4月から『自転車保険』が義務化?入らなきゃダメなの?

2020年4月に新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が出され、テレビなどではその話題で持ち切りですが、その陰で、東京都では自転車に乗る人に『自転車保険』の加入が義務化されました。子供もお年寄りも自転車に乗る人は全員?入らないと罰則が?

1.『自転車保険』とは

『自転車保険』とは、自転車を利用している時に起きた事故で、他人を死傷させたり、他人のものを壊してしまった場合の損害を賠償するための保険のことです。今までは『自転車保険』の加入を努力義務とする自治体が多かったのですが、東京都では2020年4月から義務化されました。今回は東京都を例にとって『自転車保険』のお話をしていきます。

『自転車保険』という名前から、どんなものなのかは何となくイメージできると思いますが、
一般的な『自転車保険』は2つの補償内容で構成されています。

1.自転車を利用している時に起きた事故で、自分が死傷した場合の損害を補償
(例…自転車でころんでケガをしてしまった)

2.他人を死傷させたり、他人のものを壊してしまった場合の損害を賠償
(例…お年寄りと衝突してケガをさせてしまった・車と接触し傷をつけてしまった)

『自転車保険』の補償内容を一言で表すと、「自分と相手に対する補償」となります。

2.義務化の対象と未加入の罰則

「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」によると、『自転車保険』の加入が義務づけられているのは自転車利用者、保護者などとなっています。自転車に乗る人はもちろんのこと、自分は自転車に乗らないが子供が自転車に乗っている保護者なども含まれるので、かなり広い範囲が対象となります。

義務化というくらいなので、それに違反した場合は罰則があるのかというと、現時点では『自転車保険』に加入しなくても罰則はありません。ただし、条例違反に間違いないので、自治体によっては、自転車通勤・通学を認めない可能性も考えられます。
近年、自転車事故の件数が増え続け、事故の損害賠償額が約1億円という判決も出ています。自転車と同じ車両扱いとなる自動車は任意保険の加入率が約90%なので、高額の損害賠償額であっても保険で対応できる場合がほとんどですが、『自転車保険』の加入率は約60%にとどまっています。このような状況では、自転車事故による損害をカバーできない可能性があるため、『自転車保険』を義務化したのが、条例を定めた理由の一つです。


【出典】警視庁ホームページ
都内自転車の交通事故発生状況・自転車事故の推移(令和元年中)
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/bicycle.files/001_01.pdf

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3.すでに『自転車保険』に入っている場合も

東京都が考える『自転車保険』の補償内容は一般的なものとは異なっています。条例は「自転車の利用によって生じた他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等に加入しなければならない」となっているため、補償しなければならないのは自分ではなく相手だけということになります。つまり、自転車に乗るなどの日常生活で起きた事故の賠償責任に対応する保険に入っていれば、新たに『自転車保険』という名前の保険に入る必要はありません。

『自転車保険』の加入率は約60%、半分以上の人がすでに入っていることになりますが…本当にそんなに多いのって思いませんか?実は、ほとんどの人が『自転車保険』という名前の保険ではなく、日常生活の中で起きた事故の賠償責任に対応する個人賠償責任保険を『自転車保険』の代わりとしています。この保険はご自身の車の自動車保険やご自宅の火災保険などの特約として付帯されていて、あまり意識せずに入っているかもしれませんが、これも東京都が考える『自転車保険』になります。

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4.不要な支出をしないために

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やお子さんの学校がお休みになったので、今までよりも自宅にいる時間が長くなり、生活費が増えているというお話をよく耳にします。収入が減っている人も多く、不要な支出は抑えなければなりません。3密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避けるために電車通勤から自転車通勤に切り替える人が出てきているので、自転車事故も増えているようです。

『自転車保険』が義務化されたとはいえ、罰則はありません。でも、罰則がなければ入らなくても良いのでしょうか?条例が定められた背景や『自転車保険』の必要性を考えると、入っておかなければならないものだと思います。事故を起こしたときのことを想像してみてください。少額の保険料とは比較にならない不要な支出が発生することになりますが、みなさんは支払うことができますか?『自転車保険』には「自分と相手に対する補償」の他に、「自分の生活を守るための保障」も含まれているので、義務化をきっかけにしていただければ幸いです。

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2020年5月11日
text by 久保田 正広
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