保険の見直し方がわからないのでネットで調べている方に、押えておきたい3つのポイントをお伝えします。生命保険は複雑でわかりにくいので、行動を起こす前にチェックしてみてください。
目次
1.どこを見直したいか
(1)全体像を、先ず簡単にチェック
見直しのきっかけは様々でしょう。結婚した、子供が生まれた、家を買った、収入が減った、退職した・・。このようなライフプランの節目かも知れません。いずれにしても何らかの理由で保障を充実させようか、あるいは逆に必要性を感じなくなって今の保険を続けるべきかといった話でしょう。
この答えを出す流れはこうです。まず、保険に一切加入していないとして、今のあなたに本当に保険が必要かどうか考えます。生命保険でできることは4つしかありません。「死亡の際の遺族への保障」「病気・けがの際の保障」「教育資金などまとまった資金形成への備え」「老後の生活等への備え」です。何が必要か分かってきたら、既に加入している保険でどのくらいカバーできているか確認します。
もし、それで十分カバーできているなら何も見直す必要はないですね。保険料も若い時に加入した方が一般的には安い事が多いでしょう。
一方、自分の必要とする保障と何かずれていると思った場合は話は別です。これを明らかにするためには、先ず現在加入中の保障内容を詳しく確認してみる必要があります。
(2)保障全体と保険料総額を比較
保険の内容を見る時は、どんな場合にいくらの保険金が受け取れるかという点だけでなく、その保障がこの先いつまで続くのか、10年、30年、一生涯か、また保障内容や料金(保険料)は変化するのか、まで確認する必要があります。
その上で、保障全体と保険料総額を比較して、保障はそのコストに見合うか、保険料を払い続けてもその保障を得たいかどうか、を考えます。リーズナブルと感じられればOKですが、もしコストが高過ぎる、あるいはそれがよくわからないとなった時が問題です。
こうなってくると、そもそも何のために用意するのか、本当にそこまでして用意する必要があるのか、例えば国や会社からの手当てもあるのではないか。他の人はどうしているのか。平均値は。などなど色んな疑問が出てくるはずです。今回はその中でも保険に加入する目的は何かに焦点をあてて考えてみます。
2.加入目的の再確認、保険以外の手段の有無
(1)一番問題があるのは、加入目的とずれているケース
加入目的を考えるなんて当たり前だろうと思うかも知れませんが、残念ながら、加入目的と加入中の保険がぴったり合っているかわからないという方がとても多いのです。
加入目的と保障内容がずれていると、保険料がムダになるだけでなく、保険をかけてまで備えようと思っていた万一の事態に全く役に立たないことになってしまいます。
これは一番避けなければならないケースです。
(2)保険以外の手段はないか
保険でできる4つの分野については既に述べた通りですが、その必要性は代替手段も合わせて考えるべきです。
死亡や病気・けがに対する保障や教育・老後のための資産形成は何も生命保険だけが解決策ではありません。年金や健康保険などの社会保障や会社の福利厚生、自ら貯蓄するといった手段があります。
もっと言うと社会保障や貯蓄が第一順位で、生命保険を利用するのは第二順位と言った方が正しいでしょう。何故ならば社会保障は加入が強制されていますし、貯蓄が十分あってそれで備えられるリスクには、保険コストをかけて備える必要は無いですね。
本来家計を助ける非常に大切なものであるはずの生命保険が、家計の圧迫要因になってはいけません。そのためには、何故保険を使うのかその理由を明確にしておかなければなりません。
保険以外の選択肢も含めた上で、ベストな選択肢は何かを考えてみましょう。
3.保険料負担を抑えるポイント
(1)掛捨てコストを抑える
保障ならば、当然のことですが最も小さなコストで最大の保障を得るのが理想です。しかし、多くの人はこれができていません。先ず目的と必要なボリュームを明確にして、次はどういう保険の組み合わせを選ぶとコストを抑えられるかを考えます。
例えば貯蓄型が使えると実質コストをゼロにする事さえできますが、これは詳しくは次の項で見て行きます。では掛け捨て型の場合はどうするか。同じ保障内容ならば安ければ安い程いい訳です。
保険料負担を下げる方法(死亡保険の場合)
・更新型を避ける
・保険金の受取方法を一時金から年金に変更する
・保険料の安い保険会社を選ぶ
・リスク細分型の保険料率を使う
・月払いから年払いに変更する
・口座振替からクレジットカード払いにする(クレカはポイントが貯まる)
(2)貯蓄型のメリット
最後に貯蓄型の保険のメリットについてお話ししましょう。
一口に貯蓄型の保険と言っても色々あります。個人年金保険、学資保険、養老保険、終身保険などです。貯蓄を目的にする場合に、他の金融商品と比べてどんなメリットがあるでしょうか。
貯蓄型保険は長期金利をベースとして商品設計されていますので、保障というコストを差し引いてもしっかり利息がついてくる設計になることも珍しくありません。但し短期に解約すると返戻金が掛けた額を下回る事が多いので、主に中長期で貯めるのに適しています。
また貯蓄型保険の最大のメリットは、他の使い道のために途中で使ってしまうことのない、資産形成効果にあると言ってもいいでしょう。
10年から30年程度の長期間で、金額としては数百万円から1千万円超になることもよくあります。金額が大きくても長い年月をかければ、十分貯められます。そして保険ですから、途中で万一のことがあっても保障されることは言うまでもありません。
教育資金や老後資金が、知らず知らずのうちに着実に貯まっていき、それなりに利息も付いてくるので、資産運用の苦手な日本人にとっては格好の貯蓄手段になっています。
この他にも、保険料控除が使えて節税しながら貯めることができる、あるいは将来受け取るお金にかかる所得税も他の金融商品にはない税制のメリットがある事や、厚生年金と違って、貯まったお金を元に一時的にお金を借りることもできる(特に自営業者にとっては朗報です)などなど、様々なメリットがあります。
もちろん預金や投資信託にもそれぞれのメリットがありますので、要は使い道や、使う時期に応じて金融商品を選ぶことが大切です。
4.まとめ
保険の見直し方について一般的な方法を述べて来ました。特に現状把握や目的を明確にする作業がとても大切なプロセスです。専門家に依頼してでもここはしっかりとやりたい所です。これらの方法を知っているだけで、きっといい見直しができることと思います。
但し、今回の話はあくまで一般論です。家族構成や年齢、職業、収入などによっても見直し方は大きく変わってきます。その部分をしっかりと見極めるにはライフプランニングという手法を取り入れることが有効です。
一般的な基礎知識と我が家の場合はどうなるのか、この2つの視点から見直しできれば完璧です。
2019年9月27日
text by 久保田 正広
FPバンク