意点は、知っておかないと、住宅購入の最終段階であわてることになったり、自覚のないままに審査が不利になる行動をどんどん取ってしまったりする可能性があると言えます。
どういうことか、本章で詳しく解説していきます。
4-1. 事前審査で承認が出ても本審査も承認されるとは限らない
住宅ローンの事前審査で注意すべきこと、ひとつ目は「事前審査で承認が出ても本審査も承認されるとは限らない」ということです。
あくまでも住宅ローンの事前審査は、本審査前に行う簡易的な審査だからです。
そのため、事前審査で可決となっても本審査でより詳細な審査が行われることで、事前審査の結果が覆るということは往々にして起こり得るのです。
事前審査が通った場合でも、本審査で不承認となる可能性があるケースと下は、次のようなことが考えられます。
- 事前審査で提出した書類や情報に相違があった
- 本審査時の金利変動により、返済能力が低下した
- 審査期間中に収入や勤務状況が変わった
これらの問題を避けるためには、事前審査申込時に以下の対策を行うことが必要です。
- 書類や情報を正確かつ最新のものにする
- 金利変動を見越して返済計画を立てる
- 転職や昇給など、収入や勤務状況の変動がある場合は金融機関に相談する
住宅ローンの事前審査と本審査の流れを理解し、適切な対応を行うことで、住宅購入をスムーズに進められるでしょう。
4-2. 事前審査を出し過ぎると不利になる可能性がある
住宅ローンを組む際、事前審査を複数の金融機関に申し込むことで、各機関の金利や条件を比較検討することは一般的ですが、事前審査を出し過ぎると不利になる可能性があることをご存じでしょうか。
事前審査を申請する数は2~3個が一つの目安であり、5個以上は出し過ぎと言われています。
理由として、以下の点が考えられます。
- やましいことがあるのではと不審に思われる可能性がある
- 住宅購入計画が遅れる
金融機関では住宅ローンの審査の際に、個人信用情報を照会します。
そのため複数の金融機関に同時に事前審査を申し込むと、「なぜこんなに多く審査を出すのか?そうしないといけない理由があるのか?」と不審に思われ、信用力が低下してしまう可能性があるのです。
事前審査は、住宅購入において重要なプロセスです。適切な金融機関を選び、無駄のない申込を心がけてください。
5. まとめ
住宅ローンの事前審査とは何か、注意点や流れなど、基本的なご理解はいただけましたでしょうか。
前述した通り、住宅ローンの事前審査は簡易な審査で、ネット銀行などであれば、審査の申請自体はそう難しくはないはずです。
しかし、ただやみくもに事前審査を申請するのは、その後の本審査や住宅ローンの借入条件そのものに影響する可能性もあるため、おすすめしません。
本コラムを参考に、住宅ローン事前審査の流れや注意点をしっかり確認されてから、審査を申請するようにしましょう。
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