子どもが入る保険のおすすめは?加入賛成派・反対派の意見は?

笑顔の子供たち

こんにちはFPバンク編集部です。

小さなお子さまがいると何かとケガが多く、とても目が離せるような状況ではありませんね。お子さまにもしものことがあったら心配。と保険に入ることを検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。

でも、「子どもの保険って何があるの?」と疑問に思う人も多いはず。

また、そもそも子ども保険は必要なのでしょうか?

このコラムはそれぞれの保険の特徴と、子どもの保険の加入に賛成派と反対派の意見をご紹介していきます。まずは、子どもの保険にはどんなものがあるのか理解しましょう。

1.子どもの「万が一のとき」とは

保険に入る一番の目的は、「万が一のときでもお金の面で困らないように、足りない資金を用意すること」です。

それでは、子どもの「万が一のとき」とは、どんな時があるでしょうか?

次のような場面があり、以下の保険が役に立ちます。

◎病気をして入院したとき → 医療保険
◎ケガをして通院したとき → 傷害保険
◎他人のモノを壊した、ケガをさせたとき → 個人賠償責任保険
◎教育費でまとまったお金が必要なとき → 学資保険

子どもの保険は、これら4つあります。

そもそも、子ども保険は必要なのでしょうか?
次の2章から、それぞれ保険の特徴と、加入すべきなのか賛成派と反対派の意見をご紹介していきます。

2.病気をして入院したとき

子どもが小さいうちは免疫力も弱く、よく病気になりがちです。通院で済めばまだよいのですが、子どもの体は何が起きるかわかりません。急な入院や手術が必要になることも少なくはないでしょう。

そんなとき医療保険は、入院・手術などの費用を負担してくれます。
日額5,000円のように入院日数によって手当が出るものもあれば、日数にかかわらず一時金としてまとまった金額を受け取れるものもあります。

また、特約を付加することで、退院後の通院代もカバーできたり、様々な保障を手厚くする自由さもあります。

(1)賛成派の意見

『健康保険の対象にならない費用もしっかりカバーすることができる』

健康保険の対象にならない費用はすべて自己負担となります。例えば、差額ベッド代や交通費、診断書等の文書料、先進医療費などです。

医療保険に加入しておけば、助成の対象にならない自己負担分を保険の手当でまかなうことができます。一日でも入院したらまとまった金額を受け取れるものもあるので、自由に手当を使うことができます。

『子どもが大きくなっても、安い保険料で保障が受けられる』

医療保険は、加入したときの年齢で保険料がかわります。加入する年齢が小さいと保険料も安くなりますので、早めに入っておけば生涯でかかるコストも結果的に下がります。

成人後も医療保険に入りたい人は、早めに加入することも選択肢の一つです。

『病気になったら保険は加入しづらい』

大人になっても医療保険の加入を検討しているのであれば、健康なうちに入ったほうがよいこともあります。

保険に入るときには、健康状態の告知が必要になりますが、状態によっては保険料が上がってしまったり、該当部分が原因で医療費がかかる場合、保障の対象外となってしまう特別条件がつく場合があります。

(2)反対派の意見

『乳幼児医療費助成制度で、子どもの医療費はほとんどかからないから』

子どもにかかる医療費の一部または全額を自治体が助成してくれることをご存じですか?

乳幼児医療費助成制度とは、子育て世帯の経済的負担を減らすため、子どもにかかる医療費の一部または全額が無料になる制度のことです。

対象年齢は自治体によって異なり、最も手厚い自治体で中学卒業時までとなっています。

乳幼児医療費助成制度により子どもの医療費のほとんどがかからないということになります。そのため、医療保険に入るメリットはあまりないという考え方です。

『医療費助成制度で手当が出ない費用は、貯蓄から出せばよいから』

医療費助成制度の対象にならない費用は保険ではなく、貯蓄として備えておけば、もしもの時にも対応できるでしょう。

『そもそも子どもが入院する割合が少ない』

厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況」をみると、0歳から14歳の入院患者数は、全体のわずか2%に過ぎないことがわかります。そもそも入院する可能性が低いので、医療保険は必要ないという意見もあります。

全入院患者数の年齢別割合

<参考資料>厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」

(3)検討のポイント

医療費助成制度は、自治体によって、お子さまが小学生あるいは中学生までと助成の対象が異なっているので、お住まいの自治体の制度をまず確認してみましょう。そのうえで、さらに保障が必要と考えるのであれば医療保険を検討しましょう。

あなたが大人になっても医療保険は必要だと考えるのであれば、子どもが小さいうちに加入させるのも一つです。

特に女性は、出産時、状況によっては治療のための入院を繰り返すことがあります。その時に医療保険が役に立つことがあります。

ただ保険料が安いからといって生涯払い続けると数百万円にもなりますので、保険ではなく、銀行口座でコツコツと貯蓄していくことで対応できるかもしれません。

3.ケガをして通院したとき

子どもが小さいうちは外遊びで元気に走り回ったり、学校や地域のクラブ活動でスポーツを行っている子どもが多いでしょう。ケガで通院してお金がかかってしまった場合、傷害保険が役に立ちます。

傷害保険は、入院しなくても、通院1日目から手当を受け取れる点が特徴です。保険会社によっては、家族も保障の対象になるプランも用意されており、保険料がお得になっています。

(1)賛成派の意見

『医療保険では受け取ることができない通院1日目から手当が受け取れる』

何かと子どもはケガをする場面が多く、特にスポーツをしている子どもがいる親にとって傷害保険は心強いでしょう。

医療保険にも通院特約をつけることができますが、ほとんどの場合、入院した後の通院に限り手当を受け取れることが多くなっています。1日通院しただけで手当が受け取れる点は傷害保険のメリットといえるでしょう。

『個人賠償保険特約をつければ、賠償保障も対象になる』

他人にケガをさせたり、他人のモノを壊してしまい賠償する責任が起きてしまった場合、個人賠償保険特約をつけていれば、費用を補てんしてくれます。

子どもは自分のケガだけではなく、悪気なく他人にケガをさせてしまうことはよくあります。傷害保険に月々数百円程度で特約をつけることができますので、万が一のときでも安心です。

(2)反対派の意見

『ケガにおける通院も乳幼児医療費助成制度の対象であり、ほとんどお金がかからない』

医療保険の反対派意見と同様に、ケガが原因でかかる医療費も乳幼児医療費助成制度の対象になるため、ほとんどお金はかかりません。

助成制度の対象にならない費用に関しては、貯蓄からカバーしていくことになります。

『個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の特約でもカバーできる』

賠償責任に備えるのであれば、必ずしも傷害保険に入らなければいけないわけではありません。

火災保険や自動車保険に個人賠償責任特約をつけられます。特約の保険料もほとんど変わらないでしょう。

(3)検討のポイント

乳幼児医療費助成制度があるため、一般的なケガが原因の医療費であれば無料になることが多いでしょう。

乳幼児医療費助成制度の対象にならない費用に関しては、別途銀行口座を利用して積み立てるなどして備えておくことをおすすめします。

それでも、医療費がかかる点で心配ならば、傷害保険に入ることを検討してもよいでしょう。
<関連コラム>子どもの医療費助成制度は地域によって内容が違う?加熱する助成拡充競争

4.他人のモノを壊した、ケガをさせたとき

子どもが相手にケガを負わせたり、他人の物を壊してしまったりすることは少なくありません。その場合、子どもに代わって親のあなたに賠償責任があります。

そのような万が一に備えるためには、個人賠償責任保険の加入が必要です。

いくら注意するように言っても、子どもは遊びに夢中になっているとどうしても周りが見えなくなってしまいます。親であるあなたが、いつもそばに付き添ったり、外に出ることを禁止する、なんて現実的には難しいでしょう。

個人賠償責任保険を利用するためには、多くの場合、傷害保険や火災保険・自動車保険に個人賠償責任特約として保障を追加したり、共済に個人賠償責任保険として加える方法があります。

また、「自転車保険」と呼ばれるものがありますが、自転車事故の保障に手厚い傷害保険の商品のことをいいます。自転車保険には、この個人賠償責任補償が付いています。比較的保険料が安いので、クレジットカードに付帯されている場合もよくあります。

保険料は月々500円前後で済み、負担が少ないため家計にはやさしいでしょう。基本的に、個人賠償責任保険は、ひとつの契約で家族全員が補償の対象になります。

複数契約をしていても、受け取る金額は変わらないので、ひとつに絞りましょう。

<具体例>
・自転車に乗っているとき、歩行者と衝突してしまった。
・お店の展示品に傷をつけてしまう。
・道路に停まっている高級車に傷をつけてしまう。
・車から降りるときに、隣にとまっていた車にぶつかってしまった

(1)賛成派の意見

『賠償責任を補てんする制度が他にない』

子どもが自転車で他人に衝突し相手を死亡させ裁判所は親の監督義務を果たしていないと約1億円の高額な損害賠償を命じた事例があります。他人の賠償責任に関して補償してくれる国の制度がほとんどないのが実態です。

<関連コラム>4月から『自転車保険』が義務化?入らなきゃダメなの?

(2)反対派の意見

『保険ではなく、貯蓄で準備する』

子どもが他人を傷つけたり、モノを壊してしまうことは、起こりうるとしても確率は低いので、そのため保険ではなく貯蓄で対応していく考えです。

(3)検討のポイント

自分の子供も相手にケガをさせたり、モノを壊してしまう可能性が十分あると感じる方は、個人賠償責任保険に入ることをおすすめします。他人を賠償する責任に対し、公的な補償がほとんどないため、優先順位の高い保険かもしれません。

加入するうえで注意することは、重複して個人賠償責任保険に入らないことです。

重複しても、受け取れる手当は同額です。利用しているクレジットカードに付帯され、重複しているケースも多いので一度確認してみましょう。

他にも、特約のついた保険やクレジットカードを解約したことで、知らないうちに補償がなくなっていた、ということがよくあります。クレジットカードや自動車は利用しなければ解約することになりますので、長期間利用する火災保険に特約としてつけておくと安心でしょう。

また、限度額がいくらなのかも注意しておきましょう。限度額によっては、賠償責任が高額だった場合、補償が足りないこともあります。

5.教育費でまとまったお金が必要なとき

子どもにかかる大きなお金といえば、教育費があがります。教育資金は人生の三大資金のひとつと言われ、厚生労働省の平成30年度調査によると、幼稚園から大学まで全て公立だった場合およそ750万円、すべて私立だった場合は、およそ2400万円かかると公表されています。

教育費の総額は大きく、特に、大学でかかる費用は事前に計画立てて準備しておく必要があります。

進学別にみた学習費の総額

<参照サイト>厚生労働省「平成30年度子供の学習費調査」「平成30年度学生納付金調査結果」「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」

貯蓄の方法は、銀行の定期積立や投資信託を利用するなど様々な選択肢がありますが、そのひとつに貯蓄性のある保険を利用するとよいといわれます。

教育資金の準備に向けて、「学資保険」や「終身保険」で貯蓄する方法があります。

「学資保険」
一般的に学資保険と呼ばれる商品は以下の特徴があります。

① 進学時や満期を迎えると、あらかじめ決まっていた金額を受け取ることができる。
② 親が亡くなると、それ以降、保険料の支払いが免除され、満期に予定通りの金額を受け取ることができる。

学資保険の一番の特徴は、「親が亡くなり途中で教育資金の準備ができなくなったとしても、子どもの大学進学時に満期金を受け取れること」でしょう。

「終身保険」
終身保険とは、いわゆる親の死亡保険のことであり、以下の特徴があります。

① 親が亡くなった時点で、支払った分以上の大きな金額がすぐ手に入る。
② 支払った分は掛け捨てではなく、解約したいとき解約返戻金として戻ってくる。

親の万が一に備えるための終身保険ですが、子どもの教育資金を準備する方法として利用もできます。
例えば、子どもが0才の場合、保険料の支払時期を15年にして、大学進学時の18年目に解約して受け取った金額を教育資金に充てることができます。

(1)賛成派の意見

『万が一の保障も兼ね備えている』

万が一親に不幸があった場合、入るはずだった収入がなくなってしまいますので、資産状況によってはお子さまの進路をあきらめさせることになりかねません。そのため、多くの家庭では、生命保険の加入が必要な場合がほとんどです。

保険を利用すれば、万が一の保障と教育資金の貯蓄を同時に備えることができます。

『契約時に定めた金額が必要なときにもらえる』

 貯蓄型の保険は、変動利率や外貨建てのものを除き、将来受け取れる金額の目安がわかります。

投資信託は今後の経済によって金額が増減し、仮に大学時にマイナスだった場合、計画していた資金が準備できないかもしれません。一方、保険は目安がわかるので、計画通りに準備することができるでしょう。

『解約しづらく貯まりやすい』

銀行の定期積立は、窓口やインターネットで手続きをすればすぐに解約できてしまいますが、比較的に保険は解約しづらいメリットがあります。すぐに利用できない状況にすることが長期的な貯蓄をするうえでのコツですが、保険は貯蓄に向いているといえます。

(2)反対派の意見

『あまり増えない』

学資保険は貯蓄のほかにも保障の役目もあり、保険会社の管理コストがかかっています。最近は、元本割れする学資保険もあります。現在は金利が低いので、増えたとしても数パーセント程度が多いでしょう。

『途中で解約すると損をしてしまう』

一般的に、保険は満期前の途中で解約すると、払った金額よりも少なく戻ることがほとんどです。
はじめから途中で解約する可能性があるならば、保険を使った貯蓄は適さないでしょう。

(3)検討のポイント

保険を使う最大のメリットは、保障も兼ね備えていることです。保障が必要であれば、保険を使った貯蓄を検討してみましょう。

他の生命保険に加入しており、すでに一定の保障をお持ちの方は、保険以外の金融商品で貯蓄する方法も選択肢のひとつです。

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6.まとめ

賛成意見と反対意見をご紹介しましたが、あなたはどちらの意見だったでしょうか。これを参考に、本当にあなたが必要と思うものを選んでみてください。

また、子どもの保険を検討するには、家族の保険や貯蓄計画全体の中で考えることも必要になるでしょう。

2020年8月31日
text by 久保田 正広
FPバンク

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