「新NISAをきっかけに投資を始めたけど、暴落で怖くなった」
「株価が乱高下している。このままでいいの?どうしたら良いんだろう?」
そんな言葉を面談で聞く事が多くなりました。
2024年7月中旬以降、米国や世界的に株価が大きく下がり、2024年8月初旬には日経平均株価の歴史的な暴落を記録しました。
これにより、投資で順調に増えていた金額が一気に減ったり、場合によってはマイナスに転じたりした方もいるのではないでしょうか。
「長期で預けておけば、預金よりはふえる」という「投資=ふえる」というイメージで投資を始めた方には、このまま続けること自体が難しく感じられているかもしれません。
ですが、そこで止めてしまうことこそが投資の失敗なのです。
本コラムでは、投資初心者の方がやりがちな失敗をお伝えし、暴落時でも損を抑える方法について解説していきます。
本コラムでわかること
目次
1. 初心者が投資を始めた時にやりがちな5つの失敗
「投資で失敗したくない」
そうは言っても思うようにできないのが投資です。
本章では、投資初心者が特にやりがちな失敗を5つのパターンを解説してきます。
本章を読んで「どうしたら失敗してしまうのか」を先に知っておいていただければと思います。
1-1. 値下がりが怖くなって早期売却してしまう
値下がりが怖くなって早期売却してしまう。
これは初心者が最もやってしまいがちな失敗と言ってもいいでしょう。
なぜかというと、値下がり時に怖くなって早期売却してしまうのは「投資は長期かつ分散させて行う」という基本と真逆の行動だからです。
投資を成功させるには、長期・分散が基本です。長期とは5~10年以上、分散は2種類以上が目安です。
この基本を意識した行動ができれば、相場が大きく下落した時でも、予想外の損失を出さずに投資を成功させられる可能性がグッと高まります。
例えば、大きな値下がりと言えば、最近では2024年8月5日に日経平均株価が大暴落しましたね。
こういった世界的に不安な出来事があると、株式や投資信託は一斉に売られます。実際に日経平均株価は、約6日で39,101.82円→31,156.12円へ、約20%も下がりました。
「値下がりが怖くなって早期売却してしまう」は、このタイミングで多く発生します。
その後「いくら何でも安すぎる」「そろそろショックも落ち着いてきたかな」と判断されると、また買い戻されます。
そしてある程度待つと、下がる前以上の水準まで上がってくることもあります。
実際、2020年3月のコロナショックでは約1ヵ月で23,386.74円→16,552.83円へ、約30%、株価が下がりました。
しかし、約1年後には30,017.92円になりましたので、約80%も上がったことになります。(下図参照)
売らずに持ち続けていれば利益を出せていたのです。
(参考:Google 日経平均株価 5年チャート)
しかし基本を知らず、「怖い」「もう見たくない」「耐えられない」といった気持ちが出てしまうと、一番下がっている時に売却してしまいがちです。
また、株価が大きく上下したり、為替が不安定な動きをしていたりする時には、テレビなどのメディアで大々的に伝えられます。
これによって必要以上に不安を感じてしまうのですが、こういうときにこそ慌てて売却したりせずに、初心に戻って長期保有を意識することが大切なのです。
1-2. 使ってはいけないお金に手を出してしまう
生活費など、使ってはいけないお金にまで手を出してしまうことも、初心者がやりがちな失敗として挙げられます。
なぜなら使ってはいけないお金に手を出すということは、手持ちの資金のほとんどを投資したギリギリの状態と考えられ、その状態が続けば投資自体を続けられなくなってしまう可能性が高いからです。
投資を続けられていれば、そのままでも順調な資産形成が期待できたり、タイミング良く追加投資を行ってさらに資産をふやすチャンスが来たりすることもあるでしょう。
しかし生きる上で不可欠な費用が足りなくなってしまえば、どんなに運用の調子が良くても、売却してお金をつくらざるを得ません。そうなれば、チャンスを逃すばかりか、それまでコツコツ積み重ねた結果も台無しになってしまいます。
手を出す、という認識はないかもしれませんが、最近は「余裕資金があったらどんどん投資にまわそう」という考えの方が増えている感じがしますので、この点は少し危ないなと思っています。
特に、2024年からNISAの非課税限度額が大幅に増えたこともあり、投資に対する関心はさらに高くなっています。
このためか、最近のご相談では「NISAで投資を始めたいと思っているが、非課税枠1800万円はフルに使った方がよいのか?」といった質問も受けることが多くなりました。
そんな時、私は「投資を始めるにあたって大切なことは、預金も含めた金融資産のバランスに注意して、投資にまわす金額を決めることです」とお伝えしています。
現状を踏まえて、投資に回せる金額を最初にしっかり決めておけば、使ってはいけないお金に手を付けてしまうことを防げます。必要なお金をきちんと確保していれば、予定外の売却をする必要はなく、長期の資産運用を続けることができます。
みなさんを取り巻く投資環境がこれからどうなるか、これはプロでも予測が出来ません。
だからこそ適正な金額で投資することが必要なのです。
1-3. ハイリスク・ハイリターンの商品を購入してしまう
初心者がやりがちな失敗の3つ目は、「ハイリスク・ハイリターンの商品を購入してしまうこと」です。
初心者は投資のリスクについて十分理解していないために、身の丈に合わない金融商品、言い換えれば”自分が耐えられない値動きをする商品”を買ってしまいがちです。
なぜ買ってしまうかというと、その方がすぐ利益を出せると思われているからです。
しかしどれだけのリスク・どれだけの値動き幅まで耐えられるかは、一人一人違います。
投資の状況は毎日変化しますから、自分が耐えられない状況になった場合は損失が出ていても解約せざるを得ず、結果失敗につながってしまいます。
「すぐ利益が出そう」「これまで好調に値上がりしているから大丈夫そう」「このくらいの値動きなら、自分ならたぶん大丈夫」と思えるものがあったとしても、実際に投資する前に一回立ち止まってみてください。
そして、ファイナンシャルプランナーなどの第三者の立場から冷静にアドバイスをくれる専門家に、
- その投資にはどんなリスクがあるのか
- 実際のところ、自分にはその値動きに耐えられるだけの資金があるのか
- もし失敗して損失を出したら今後の運用計画にどんな影響を与えるのか
といったことを相談しておきましょう。そうすれば、あなたが本当にそれに投資していいのかを教えてもらえます。
1-4. 金融機関のいいなりになってしまう
初心者がやりがちな失敗の4つ目は「金融機関のいいなりになってしまう」です。
実は、金融機関からの提案は、資産運用の基本である長期投資・分散投資になっていないことが多くあるのです。
なぜなら日本の金融機関の大半は、購入手数料が収益の大半を占めるビジネスモデルになっているからです。つまり、長く保有するのでなく商品を購入してもらわなければ収益にならないのです。
商品を購入してから大体1年くらい経つと「利益が出ているので売却して利益確定しましょう。次はこの投資信託がいいです。」といった具合に買い替えを勧められることが多いです。
また、提案してくるのは自社やグループ会社で取り扱っている商品になるので選択の幅も少なく、効果的な分散にならないことがあります。
これでは5年以上の長期の資産形成や分散投資はしづらいでしょう。
繰り返しますが、投資の基本は長期分散です。長期の目安は5~10年以上、分散は2種類以上です。
これを妨げる提案には注意してください。
銀行や証券会社から長期分散にならないような提案をされた時は、金融機関に属さない独立系のファイナンシャルプランナーなど第三者的な立場からアドバイスが期待できるところに相談し、セカンドオピニオンをもらってみることがおすすめです。
その提案が本当に長期目線になっているか、あなたに合っているかをしっかり判断してくれるでしょう。
ファイナンシャルプランナーに投資の相談をするメリットや、相談先の選び方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらも読んでみてください。
1-5. ネット情報を鵜呑みにしてしまう
投資を始めるにあたってまずやってみることは、ネットで情報を入手することではないでしょうか。
このネット情報を鵜呑みにしてしまうことも、初心者がやりがちな投資の失敗行動の一つです。
ネット情報を鵜呑みにしてはいけないのは、以下の2つの理由があるからです。
- いかに多くの人に見てもらうか、という点にフォーカスをあてて作られているので偏った主張になっている可能性がある
- あなたにとっての最適な解答ではない可能性がある
ひと口にネット情報といっても、とても多くの媒体があり、膨大な情報がありますよね。
例えば、金融庁などの公的な機関や各金融機関も積極的に情報発信をしていますし、YouTubeでは専門家を名乗る人が様々な持論を展開しています。
その中には、初心者の方の心を惹きつけるような強烈なワードであったり、なるほどと思わせる話の展開だったりするものが多くあります。
ですが、ネットの情報はあくまで大勢の人の目に留まるように、多くの人に当てはまるように書かれています。あなたにとっての最適解とは限らないのです。
したがってネットで情報収集してもいいですが、本当にあなたがやるべき投資・投資計画を考える際は、その情報を鵜呑みにしないように注意しましょう。
万全を期すなら、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談するのがおすすめです。
ネットを含めた多くの情報を整理し、あなたの現状や将来像を把握した上で、最適なプランを作ってくれることが期待できます。
初心者向けの投資のご相談はFPバンクへ
本コラムでは投資初心者がやりがちな5つの失敗をお伝えし、暴落時でも損を抑える方法を紹介しました。
投資を始めたばかりの方に、できるだけ損をしないよう、良い投資体験のスタートを切っていただきたいという想いで執筆しました。
例えば、本コラムで取り上げたようなおすすめの方法を試してみたり、やりがちな失敗を分析してみたり、勉強して知識を付けてから厳選してみたり、あるいはファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみる等、色々なアプローチ方法があります。
ぜひ自分に合った方法を使って、納得のいく投資を行っていただければと思います。
もし投資についてのお悩みやご相談があれば、FPバンクの無料相談も、お気軽にご利用してみてください。初回のご相談は無料で行っていただけます。
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