生命保険料控除は生命保険に加入している契約者がうけられる権利の一つです。納税者が加入している生命保険の種類に応じて一定額の所得控除を受けることができます。
年に一度申請をするだけで定額の所得控除を受けられるというものですので有効に使いたいですね。
1.保険料控除 …意外に大きな資産形成効果
そもそも資産形成をする際に選ぶ金融商品の一つとして「生命保険」という選択肢があることはご存知でしょうか。定期預金、積立預金、投資信託、株式投資、純金積み立てなど資産形成する金融商品は多々ありますが、貯蓄型の「生命保険」も金融商品として活用できます。
生命保険料控除*となる生命保険の分類には「一般生命保険」と「介護医療保険」と「個人年金保険」の3つに分かれます。例えば、それぞれの分類の生命保険に加入していた場合、年間の生命保険料控除額は所得税控除が上限12万円となります。所得税率が20%の場合だと12万円の20%の24,000円得をすることになります。
また、毎月の保険料をそれぞれ1万円ずつ加入していた場合、年間の保険料は36万円となります。36万円に対して24,000円得することになりますので、年6.6%の運用ができていることになります。この保険に20年加入すると合計で48万円も利益が出ることになり、夫婦で利用すればさらに2倍になります。ちなみにこれは所得税の控除のみの話です。
これに住民税の控除も入れるとさらに得するということになります。これは定期預金や投資信託にはないメリットと言えるでしょう。こうした制度を使って上手に賢い資産形成としていきたいですね。
〈出典〉* 国税庁ホームページ「生命保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
2.生命保険で貯蓄…他にこんな効果も
(1)課税の繰り延べ
定期預金では利息がありますが、その際に利息に際して課税がされています。株式や投資信託においても運用益や配当に対しては課税されています。
しかしながら、生命保険で貯蓄している場合、解約返戻金として受け取るときのみに「所得税(一時所得)」として課税されるため毎年の課税がありません(課税の繰り延べ)。そのため、保険の運用においては非課税のまま「複利」で運用されることになりますので、より投資効果が高くなっています。
(2)資産形成をしながら「保障」がつく
あたりまえなことなのですが、保険を使って資産形成をしますので、病気や死亡した時には「保障」がついてきます。これも大きな利点と言えるでしょう。
(3)受取時は「一時所得」扱い
養老保険で満期を迎えたときや貯蓄型の生命保険を解約して解約返戻金を受け取るときには「一時所得」扱いとなります。払った保険料以上に受け取り額が多い場合は、さらにそこから50万円の控除が効きます。その50万円の控除をさし引いてもまだ受け取り額が多い場合は、その額の1/2が課税の対象となります。
多くの場合、満期保険金を受け取る頃には年金生活者になっているので、所得税が10%未満となる場合が多いため、さらに一般の金融商品に比べたメリットが大きくなる可能性があります。
3.まとめ
金融商品はそれぞれに税制の効果や特徴があります。
その中でも生命保険には生命保険料控除の他、預金や株式等他の金融商品にはない生命保険特有の税制の優遇などがあります。
どんな金融商品を使って資産形成をするかを検討する際には、生命保険も選択肢のひとつに加えてみることをお勧めします。
2020年1月18日
text by 久保田 正広
FPバンク