こんにちはFPバンク編集部です。
パートナーとの離婚を決心…。
これまでの状況が一変していく中で、様々な手続きも同時に進めなければなりません。
特に健康保険の手続きをしておかないと、いざ病院に行こうとしても保険証が使えないため全額自己負担となってしまいます。
別れる夫とは疎遠になってしまうため、すぐにでも健康保険や民間の保険の手続きを進めたいのに、どうすればいいか悩まれている方も少なくないのではないでしょうか?
この記事では、健康保険や民間保険の必要な手続きを紹介します。
また、夫がいないため一人の状況となることで、あらためて保険を考える必要性についてのポイントも解説します。
すぐに必要な保険のことが解決できれば、今後の見通しが明るくなり安心して新生活のスタートを切ることが出来るでしょう。
離婚の手続きで悩んでいる人は是非チェックしてみてください!
目次
1. 離婚した場合の健康保険の手続き
(1)扶養に入っていた場合
専業主婦は夫を世帯主とした健康保険に加入しているケースが多いと言われています。その場合保険証は使えなくなってしまうので、もし病院に行くと全額自己負担となってしまいます。
そのため、下記の手続きが必要となります。
・夫に健康保険の手続き(自分を扶養から外す)を行ってもらう
・自分自身の健康保険の加入手続きを行う
新たな健康保険は、状況によって親と同居して親の扶養に入る場合や自分が世帯主となる場合など、加入の状況によって手続きをする窓口が異なるので注意が必要です。
ちなみに夫の扶養に入っていない場合は、そのまま自分の保険証を使用することができます。
(2)子供がいる場合
もともと子供が夫の扶養に入っている場合、離婚後も子供の保険証は引き続き使用できますが、夫から保険証を取り寄せなくてはなりません。
また、夫が転職すると使用できなくなることも考えられるので、自分の扶養に入れる手続きを行っておくと良いでしょう。
子供を自分の扶養に入れる場合も、自分自身の手続きと同様になります。
・夫に健康保険の手続き(子供を扶養から外す)を行ってもらう
・自分が子供の健康保険の加入手続きを行う
2. 加入中の民間保険の手続き
(1)名義変更は必須
民間の学資保険や生命保険に加入していて離婚後も続ける場合は、名義変更を早めに行う必要があります。
具体的には、契約者・受取人・口座(クレジットカード)名義人・指定代理請求人を変更することになります。
契約者は誰なのかによって手続きは変わりますので、誤った手続きをしないよう注意が必要です。
また、名字を旧姓に戻す場合も手続きは必要となります。名義変更は複雑なので、加入している保険会社に確認すると良いでしょう。
(例)自分(妻)が夫と離婚して子供がいる場合
① 契約者が「夫」の保険
契約者・受取人・指定代理請求人が「夫」の場合、「妻(自分)」もしくは「子供」に変更
受取人が「妻(自分)」の場合、「子供」に変更
② 契約者が「妻(自分)」の保険
受取人が「夫」の場合、「妻(自分)」もしくは「子供」に変更
指定代理請求人が「夫」の場合、「子供」に変更
③ 契約者が「子供」の保険
親権者(※)が「夫」の場合、「自分(妻)」に変更
受取人・指定代理請求人が「夫」の場合、「妻(自分)」に変更
(※)契約者が未成年の場合、親権者の設定が必要となります。
「夫」の名義を変える場合、手続きによっては夫の同意が必要となります。契約者が「夫」であれば、「夫」自身が手続きをしなくてはなりません。離婚して時間が経てば経つほど手続きが億劫になりがちですので、早めに対応すると良いでしょう。
(2)支払経路も要確認
名義変更の際、支払経路の名義変更を忘れがちなので要注意です。
支払いは口座なのかクレジットカードなのか、誰の口座(クレジットカード)なのかを確認して、「夫」名義であれば「妻(自分)」に変更する必要があります。
離婚して姓を戻す場合、銀行やクレジットカード会社に前もって改姓手続きが必要となり、口座の印鑑を新たに登録する場合があります。
支払い経路の手続きができていないと、引き落としされずに保険が失効してしまう場合があるので注意しましょう。
(3)今後の状況によっては保障を削ることも
離婚して状況が変わることで、加入している保険によっては保障額が過大になることがあります。とはいえ、保険の内容を把握せず慌てて解約や減額手続きを行うのは要注意です。
加入期間が短いことで元本割れしてしまったり、新たに入り直す時に持病があって加入できなかったりと、不利益となってしまうケースがあります。内容をしっかり確認してから、手続きを進めると良いでしょう。
3. 離婚したら保険はどうする?見直しのポイント
(1)自分自身が今後のために備えるべきものを再確認しよう
離婚した場合、もともと加入していた生命保険をどうすれば良いか、無駄に保険料を払いたくないし、考えずに解約したらいざという時にもらえなくなるし…、という悩みをよく聞きます。
離婚してこれまでと生活スタイルが変わる場合は、家族構成・仕事・住居などの状況によって、保険の備え方は様々です。
例えば、家族がいる場合は自分が万が一亡くなった時にお金を遺す必要があれば、死亡保障として生命保険を考える必要があります。
また、病気になって入院などの治療費をカバーしたいと思えば医療保険が必要ということもあります。引っ越した先で必要であれば火災保険も考えていかなくてはなりません。
まず、自分はどういう保険に入っているのか、加入している保険の内容を確認することが重要です。
そして、離婚した後の状況を踏まえて自分のリスクに備えるだけで良いのか、家族のリスクも備える必要があるのかを考えていきましょう。
(2)子供のために備えは必要?
子供がいる場合も、まず子供の保険の内容を確認して続けるべきか検討しましょう。
子供の年齢によりますが、大学進学まで考えていく場合は教育資金をどのように準備していくかを考える必要があります。
いつまでにいくら準備していくかを計算して、まずはできる金額を貯めていくことから考えていきましょう。
他には医療保険を考える人がいますが、保険証を持っていれば一定の年齢まで保険診療は無料になりますので、その点も考慮して検討すると良いでしょう。
<関連記事>学費総額スッキリ解決!進路別で学費を比較~最新版~
(3)老後は大丈夫?離婚後の年金は?
離婚するとこれまでと経済状況は変わり、家計をどうしていくかお金のやりくりを考えていく人は多いと思います。
生活費で精いっぱいということもあるかもしれませんし、蓄える余裕があるかもしません。
元夫からの養育費を含めて収入や支出はいくらなのか、まずはその計算をしていきましょう。
少しでも余裕があれば、将来のために貯めていくことも考えていきたいものです。
また、老後は年金分割制度により、夫の年金から一定の金額を受け取れる可能性があります。年金分割制度は、2つの制度があります。
・合意分割制度
離婚成立から2年以内に、必要な書類を揃えて現住所の年金事務局で手続きを行います。
「合意」という言葉のとおり、夫婦間の合意がなければ手続きはできません。
夫婦で話し合って決めた割合(厚生年金の報酬比例部分の半額が上限)を受けとることができます。婚姻期間が分割対象期間となります。
・3号分割
分割割合が決まっているため、受け取る側が一人で手続きすることができます。
制度が始まった平成20年4月1日以降の婚姻期間が対象となり、厚生年金の報酬比例部分の半分を受け取ることができます。
こちらも合意分割制度と同様、離婚成立から2年以内の手続きが必要です。
年金分割制度の手続きをしても、実際に受け取るのは自分が年金受給開始となってからです。
そもそも自分自身の年金受給資格を満たしていないと受け取ることはできません。
また、元夫が自営などで厚生年金に加入していない場合は年金分割制度自体が利用できません。
自分や元夫の年金がどのようになっているのか、早めに確認をしておくと良いでしょう。
今は子供がいてもいつかは独立していくことを考えると、一人で老後を過ごしていくことも考えていかなくてはなりません。
老後の貯金は後で良いと思っていると、あっという間に年月は過ぎてしまうかもしれません。できる時にできる金額から貯めていくことも考えていきましょう。
(4)加入している保険があれば活用できる?
離婚前から加入していた保険はどんな内容か覚えていますか?
加入している保険が貯蓄性タイプのものであれば、すぐ解約せずに将来の蓄えとして続けた方が良い場合があります。
逆に掛け捨てタイプでも若い時から加入しているのであれば、安い保険料のまま続けた方が良いということもあります。
そのためにも、今の保険はどういう内容かをしっかり確認しておくと良いでしょう。
<関連記事>女性目線で考える「離婚の時に必要な保険」はこれだ!
(5)これからのライフプランを考えよう!
離婚して生活スタイルが変わり家計のやりくりを考えていく中で、とりあえず直近の収支は見通しが立ったとしても、長いスパンで家計の収支を見ていくことは難しいのではないでしょうか。
今後子どものためにかかるお金はいくらなのか?老後って先のことだし今はまだ考えなくても良いか?といったように、将来の悩みは尽きません。
ネットではいろいろな情報が発信されていますが、果たしてどのように考えていけば良いのでしょう?
今現在だけではなく、将来も安心して過ごしていくためにも、ライフプランシミュレーションを行うことをおすすめします。
ライフプランシミュレーションは自分で作ってみることもできますし、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する人もいます。
<関連記事>ライフプランシミュレーションって、どうやるの?
4.まとめ
離婚するとやるべきことが多い中で様々な手続きが必要になりますよね。
公的の健康保険は自分の扶養関係によって、また民間の保険も契約者によって手続きが変わるため複雑で分かりにくい点はあるかと思いますが、いざという時のために離婚してからできるだけ早めの手続きを行わなくてはなりません。
ただ自分ですべて手続きをしようと思っても、ひとりでは難しいかもしれません。
手続きが誤っていた場合は再度夫に連絡を取る必要が出てしまいますし、誤った判断で安易に保険を解約すると不利益になってしまうこともあります。
また、夫の財産(貯蓄性の保険・不動産・退職金)も場合によっては分割の対象になることもあります。
これからの生活を考えてどのようにしていくべきか考えていく中で、ライフプランを含めて総合的に相談できる独立系ファイナンシャルプランナーや、分割協議や手続きの相談ができる弁護士などの専門家に聞いてみると良いでしょう。
離婚してから新たな生活を良い形でスタートできるよう、このコラムの内容を参考にしていただければ幸いです。
2020年8月17日
text by 久保田 正広
FPバンク