こんにちはFPバンク編集部です。
いざ貯金をしようとしても、細かくお金が出ていってしまい年末に貯金残高をみて、なかなか貯まってないな。 なんて思う方も多いと思います。
自動的にお金が貯められてさらに貯金額以外でもお金をもらえるとしたら…いいと思いませんか?
そんなおトク要素満載の個人年金保険を徹底紹介いたします。
目次
1. 個人年金保険ってどんなもの?
(1)個人年金保険とは?
個人年金保険とは保険料を支払い、預入企業に運用により、老後の生活資金を準備する年金システムです。
インフレによる物価上昇、少子高齢化による年金受給額の減少を背景に、各々の老後世代を安心して暮らせる資金を準備したいニーズにより脚光を浴びるようになりました。
この個人年金保険は、受給期間および確定で受給できる期間の有無で以下の3つの種類に分けられます。
「有期年金」 積み立てた保険料を一定期間(5年から15年ほど)内で、年金で受け取る年金です。
メリットは、受取金額および期間が同一であるならば一番保険料(積立)が安く済むこと。
デメリットは、亡くなってしまった場合は年金がもらえなくなってしまうことと、長生きした場合には、終身年金よりもらえる年金額が少なくなってしまうことです。
「終身年金」 積み立てた保険料を一生涯にわたって年金で受け取る年金です。
メリットは、長生きをし続けるほどもらえる年金額が多くなることです。
デメリットは、相当長生きをしないと支払保険料(積立)>年金受給額といういわゆる元本割れを起こすことと、有期年金同様亡くなってしまった場合は年金がもらえなくなってしまうことです。
また有期年金と、終身年金は確定で年金が受給できる期間(確定期間)を設定しリスクを減らすことが可能です。
「確定年金」 積み立てた保険料を一定期間、確定で受給できる年金です。
メリットは、満期まで保険料を支払っていれば、たとえ年金受給期間内に亡くなっても年金が受給でき元本を欠損することがありません。
デメリットは、長生きしたとき終身年金より受給額がすくなるなることです。
(2)私にあう個人年金保険はどれだろう?
個人年金保険は、上記3種類の年金に加え、保険料をどのように運用するか(定額年金と変額年金)、日本円で積み立てる(円建て)か、外貨で積み立てる(外貨建て)を選ぶことができます。
「定額年金」 契約時から預入企業の予定利率にて運用する年金。
メリットは市場金利等のリスクに影響されず、将来の年金額が確定こと。デメリットは契約後、運用実績が上昇しても受給額が増えないことです。
「変動年金」 積立期間の運用実績に応じて年金受給額が増減する年金。
メリットは、市場金利等の上昇等により運用実績が良ければ年金受給額も増える(儲ける)ことが可能なこと。
デメリットは、市場金利等の下落等により運用実績が悪化した場合、元本割れのリスクがあることです。
「円建て」 保険料の積立および年金の受け取りすべてを日本円で行う年金。
メリットは、為替のリスクなく円建て、定額年金、確定年金を選べば、元本割れのリスクはほぼゼロにできるといった安定性の高いことです。
デメリットは、為替リスクがないため為替差益を得ることができないことです。
「外貨建て」 保険料の積立および年金の受け取りを外貨で行う年金。
メリットは、年金受給時の為替レートが保険料積立時の平均為替レートより円役になっていれば為替差益が発生し、より多くの年金受給が可能になることです。
デメリットは、逆に円高になってしまった場合、元本欠損する可能性があることです。
たくさん種類があってわからなくなりそうですが、判断基準として、元本割れのリスクがあることを許容できるかどうかで決めるとよいでしょう。
個人年金保険に限らず金融商品は、低リスクのものよりも高リスクの金融商品の方が利益をだせる可能性が高くなります。
しかし、利益を得ることばかりに執着してしまい、高リスクな金融商品だけで老後資金を準備した結果、元本を欠損し、いざ必要になったときに必要な金額が準備できてなければ意味がありません。
自分のはじめようとしている個人年金保険がどのようなリスクがあるのかをしっかりと認識して開始することを心がければ、おのずと自分に合った個人年金保険が選択できます。
2.個人年金保険のメリット・デメリット
(1)個人年金保険のメリット
ここまでこのコラムを読んで頂いた方の中には、個人年金保険は、あくまで老後資金を貯めるためのものだから、その貯め方は個人年金保険である必要はないと考える方もいると思います。
確かに、貯金や、投資信託や株の売買など、世の中にはたくさんの貯蓄方法がありますし、それぞれメリットが存在します。
では、なぜ老後資金の貯蓄に個人年金保険を利用する人が多いのでしょうか。
理由は個人年金保険の、他の金融商品にはないメリットに尽きます。これから個人年金保険のメリットについてご紹介します。
① 個人年金保険による、所得税、住民税の控除が得られる ② 確実に貯蓄ができる。 ③ 掛けた保険料より年金受給額の方が多くなる、いわゆる収益が得られる可能性がある
① については、以下の条件を満たせば支払い保険料に応じて、最大で所得税が4万円、住民税が2.8万円控除されます。
(平成24年1月1日以降契約) ・年金受取人が、契約者本人またはその配偶者であること ・年金受取人が被保険者と同じであること ・保険料の掛込み期間が10年以上であること ・年金の受取期間が10年以上であること(有期年金、確定年金の場合) ・税制適格特約が付与されている保険契約であること
個人年金保険の保険料支払いをして、年末調整等で申請をする限り、毎年税金の控除が受けられます。まさに個人年金保険をする最大のメリットと言えるでしょう。
② については、保険料の支払いにより個人の管理ではなくなるため、銀行預金のように気軽に引き出せなくなります。そのためより確実に貯蓄することが可能になります。
③ については、保険料を預入している企業がその保険料を運用してくれるため、支払い保険料より年金受取額の方が大きくなる、いわゆる収益が見込めることです。
老後資金を貯める仕組および運用によってふやすことができる。
これが個人年金保険の2つ目のメリットと言えます。
(2)個人年金保険のデメリット
とはいえ個人年金保険にもデメリットは、存在します。個人年金保険は、あくまでも老後の資金を効率的に貯めて、増やすことを目的としています。
それゆえに以下のデメリットを内包しています。
① 途中解約してしまった場合、元本割れをする可能性が高い ② 掛け込んだ保険料にたいして、受給する年金額がきまるためインフレの影響を受ける
① については、個人年金保険は長期で預かった保険料を運用することを前提としているため、満期が到来するまえに解約(いわゆる中途解約)をした場合、ペナルティとして返戻率による補正がかかります。
中途解約をした場合、この返戻率は100%になることはほぼないため、結果掛け込んだ保険料より解約に伴う返戻金がすくなくなるという元本割れがおこります。
② については、個人年金保険はあくまでも掛け込んだ保険料を原資にして運用し増えたお金を、年金という形で受け取るものです。
しかし、ここで言う増えるというのはあくまでもお金の価値が変わらないことを前提としています。
極端な例にはなりますが、個人年金保険を開始したときは1個130円でリンゴが買えていたが、年金を受給するころには1個200円払わないとリンゴが買えなくなってしまった場合、仮に運用により10%の利益が出ていたとしても実質的には利益があったとは言えません。
個人年金保険のデメリットは、あくまで老後資金の準備であるから、そのお金は使えないことと、お金の価値自体を保障してくれるわけではないため、個人年金保険だけに偏った貯蓄をしてはいけないということを認識しておく必要があることです。
3.個人年金保険を利用した貯金シミュレーション①
(1)保険料控除による税控除って効果あるの?
個人年金保険は用件を満たせば所得税および住民税にそれぞれ控除が受けられます。
還付額は所得の額や所得税、住民税の支払い額によって異なりますが、控除による各種税金の還付は、懐をいためずに貯蓄額をふやせることとなりますので非常に有効です。
また、還付金を利益とみなした場合の利益率も魅力的です。
たとえば、仮にこの還付金が年間6,000円として、個人年金保険料を毎年10万円はらっていた場合 6,000÷100,000=0.06 つまり6%の利益をもらっているのと同じ効果がある。
今のマイナス金利の日本でこれだけのリターンがほぼノーリスクで得られる商品はほとんどありません。
(2)税控除を最大限に使ってムリなくためる方法
個人年金保険の控除を最大限に受けるようこれから契約をした場合、金額としては年間8万円の保険料支払いの個人年金保険がもっとも税効果が高くなります。
8万円の時点で控除額の上限に達してしまうため税控除を最大限に利用することを考えると、これ以上保険料を上げることも可能ですが、8万円にとどめておくことがベストでしょう。
もし、もう少し貯めたいのであれば、iDeCoやNISAなど、他の税控除が見込めるもので運用してみると貯蓄しながら、さらなる還付金が見込めるのでより効果的に貯蓄ができるでしょう。
4.個人年金保険を利用した貯金シミュレーション②
(1)老後資金っていくら用意する?
老後2,000万円問題など、老後資金っていくら用意すればいいかわからないものです。
そこで自身が60歳から平均寿命までの年数×12×25~35万円(1家族の月平均費用)から自身がもらう年金を差し引いた額が用意すべき金額と見なすのが適切に思います。
例 2人暮らし、年金月15万円受給の場合 ① (89-60)×12か月×25万円=8,700万円 ② (89-65)×12か月×15万円=4,320万円 ③ 8,700万円-4,320万円=4,380万円 ※退職金等貯金ストックおよび長生きのリスクは考慮していません。
4,380万円を2人で割れば、2,190万円ほど不足となります。 この不足を23歳から55歳の32年間積立てで用意するならいくら貯める必要があるでしょうか? 2,190万円÷32年=68.44万円 約68.5万円
これに対して、年間68.5万円の貯蓄のうち、8万円個人年金保険で用意した場合を考えてみます。 なお、還付金は年間6千円と仮定します。
59.9万円+8万円+0.6万円=68万5千円 0.6万円×32年=19.2万円
32年間で19万円となるとあまり多く感じられませんが、銀行の普通口座の利率は0.001%なので年間6.85円。32年間で219.2円になります。
貯め方を変えるだけでここまで貯金額に差ができることをぜひ覚えておいて下さい。
<関連記事>ほんとうに必要な老後の生活費、その平均はいくらなのか?
(2)個人年金保険を使って、貯金をする習慣を身につける
個人年金保険を使って貯金する習慣を身につけるとは、端的にいえば口座引き落としや、天引きを使って貯金額を確保してしまう習慣を身につけることを指します。
収入から支出の残りを貯金しようとすると大抵うまくいきません。それはひとえにいつでも使える口座にお金があれば気が緩んでしまい使ってしまうからです。
では逆に、先に貯蓄額を差し引いておいたらどうでしょう?
保険料として支払ったお金は自由には使えません。また無理に使おうとすれば損をしてしまいます。
このように個人年金保険は貯蓄額をあらかじめ確保する習慣を身につけるにはもってこいの方法であるとも言えます。 お金を貯めるのが苦手と思っている人こそ効果的です。
ぜひ試してみてください。
<関連記事>節約いらず!家計簿いらず!貯金が苦手な人にこそ取り入れたい方法とは?
5.まとめ
今、日本はかつてないほどの低金利時代に突入しており、なかなか個人資産を増やすことは難しい状況です。
しかし、個人年金保険に限らず仕組みや制度をうまく利用することで効率的に貯蓄することができますし、成果が数字としてはっきりと見えるようになりますので貯金の苦手意識も減っていくと思います。
このコラムを読んで、少しでも貯蓄が楽になってくれたら幸いです。
2020年7月25日 text by 久保田 正広 FPバンク