FP解説!住宅ローン諸費用の目安額・注意点・抑え方・支払うタイミング

住宅ローンを組む時には、様々な諸費用が発生します。

「家を買うことが決まってから諸費用を知った」もしくは「購入を検討しているので諸費用について知っておきたい」という方は多いでしょう。

このコラムでは住宅購入を安心して進めていただくため、一般的な住宅ローンにかかる諸費用について、以下のポイントに分けてまとめてみました。

1. 住宅ローンにかかる諸費用一覧

本章では、住宅ローンにかかる諸費用について、それぞれの概要・目安額・抑え方を解説していきます。

1-1. 印紙代

住宅ローンを組む際には、必要な手続きの一つとして印紙代が発生します。
印紙代は契約書に貼る収入印紙の代金で、税金の一種です。契約金額に応じて納税額が決まっており、納付する際には割り印(消印)を押すことが求められます。

契約金額 印紙代
500万円を超え 1千万円以下 1万円
1千万円を超え 5千万円以下 2万円
5千万円を超え 1億円以下 6万円
1億円を超え 5億円以下 10万円

参考:国税庁 印紙税額一覧

印紙代の注意点

この印紙代ですが、まず収入印紙を貼り忘れても、契約が無効になることはないです。
ですが、印紙の貼り忘れは印紙税法違反になります。割り印の押し忘れがあると過怠税が課されることもありますので、注意が必要です。

印紙代は、契約書1通ごとにかかります。
例えば、ミックスローンやペアローンの場合は契約が2本あるため、それぞれの契約で印紙代を支払う必要があります。金融機関等の窓口や担当者によっても詳細が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。

印紙代の抑え方

印紙代を抑える方法として、電子契約を活用することが挙げられます。
住宅ローンの契約をウェブ上で行うことです。電子契約では書類を作成しないので、印紙代が不要なのです。

ただし、電子契約ができるかは金融機関によって異なるため、事前に確認が必要です。

1-2. 抵当権設定費用(登記費用)

抵当権設定費用とは、住宅ローンを借りる際に、銀行や金融機関がその住宅を担保とする「抵当権」を設定するためにかかる費用です。抵当権設定費用には、司法書士費用や登録免許税があります。

抵当権設定費用の内訳 金額
登録免許税 ローン借入額×0.4%
(令和6年3月末までは、条件を満たせば軽減税率0.1%が適用)
司法書士報酬 3万円~10万円程度

※抵当権とは、債務者が返済できなくなった時に優先して債権を回収できる権利です。例えば銀行が融資した住宅ローンが返済されなくなった場合に、競売にかけて回収することができます。

抵当権設定費用の注意点

登録免許税はローン借入額によって変わり、司法書士報酬は依頼する司法書士によって変わります。

これらは事前に確認しておくことが大切です。

そして抵当権設定の手続きには時間がかかることもあるため、早めの手続きを心掛けてください。 

抵当権設定費用の抑え方

登録免許税は、住宅が一定の条件を満たせば軽減税率が適用され、税率0.4%→0.1%になります。
軽減税率の適用期限は、令和6年3月31日までです。

参考:登録免許税の税率の軽減措置のお知らせ

司法書士報酬は抵当権設定を自身で行えば抑えられますが、おすすめはしません
手続きは複雑で、労力の割に費用を抑える効果は小さく、不備や問題があった場合はもっと手間がかかるからです。
そのため、金融機関から紹介される司法書士に依頼するのが無難です。

この費用を抑える方法を考えるよりも、借入するローンの金利条件や団信の保障内容などをしっかり考える方が、効果的と言えるでしょう。

1-3. 融資事務手数料

融資事務手数料とは、住宅ローンを借りる際に、金融機関が融資手続きを行うために請求される手数料のことです。

この手数料は、金融機関がローンの審査や契約手続きなど、事務作業にかかるコストをカバーする目的で設定されています。

融資事務手数料の注意点

融資事務手数料の注意点として、各金融機関で手数料の金額が異なることが挙げられます。そのため、複数の金融機関を比較検討することが重要です。

融資事務手数料には定率型と定額型があります。

定率型 融資額×2.2%(税込み)
定額型 3万円~

一般的に、定額型よりも定率型の方が金利は低く抑えられます。また、定額型の場合は数万円に抑えられますが、別途保証料が必要になります。

初期費用や諸費用を安くしたい方は定額型、月々の返済額を抑えたい方は定率型を選ぶなど、あなたのライフプランに合ったものを選ぶと良いでしょう。

融資事務手数料の抑え方

融資事務手数料を抑える方法はいくつかあります。

まず、複数の金融機関を比較することで、手数料が安い銀行や金融機関を見つけられます。また、インターネット銀行やオンライン専業銀行は、一般的な銀行に比べて手数料が安い傾向にあるため、検討してみる価値があります。

また、固定金利で事務手数料が軽減されるローン商品も存在します。

他には金融機関が実施しているキャンペーンや特典を利用することで、手数料を節約できることがあります。定期的にチェックし、お得な情報を活用してください。

1-4. 保証料

保証料とは、住宅ローンを借りる際に、金融機関が借入人の信用を補完するために保証会社に支払う費用のことです。ローン滞納が起こると、債権が保証会社に移り、保証会社が金融機関に代わって請求を行います。

保証料の金額は、保証会社や金融機関によって異なり、支払い方法は様々です
また、保証料を必要としない金融機関も多くあります。

保証料の注意点

保証料についての注意点ですが、金融機関によって「保証会社による保証のある・なし」があります。

ですが、保証のない住宅ローンの方がコストを抑えられるかというと、そうではありません。

なぜなら保証料がない分、融資事務手数料など別の形で支払うことになるからです。
この方式の住宅ローンは「融資事務手数料型」と呼ばれています。

融資事務手数料型では、保証料はありません。
しかし融資金額の税込み2.2%程度の事務手数料を必要とするものが多く、保証料のある住宅ローンと比較すると、結果的には大きな差が出ない場合がほとんどです。

保証会社をつけるのは、金融機関が貸し倒れリスクを回避するためです。
保証会社をつけない場合は、金融機関がそのリスクを負います。故に、審査を厳しくする、事務手数料をしっかりとる等の対応をするのです。

保証料の抑え方

保証料を抑える方法は、実際のところ、あまり有効なものはありません。
保証料を抑えることよりも、借入額を減らす・借入金利を下げる方が、総費用を抑える効果としては高いと言えるでしょう。

ただし契約時に一括で保証料を支払う「保証料型」と呼ばれる方式の住宅ローンだと、繰上げ返済をすると、払い込んだ保証料が返還されるという特徴があります。

保証料は、返済期間中の貸し倒れリスク回避のために支払います。
繰り上げ返済によって返済期間を短縮すると「短縮できた期間分の保証は不要」ということになるので、払い過ぎた分は返ってくるのです。

あらかじめ保証料の総額を減らせるわけではありませんが、保証料型の住宅ローンを契約した場合には、繰上げ返済も一考の余地があると思います。

1-5. 団信保険料

団信は「団体信用生命保険」といい、住宅ローン契約者が亡くなった場合に、残された住宅ローンが完済されるものです。契約者が亡くなった場合に、遺族が住宅ローンの返済負担がなくなるため、安心して住宅購入ができます。

加入条件や保険料の算出方法は、金融機関や保険会社によって異なります。

団信保険料の注意点

団信の保険料は、住宅ローンの金利に保険料相当分が上乗せされ、毎月の返済とともに支払っていく方法が最近の主流です。
ただし、契約時に一括で支払うケース、毎月の返済額+団信保険料を支払うケースもあります。

当然ながら保障範囲を広くするほど、団信の保険料(上乗せ金利)は高くなります。

また団信の保険料は、生命保険料控除の対象にはならないことにも注意してください。

団信保険料の抑え方

団信保険料を抑えるには、団信の保障範囲をよく考えることが重要です。

  • どこまで保障範囲を広げるか
  • 本当にその保障は必要か
  • すでに契約している保険で対応できないか
  • 手持ちの資金で補えないか

などを確認し、自分にとって適切な保障内容を選ぶようにしましょう。

1-6. 火災保険料・地震保険料

火災保険とは、住宅に発生する火災や水損、風災などの損害をカバーする保険です。保険金が支払われることで被害に遭った住宅の修復費用や仮住まい費用などを補てんできます。
また、地震保険は、地震による被害に対する保障を受けるための保険で火災保険に付帯する形で加入できます。

住宅ローンを組む際には、火災保険・地震保険への加入が必須となります。

火災保険料・地震保険料の注意点

火災保険の保険料は、地域や建物の構造、耐震性能によって変わります。
また戸建てかマンションか、耐火性能・耐震等級はどうか、免震か否かによっても大きく変動しますので、住宅購入の際にはチェックしておきましょう。

ですが、契約者の希望によって保証範囲や特約の有無など選ぶことができるので、予算やライフスタイルに応じた選択も可能です。

また、過去の火災や地震での保険金の支払実績もチェックしておくと、なお安心です。

地震保険の保険料は、物件がある地域や広さ、物件の構造によって変わります。
ですが地震保険は、国と保険会社が共同で運営する保険なので、物件が同じであれば、どこの保険会社で契約しても補償内容や保険料は同じです。

火災保険料・地震保険料の抑え方

火災保険料を抑える方法としては、まず複数の保険会社の見積もりを比較検討してみると良いででしょう。

特にネット損保の火災保険は、割安で手続きも簡単です。
「どんな保障を付けたら良いか分からない」という方は問い合わせることもできます。当社のように火災保険を取り扱えるファイナンシャルプランナーに相談するのも良いでしょう。

1-7. つなぎ融資分の事務手数料・利息

つなぎ融資は、住宅ローンが組まれる前に資金が必要な場合に利用します。

例としては、

  • 土地の購入時の仲介手数料
  • 新築住宅の建設中に支払う費用(着工金・中間金など)

が挙げられます。ただし、利用できる金額や期間は各金融機関により異なります。

金融機関から先につなぎ融資を受け、後に振り込まれる住宅ローンで返済する形になります。

つなぎ融資分の事務手数料・利息の支払いの注意点

つなぎ融資を利用する際、事務手数料や利息に注意が必要です。

金融機関が融資手続きを行う際には、事務手数料が発生します。また借入期間中は利息が発生します。

そして、通常の住宅ローンよりも金利は高く設定されています。借入期間が長くなれば大きな負担になりますので、できるだけ短期間で返済できるような計画をたてましょう。

つなぎ融資分の事務手数料・利息の抑え方

まずは複数の金融機関を比較検討してください。金利や手数料が異なるため、条件の良い金融機関を選ぶことで負担を軽減できます。

また、十分な資金計画を立てたり、住宅ローン融資実行までの手続き等をスムーズに計画を進めることで、つなぎ融資で借りる金額を減らしたり、借入期間を短くしたりすることができます。

1-8. 適合証明の取得費用

適合証明とは、住宅が一定の技術基準を満たしていることを証明するもので、フラット35」という住宅ローンを利用する際に必須となります。

適合証明の取得費用の相場は、5万~10万円程度です。

発行に当たっては、適合証明調査機関という専門家に調査を依頼します。
自分で適合証明調査機関を探すこともできますし、業者が代わりに探してくれるケースもあります。ただし、取得のステップや費用は住宅の種類や機関によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

適合証明の取得費用の注意点

適合証明の取得費用は、発行のためではなく、調査にかかる費用です。
そのため適合証明が取得できなかった場合でも、費用発生することがあります。

また、検査機関や得意先がある業者によっては、住宅の種類や地域によって金額が違うこともありますので、事前に確認しておきましょう。

さらに、適合証明書の再発行は有料で、5000円程度の費用がかかることがあります。再発行を避けるためには、取得時に必要な書類や手続きが正確に行われているかどうかをよく確認しておくことが重要です。

適合証明の取得費用の抑え方

適合証明の取得費用を抑える方法としては、まず検査機関や業者を事前に比較検討することが挙げられます。
ただし業者によってはいつも依頼している得意先があるので、費用にこだわりすぎて、関係を悪化させることがないように注意しましょう。

また、適合証明の取得手続きを正確かつスムーズに進めることで、無駄な費用や再発行を回避することができます。必要な書類や手続きの内容をよく確認し、業者とのコミュニケーションを大切にしながら適切な手順で進めることがポイントです。

1-9. 住民票等の取得費用

住宅ローンの契約にあたっては、事前審査や本審査で、住民票や印鑑証明などの取得が求められます。

そのため、発行手数料が数百円程度かかります。

住民票等の取得の注意点

住民票や印鑑証明は発行から3ヵ月以内のものが必要とされることが多いため、取り直しの手間を省くためにも適切なタイミングで取得しましょう。

また、記載事項に間違いや抜け漏れがあると再発行が必要となり、時間と手間がかかってしまうことがあります。

役所での手続きは平日に行われることが一般的ですので、担当者や書類の内容をしっかり確認し、一度で手続きが完了するように心掛けましょう。

2. 住宅ローンにかかる諸費用を支払うタイミング

本章では、住宅ローンに係る諸費用を支払うタイミングを、4つに分けて解説します。

2-1. 住宅ローンの契約前(売買契約時など)

火災保険への加入、適合証明の取得、住民票等の取得は、住宅ローンの契約までに用意しておく必要があります。

費用はひとまず自分で支払いますが、住宅ローンの融資が行われた時に、銀行口座にそれぞれの費用相当額が残ることになります。

2-2. 住宅ローンの契約時(金消契約時)

住宅ローンの契約時に発生する費用としては、契約書に貼る印紙代があげられます。

契約文書に印紙を貼って印紙税を納めるのですが、借入金額によって異なりますので、あらかじめ金融機関から指定された金額を準備する必要があります。

2-3. 住宅ローンの融資実行日

住宅ローンの融資実行日とは、借入額が指定した銀行口座に振り込まれる日です。

融資金額が振り込まれると同時に、住宅ローン諸費用の支払いが自動的に行われます
また、住宅ローン以外の費用(不動産購入代金の支払いや仲介手数料の支払い)も、事前に振込み設定をしておくのが一般的です。

抵当権設定もこのタイミングで行いますので、設定費用(登録免許税・司法書士報酬)の支払いも行います。
金利が比較的低い現状ですと、諸費用も借りてここで支払う方が多くなってきています。

2-4. 住宅ローンの返済中

住宅ローンの団信保険料は、最近では保険料相当分の金利が上乗せされて、毎月の返済額に含める形で支払っていくパターンが多いです。

ただし1-5にも記載しましたが、一括で支払うケースなどもありますので、支払うタイミングは団信の契約時に確認しましょう。

3. まとめ

住宅ローンの借入に当たっては、様々な諸費用がかかります。

ですが、購入する物件・金融機関・借入金額・金利で・期間など、色々な条件によって費用総額が変わってくるので、プロの手を借りずに正確な金額を知るのはかなり難しいです。

その場合は、「こんな家に住みたい」「これくらいの金額を借りたらどうなるのか」といった漠然としたイメージがある位の段階で、まずは一度、ファイナンシャルプランナーのような資金計画づくりの専門家に相談してみることをおすすめします。

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なお当社コラムには、住宅ローンに関する記事も多数掲載しています。
全期間固定金利タイプの住宅ローンである「フラット35」を借りる際にかかる諸費用を解説した「フラット35の諸費用は何にいくら必要?【諸費用一覧表付き】」といった記事もあります。住宅ローンにかかる費用感を掴む上で参考になると思いますので、ぜひお読みいただくことをおすすめします。

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