二世帯住宅の相場はどのくらいか?間取り別・価格帯別での相場も解説

二世帯住宅 相場

マイホームの候補として「二世帯住宅」を考えてみようにも、相場が一体どのくらいなのかが分からず悩んでいませんか?
私たちファイナンシャルプランナーの元にも、二世帯住宅に関する相談がたくさん寄せられます。

実際に相談者に聞いてみたことがありますが、“二世帯住宅って普通の住宅よりお金がかかりそう…”という答えが多く、「具体的にいくらなのかは分からないけど高そう」というイメージが強いようでした。

そこで今回は、二世帯住宅を考える上で最初に気になるであろう、「二世帯住宅の相場はどのくらいなのか」という点について調べてみました

本記事の執筆にあたってはインターネットや書籍などを調査するだけでなく、当社と提携しているハウスメーカーにも聞き取りを行い、できるだけリアルな情報を集めました。

さらに、

  • 間取りごとの相場
  • 価格帯ごとの相場

という2つの観点でも相場情報をまとめてみました。

本記事を読んでもらえれば、二世帯住宅の相場について具体的なイメージを持てるだけでなく、どんな要素が価格に影響を与えるのか、自分に合った二世帯住宅はどんなタイプか、といったところまでお分かりいただけるでしょう。

(注)
本記事で解説する二世帯住宅は、全て<延べ床面積40坪・2階建て>という条件で建てたものとしています。40坪は、親世帯2人+子世帯4人(夫婦と子供2人)での生活を想定した場合の一般的な広さと言われています延べ床面積40坪とは、建物全体の床面積の合計が40坪あるという意味で、つまり1階と2階の床面積の合計が40坪ということです。1坪は約3.3㎡なので、今回の場合だと延べ床面積は約132㎡、それぞれの階は約66㎡の広さと考えてください。また、本記事で解説するのは“二世帯住宅の本体価格の相場”であり、土地の取得費用は入っていません。土地の取得費用も含めた総費用については「完全分離の二世帯住宅の費用はどれくらい?FPが独自に算出しました」をご参照ください。

1. <延べ床面積40坪・2階建て>の二世帯住宅の相場は1,400万円~4,000万円

<延べ床面積40坪・2階建て>の二世帯住宅の相場は、1,400万円~4,000万円(坪単価35万円~100万)円程度です。

<延べ床面積40坪・2階建て>二世帯住宅の相場
相場 坪単価
1,400万円~4,000万円 35万円~100万円

かなり価格幅が広くなっていますが、これは住宅メーカーごとの価格戦略の違いがあったり、ひと口に二世帯住宅と言っても間取りのタイプによって価格が変動したりすることが原因です。

単世帯住宅と比べながら、二世帯住宅の相場についてもう少し詳しく見ていきましょう。

1-1. 同じ条件の単世帯住宅と比べると若干高め

同じ条件の単世帯住宅の相場は1,200万円~3,600万円程度になるので、やはり二世帯住宅の相場の方が若干高めです。

その理由は、主に「設備費」です。同じ広さと階層であったとしても、二世帯住宅には2つの世帯が生活するために設備を複数用意する分、相場が高くなるのです。

しかしここで重要なのは、相場が高くなったとしても購入に当たっての金銭的な負担は実際に住む2つの世帯で分担が可能だということです。つまり、単独で住宅を購入するより金銭負担を軽減できる可能性があります。

二世帯住宅を検討する時は、相場の高さだけに気を取られず、資金の出し手と必要なお金とを把握するところから始めましょう。

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2. 間取りタイプ別にみる二世帯住宅の相場

次は、間取りタイプ別に二世帯住宅の相場を確認します。

二世帯住宅の間取りは主に3タイプあり、完全分離・完全共有・部分共有と呼ばれています。
それらを相場が高い順に並べると次のようになります。

間取りタイプ別
<延べ床面積40坪・2階建て>二世帯住宅の相場
間取りタイプ 相場 坪単価
完全分離 2,000万円~4,000万円 50万円~100万円
部分共有 1,600万円~3,600万円 40万円~90万円
完全共有 1,400万円~3,400万円 35万円~85万円

全体の傾向として、住宅として分かれる部分が多いほど設備の数が増える=費用が多くかかることになります。したがって、完全分離の間取りが最も相場が高くなります。

上の表2でざっくりと全体感を掴んでもらったところで、もう一つ表を用意しました。

これは、とあるハウスメーカーA社について、上と同じ<延べ床面積40坪・2階建て>という条件での、間取り別の価格イメージをまとめたものです。こちらを見れば、同じ条件の場合に各間取りでどのくらい価格が変わるのかを表2より詳しく見てもらえます。

間取りタイプ別
<延べ床面積40坪・2階建て>二世帯住宅の価格イメージ
(ハウスメーカーA社)
間取りタイプ 共有部分 価格イメージ
完全分離(左右割り) なし 3,630万円
完全分離(上下割り) なし 3,600万円
部分共有 玄関のみ 3,550万円
玄関・水回り 3,450万円
完全共有 玄関・水回り・LDK 3,300万円

例えば「部分共有と完全共有のどちらの間取りにしようか迷っている」といった場合に参考になるでしょう。次から、3つの間取りタイプごとの相場を紹介していきます。

2-1. 完全分離の相場は2,000万円~4,000万円

完全分離タイプの相場は、2,000万円~4,000万円程度(坪単価50万円~100万円程度)であり、間取り3タイプのうちでは最も相場が高くなります。

理由は、住宅設備一式をそれぞれの世帯に用意することになるからです。

その分、世帯ごとの独立性は高いため、お互いの暮らしになるべく干渉したくない人に向いています。
「二世帯住宅を考え始めたばかり」という人なら、まずは完全分離の間取りから検討することをおすすめします。

二世帯住宅で気になるポイントとしては、「プライベートな空間を取れるか」「生活スタイルのズレがストレスにならないか」などのプライバシーに関する事柄が挙げられることが多いです。なので、まずは最も独立性が高く、プライバシー面の懸念を解決しやすいと思われる完全分離から検討してみるといいそうです。

ただし完全分離の間取りはさらに2つのパターン、「上下割り」と「左右割り」に分けられます。そこでも若干価格に差が生じ、左右割りの方が高くなる傾向があります。

つまり、より細かく間取りによる価格の違いを順番付けするならば、完全分離(左右割り)>完全分離(上下割り)>部分共有>完全共有になると言えるでしょう。

では、上下割り・左右割りの特徴を確認しながら、それぞれの価格イメージの考え方をみていきましょう。

完全分離(左右割り)

左右割りとは、住宅の左右で居住空間を分けるスタイルです。

左右割りの二世帯住宅

完全分離(左右割り)
向いている人 プライバシーの確保を重視する人
メリット
  • 居住空間の独立性が高く、プライバシーを確保しやすい
  • 足音などの生活音が気になりにくい
  • 両世帯が庭を使える
デメリット
  • 日常的に階段を使う上下移動が発生する
  • 各世帯の居住スペースが狭くなる
  • 階数を増やすと構造強度を上げるためのコストがかかる

価格イメージは3,630万円で、上下割りの3,600万円より30万円高いです。
この30万円は何なのかというと、答えは「階段」、つまり設備費です。

左右割りは、1階層あたりで確保できるスペースが狭くなるため、2階建て以上にすることが多いのです。
そうすると両世帯ともに階段を設置することになり、その分の価格が上乗せされるという訳です。(ただし階段の設置価格は、予算の見直しが必要になるほどではないでしょう)

そんな左右割りの特徴としては、上下割りと比べて生活音が気になりにくいことが挙げられます。したがって、プライバシーの確保を重視する人向けの間取りと言えるでしょう。

ただし階段等を設置する分、床面積が狭くなって、ゆとりある居住空間の確保が厳しくなる点に注意です。
細かい話をすると、“幅1m未満の外階段なら床面積としてカウントしなくていい”という決まりがありますが、2階に上がるのにわざわざ外から行くのもどうかと思われるので、やはり室内に作るのが現実的でしょう。

解決策のひとつに3階建てにする方法があります。

しかし、2階建てよりも建材が多くなる、建物自体の重量が増すので基礎部分および全体構造の強化のための追加コストがかかる、といったことが考えられ、価格は上がってしまいます。

また、3階建てにする場合は、その土地が3階建てまでOKなのか、高齢世帯の階段利用は今後も問題ないか、そもそも建築予算内に収まるか、などの事柄も忘れないようにしましょう。

完全分離(上下割り)

上下割りとは図のように、1階に親世帯、2階に子世帯が住むという居住スタイルです。

上下割りの二世帯住宅

完全分離(上下割り)
向いている人 居住空間の広さを重視する人、日常的な階段の使用が難しい人
メリット
  • 普段の生活で階段を使った上下移動がない
  • 生活動線を短くしやすい
  • 余裕ある空間やLDKを実現できる
デメリット
  • 上階の足音など、生活音が気になりやすい
  • 上階の浴室設置が建物自体の負担になりやすい
  • 上階の世帯は庭を使いにくい

特徴は、空間を広く使えるので玄関・水回り・LDK・個室などを各階層で全て揃えられることです。居住空間の広さを重視する人、日常的な階段の使用が難しい人に向いている間取りです。その分、広い土地を確保することが重要となります。

この間取りのメリットとしては、両世帯が階段を使わず生活できる、両世帯とも余裕のあるLDKを実現できるといったものが挙げられます。
反面、上に住む世帯の足音が気になる、2階の浴室が重く建物にとって負担になってしまうといったデメリットが挙げられます。

しかし、それらは使用する建材やどのような構造にするか等で解消できます。建材や構造の話は価格との関係が強いので、住宅予算を組む段階でハウスメーカーとしっかり確認しておきましょう。

ちなみに今回は複数のハウスメーカーに取材しましたが、総じて提案することが一番多い間取りとのことであり、実際にこの間取りを選択されるお客様が大多数(とある1社では割合で言うと50件中49件ほど)だそうです。

首都圏は基本的に土地が狭いため、狭い土地の中で広さを取るのに最も適しているからというのが理由に挙がっていました。

2-2. 部分共有の相場は1,600万円~3,600万円

部分共有の相場は、1,600万円~3,600万円程度(坪単価40万円~90万円程度)になります。

完全分離とは違い、両世帯が共有する部分を作ることになるので世帯ごとの独立性は低くなりますが、その分建築コストを抑えることができます

表3の価格イメージでも、完全分離3,600万円に対して、玄関を共有するなら3,550万円、玄関・水回りを共有するなら3,450万円となりました。親世帯と生活スペースが被ることに抵抗が少なく、建築コストを抑えたい人に向いた間取りです。

部分共有の価格は、どの部分を共有とするかによって変わります。表3に挙げた玄関を共有するパターン、玄関・水回りを共有するパターンは、割とスタンダードとのことでした。しかし共有できる箇所や組み合わせは他にもあるので、自分達の望む生活をするにはどこまで共有できそうかをしっかりと話し合い、ハウスメーカーにも漏れなく要望を伝えた上で決めましょう。

下に、個々の設備の大まかな価格イメージもまとめてみました。部分共有を考える際は参考にしてみてください。
設備価格の目安

2-3. 完全共有の相場は1,400万円~3,400万円

完全共有の相場は、<延べ床面積40坪・2階建て>で1,400~3,400万円程度(坪単価35万円~85万円程度)になります。間取り3タイプの中では、最も相場が安くなる間取りです。

表3の価格イメージとしても、全ての間取りの中で一番低い3,300万円でした。例えるなら、アニメ「サザエさん」のようにひとつの大家族として生活する感じであり、寝室などのプライベートスペース以外は全て共有する形式になります。

したがってこの間取りに向いている人は、建築コストをできるだけ抑えたい人、世帯間の交流をしっかり持ちたい人と言えるでしょう。

二世帯住宅を選んだ理由の上位にくることが多いのが「同居した方が住居費や生活費が安くて済む」というものであり、建築時の費用を安くできるだけでなく、その後の生活費なども抑えられるのが、完全共有の魅力のひとつです。

間取りパターンとしては、玄関・水回り・LDK(リビング/ダイニング/キッチン)の共有が最もスタンダードです。さらに共有箇所を増やすなら、先ほどの設備と価格目安の表を参考にしてください。

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3. 価格帯別にみる二世帯住宅の相場

最後に、価格帯別での二世帯住宅の相場を確認してみます。

繰り返しお伝えしていますが、二世帯住宅に限らず住宅の価格幅はかなり広いのが実情です。しかし会社ごとに取り扱う価格の範囲がある程度決まっていることが分かったので、複数のハウスメーカーの方の意見も参考に、高価格帯・中価格帯・低価格帯という分け方をしてみました。
価格帯別にみる二世帯住宅相場

ハウスメーカーにはそれぞれ独自のコンセプト、サービス、建築技術等があり、どれも甲乙つけがたく、理想の住宅を実現させるのに欠かせません。上記の表をベースに、各価格帯の住宅の特徴をまとめたので参考にしてください。

3-1. 高価格帯の相場は3,200万円以上

二世帯住宅で高価格帯といわれる相場は、3,200万円以上(坪単価80万円以上)です。一般的に大手と言われるハウスメーカーが該当することが多い価格帯です。

高さの理由は、デザインにおける自由度の高さ、住宅本体の質と充実したアフターサービスにあると言えます。大手ハウスメーカーは全国展開していますが、提供する住宅はどれもデザイン性が高く、品質は高水準で一定に保たれています。

それは、強固な財務基盤や蓄積されたノウハウを活用して、職人を自社だけでそろえる、自社工場で建材を加工し現場に供給するといった取り組みを行っているからです。

また、住宅購入後のアフターメンテナンスのサービスも、法律では最低10年つければ可とされているところを、30年~60年という超長期スパンで提供しています。

こういった丁寧さが、中価格帯・低価格帯の住宅との差別化のポイントにもなっています。そして、メーカーごとの独自技術もかなり高レベルです。

例えば、
●超高層ビルに使われるのと同じ建材を使うことで、耐震性・耐火性・遮音性を高い水準で実現
●建物の建ぺい率・容積率(※)に含まれない空間を作ることで、一般住宅の3倍以上の収納力を発揮
●地震対策として高層ビルや新幹線にも使われる耐震・制震装置を壁内に埋め込む
などなど。

価格は高いかもしれませんが、それに十分見合った品質の住宅を実現できるでしょう。

3-2. 中価格帯の相場は2,000万円~3,200万円

中価格帯の相場は2,000万円~3,200万円程度(坪単価50万円~80万円程度)です。主に、大手~中堅に分類されるハウスメーカーが提供する価格帯です。

高価格帯と住宅性能はあまり変わらないといった評価を見ることもありますが、コストを下げるために設備の規格を高価格帯よりも少し下げたり、建材を一括で仕入れてコスト削減を図っていたりします。

コスト削減には低価格帯の戦略を取り入れつつ、高価格帯と同じくらい性能が高い住宅を提供することで、高価格帯との差別化を図っているようです。

ブランドにそこまで強いこだわりがなく、でも完全な規格住宅(あらかじめ決まった間取り・仕様の中から選ぶ住宅)はなるべく避けたいという場合には、中価格帯を選ぶと良いでしょう。

3-3. 低価格帯の相場は1,400万円~2,000万円

低価格帯の相場は1,400万円~2,000万円程度(坪単価35万円~50万円程度)です。ネット等で「ローコスト住宅メーカー」と呼ばれるところが提供する価格帯となります。

高価格帯に比べると、およそ半値程度の費用で住宅を建てることができるのが最大の魅力です。なぜそこまで低い価格で住宅を作れるのかというと、仕組みは様々あります。

例えば、集客における広告費の削減、建材の大量発注による仕入れコストの削減、自社施工による中間マージンの削減、凹凸をなくしたシンプルな構造にするなど。

つまり、高価格帯に比べて全体的に手間を省くことで低価格化を実現させているのです。なお、メーカーによっては自分で自由にデザインできる部分もありますが、ある程度は規格住宅になることを念頭に置いておくといいでしょう。

(※)建ぺい率・容積率…敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合や、延べ床面積(全階層の床面積の合計)の割合のことです。その限度は都市計画によって土地ごとに決められています。これを超えてしまうと違法建築となり、建て替えができなくなるなどのペナルティを受けることがあります。

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4. まとめ

今回は、二世帯住宅の相場についてまとめてみました。

注文住宅は、ほぼ全てがオーダーメイドであり一点もの、かつ価格は建築エリアや建材を仕入れるタイミングなど様々な要素によって変動するため、なかなか相場を把握しづらいのが実情です。

そんな二世帯住宅ですが、今回幸運にも実際にハウスメーカーの担当者に話を聞く機会を得ることができたので、実態に近いものを調べられたと思います。本記事が、あなたの二世帯住宅づくりの一助になれば幸いです。

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