「私たち夫婦は生活費を使いすぎなんじゃないか?」
「いつも月末になるとお金が足りなくなる気がする」
「まわりのみんなはどうなんだろう?」
と、自分たち以外の生活費の平均が気になったことはありませんか。
生活費の平均は、総務省が毎月生活費の調査データを公表しています。
夫婦二人の生活費の平均は、令和2年の平均データで月額約22.5万円です。
多いと感じましたか?少ないと感じましたか?
全体の平均値だけみても、実際に自分たち夫婦の場合どうなのかすぐには参考にならないと思います。
そこで本記事では、生活費の内訳や年収別、世代別、地域別など、あなたの生活費にとって参考になるデータをまとめました。
さらに、夫婦2人にとって適正な生活費の考え方を解説しました。
この考え方を実践することで「生活費を節約しなければ」といった呪縛から解放され、もっと自由にお金が使えるようになるはずです。
※持家と賃貸で大きく差の出る家賃など住宅関連費を差し引いたデータを使用しています。
※公表されているデータから子供関連費用を差し引いたデータを使用しています。
目次
1. 夫婦2人の生活費の全国平均は22.5万円
夫婦2人の生活費の全国平均は22.5万円。
この章では、現役世代とリタイヤ世代、年収別、世代別、エリア別など様々な角度から夫婦2人の生活費の平均とその内訳をみていきたいと思います。
1-1. 【世代別】夫婦2人の生活費の平均
総務省が発表した、2020年の夫婦2人の月々の平均生活費の内訳は以下の通りです。
食費など、基本的には現役世代の支出の方は多いですが、水道光熱費や保険医療費はリタイヤ世代が上回るという結果になっています。
(出典:総務省家計調査2020年データ)
他の分類での生活費の平均はこちらです。
1-2. 【年収別】夫婦2人の生活費の平均
総務省が発表した、2021年9月の世帯年収別の生活費の平均は以下の通りです。
こちらも、現役世代とリタイア世代にわけてまとめました。
年収が上がるにつれ、食費・被服費・教養娯楽費が上昇する傾向にありますが、その他の項目についてはそこまで大きな変化はありません。
※年収別では夫婦2人のみの生活費は公表されておらず、2人以上世帯の生活費から子供関連費用を差し引いたデータを採用しています。
年収別生活費の一覧
※各年収をクリックすると詳細な内訳にジャンプします。
現役世代 | リタイヤ世代 | ||
年収 | 平均生活費 | 年収 | 平均生活費 |
200万以下 | ¥133,252 | 200万以下 | ¥143,695 |
200万 ~250万 |
¥146,256 | 200万 ~300万 |
¥154,059 |
250万 ~300万 |
¥160,716 | 300万 ~400万 |
¥204,637 |
300万 ~350万 |
¥162,393 | 400万 ~500万 |
¥232,354 |
350万 ~400万 |
¥170,790 | 500万 ~600万 |
¥240,757 |
400万 ~450万 |
¥202,547 | 600万 ~800万 |
¥260,993 |
450万 ~500万 |
¥220,062 | 800万以上 | ¥325,427 |
500万 ~550万 |
¥196,010 | ||
550万 ~600万 |
¥227,967 | ||
600万 ~650万 |
¥213,341 | ||
650万 ~700万 |
¥235,647 | ||
700万 ~750万 |
¥244,657 | ||
750万 ~800万 |
¥269,287 | ||
800万 ~900万 |
¥272,844 | ||
900万 ~1,000万 |
¥275,595 | ||
1,000万 ~1,250万 |
¥340,040 | ||
1,250万 ~1,500万 |
¥337,130 | ||
1,500万 以上 |
¥423,414 |
年収別生活費内訳
他の分類での生活費の平均はこちらです。
1-3. 【世帯主の年齢別】夫婦2人の生活費の平均
総務省が発表した、2021年9月の世帯主の年齢別の生活費の平均は以下の通りです。
若い世代の夫婦は意外と生活費の平均は高く、まだ比較的自由にお金が使えていると言えるかもしれません。
その後30代後半からは生活費をセーブする傾向がでていますが、年収の増加とともに生活費が上がっているようです。
65歳以降は現役世代ほどは使っていませんが、そこまで大きく生活費の水準が下がっていないことがわかります。
世帯主の年齢別生活費の一覧
※年齢をクリックすると詳細な内訳にジャンプします。
年齢 | 平均生活費 |
34歳以下 | ¥230,906 |
35歳~44歳 | ¥184,195 |
45歳~54歳 | ¥243,089 |
55歳~64歳 | ¥236,006 |
65歳以上 | ¥197,488 |
世帯主の年齢別生活費の内訳
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1-4. 【地域別】夫婦2人の生活費の平均
総務省が発表した、2021年9月の地域別の生活費内訳は以下の通りです。
東京、神奈川など関東地方は平均生活費が高い傾向にあります。
近畿地方は都道府県によって差があり、兵庫県などは東京並みに高い水準になります。
地域でくくるとこのような平均になりましたが、都道府県別にみていくと、意外な傾向もみえます。
ご興味のある方は是非総務省の家計調査のホームページをのぞいてみてください。
参考:総務省家計調査2020年データ
地域別生活費の一覧
※各地域名をクリックすると詳細な内訳にジャンプします。
地域 | 平均生活費 |
北海道地方 | ¥212,808 |
東北地方 | ¥203,953 |
関東地方 | ¥249,233 |
北陸地方 | ¥243,721 |
東海地方 | ¥229,173 |
近畿地方 | ¥218,514 |
中国地方 | ¥229,182 |
四国地方 | ¥207,774 |
九州地方 | ¥214,025 |
沖縄地方 | ¥184,121 |
地域別生活費内訳
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2. 夫婦が「生活費の平均」に振り回されてはいけないたった一つの理由
ご夫婦で楽しく充実した生活を送るためには「生活費の平均」に振り回されてはいけません。
なぜなら、一人ひとりの目指すべきライフスタイルは違うからです。
2‐1. 夫婦それぞれで目指すべきライフスタイルは違う
生活費は使いたいだけ使えるわけではなく、当然予算に限りはあります。
それを考えると、ある程度生活費の平均を参考にすること自体は間違いではないと思います。
ただ、夫婦の生活費を平均に合わせようとするあまり、自分たち夫婦にとって大切な支出を削ってしまうのはお勧めしません。
なぜなら、夫婦の目指すべきライフスタイルから大きく外れてしまうからです。
FP相談をしていると色々なご夫婦の生活費をお聞きすることになります。
価値観もそれぞれ、
- 食費にお金をかけているご夫婦
- 旅行やレジャーなどにお金をかけているご夫婦
- 共通の趣味にお金をかけているご夫婦
- 仕事がら交際費にお金をかけているご夫婦
- あまりお金を使わないご夫婦
- お子様の誕生を見据えて教育費の準備をしっかりしたいご夫婦
- 老後への準備をしっかりしたいご夫婦 etc.
ご夫婦の数だけ、本当に様々なライフスタイルがあります。
「使いすぎてる?」という不安を抱く方もいれば、「この項目にはしっかり予算を取りたい」という方もいます。
そんな中で生活費の平均を気にされるご夫婦の特徴は、シンプルに生活費が足りないという理由ではなく、
「使いたいところにお金を使えていないから、何か使いすぎな支出があるのではないか?」
もしくは、
「将来必要なお金が準備できていないから、使いすぎな支出があるのではないか不安!」
という理由が多いです。
使いたいところにお金を使えていないという思いを持つご夫婦は、自分たちにとって大切な支出に予算がとれていないことが多いです。
つまり、目指すべきライフスタイルからずれてしまっているという状態なのです。
限られた予算の中では好き放題お金を使えるわけではありませんが、「使いたいところにお金を使えていない」という思いを抱くのは、
- 平均より使えていない
- 平均より使いすぎなのではなく、自分たち夫婦にとって大切な価値観のあるものにお金を使えていない
という状態であることがほとんどです。
将来必要なお金が準備できていないから不安というのも同じです。将来に大きな希望のある方は、将来の計画がきちんと立っていないと、生活費が平均に収まっていたとしても不安に駆られます。
逆に生活費が平均に収まっていなかったとしても、将来に向けた計画がきちんと立っている夫婦は、不安を感じず平均を気にすることはないのです。
2-2.【事例】価値観はいろいろ
・旅行が大好きなご夫婦の場合
FP相談にいらっしゃるお客様のなかで、旅行にしっかり予算をかけたいというご夫婦は一定数いらっしゃいます。
そのご夫婦は旅行の予算がしっかり確保できていたら、たとえ生活費が平均より低くても満足度は高く、平均より少ないから不満だ、旅行に使いすぎているから不安ということにはなりません。
・食べることが好きなご夫婦の場合
逆に、生活費や旅行などにしっかりお金を使っていても、食べることが大好きなご夫婦だったら、食費に十分予算が取れていなければ物足りなさを感じて不満という感想になります。
いくら生活費の水準が高かったり平均値におさまったりしていても、生活の満足度は低くなってしまうのです。
・ゆくゆくはお子様の教育費にしっかりお金をかけたいというご夫婦の場合
こちらのご夫婦の場合には、子供が希望する進路にはしっかりお金を出してあげたい、我慢させたくないそんなお思いをお持ちの方が多いです。
そんな場合には、教育資金をためる計画が最優先です。それができれば、他の予算が低かったとしても不満にはなりません。
逆に生活費の水準が高かったとしても、計画がしっかり立っていなければ不安だという気持ちが拭えない状態になってしまいます。
・2人で老後に叶えたい夢があるので、老後に向けてしっかり準備をしたいご夫婦の場合
「今の生活費を軽視しているわけではないけれど、今は仕事などに忙しく時間もお金も意外と自由に使えない。だから老後は、現役中に叶えられなかった夢を実現したい」
こんな方もいらっしゃいます。
その場合は、将来実現したい夢に向けて着実に資金がたまっていく計画がとても大事となり、今の生活費はさほど気にしないということになります。
3. 夫婦のお金を考えるためにまず大事にしなければいけない3つのポイント
夫婦2人の生活費の話は、後回しにせず、必ず夫婦で話し合うべきです。
なぜなら、夫婦の生活費の不安や不満は一人では解決できないからです。
生活費を平均に合わせるだけでは夫婦の生活費に関する不安や不満は消えないですし、一人で考えて答えを出してしまっては、どちらか一方の不安や不満につながってしまいます。
とはいえ、夫婦でお金の話をするのはそんなに簡単ではありません。
日本人はお金の話をすることに苦手意識を持っており、タブーと考える傾向も強いです。
そのため、夫婦といえどもお金の話は切り出しづらい、いざ話し始めたらまとまらない、喧嘩になるなど、夫婦でお金の話をすることは意外とハードルが高いです。
そこで、この章では夫婦でスムーズにお金の話をするポイントを解説します。
3-1. お金の話を後回しにせずにする
実は、夫婦で楽しくお金の話ができるという方には、いまだかつて出会ったことがありません。
収入が高くても低くても同じです。夫婦といえでも育ってきた環境は違いますし考え方や思いも違います。お金の価値観がぴったり一致するということはまずないと思った方がよいです。
そんなわけで、お金に関する話題は夫婦ではしづらく、どうしても後回しにしがちです。
最近は夫婦ともに収入があるケースも増え、お互いの収入と支出を把握していない方も多いです。ブラックボックスのまま放置して、手遅れになってしまうケースもあります。
例えば、
- 夫としては十分な生活費を家計に入れていたつもりだったので妻がそこから将来のために貯金をする、と思っていた
- 妻は生活費として家計に入れてもらっていたので将来のための貯蓄は夫が別にやっている、と思っていた
こんなすれ違いから気づいたときにはすでに手遅れに…なんてこともあります。
- お子様の大学の入学が近付き、夫を契約者にした学資保険をあてにしていたら、知らない間に解約されていて教育資金が準備できていなかった
- 夫婦で特に考えずにお金を自由に使っていて、定年を間近にしてようやく老後資金がたまっていないことに気づいた
ということもあります。
早い段階でしっかり話し合いをしていれば、相手任せにせずきちんと準備ができていたはずです。
気づくのが遅いともう準備期間がなく、打ち手がなくなってしまいます。
それだけでなく、夫婦での話し合いを後回しにしているせいで、ずっとお金に関する不安やストレスを抱えたままになっている…これも良くないですよね。
後回しにすればするほど話しづらくなるもの、お金に関して不安や気になることができたら、相手が面倒くさそうにしていようが、すぐにきちんと話し合うというのはとても大切です。
後回しにしてよいことは一つもありません。
3-2. お金の話をするきっかけを作る
では、どうやってお金の話をするきっけかけを作ればいいのでしょうか。
いきなり、
「生活費について話したい」
「教育資金の話をしよう」
「老後資金の話をしよう」
と持ち掛けても、相手が前向きにその話にのってくるケースはほとんどないでしょう。
なぜなら、楽しい話ではないことが容易に想像がつくからです。場合によっては「責められるかもしれない」と警戒されてしまいます。
ですので、まずは夫婦共通の楽しい目的に向けた話し合いをするところから始めましょう。
直近の旅行の予算でもいいですし、いずれ叶えたい夢の話でもいいです。
楽しい未来をどう準備すればよいか話すという目的をもって話をすると、相手も前向きに相談に応じてくれる確率が高いです。
3-3. お金の話を感情的にならずにする
いざ話し合いが始まったら、相手を責めたり、感情的になるのは避けましょう。
ただでさえお金の話は苦手意識があることが多いので、すぐ話し合いが終了してしまうことになります。
そもそも考え方が違うんだから仕方ないという、ある程度の割り切りは必要です。
ただそれが簡単にできたら苦労しないですよね。
冷静に話ができても、話が平行線では意味がないです。
そこでどうすればよいかというと、第三者に立ち会ってもらいお金の話をするというのが解決策としてお勧めです。
夫婦二人の話を客観的に聞いてくれる第三者がいれば、片方の言い分だけが通って間違った方向に進んでしまうというリスクや、お互いよくわからない中で話が迷走してしまうリスクも減ります。
そうはいっても、夫婦のお金の話を知り合いにはしづらいですよね。
そこで活躍するのがプロのファイナンシャルプランナーです。
ファイナンシャルプランナーはお金に関する知識が豊富ですし、日ごろから沢山のご夫婦の相談にのっているので、どちらかに肩入れすることなく、ご夫婦の未来にとってより良い方向に冷静に導いてくれる可能性が高いです。
また、第三者であるお金の専門家が関わることで、夫婦2人の時には普段言いにくいことをカミングアウトするきっかけにもなります。
そして、生活費の現状について問題が発生したとしても、その対処方法のアドバイスも得られます。
結果として、生活費の平均を参考にして日ごろの不安や不満をなんとなく解消するよりも、より大きな安心や満足を得られることになるのです。
4. 夫婦2人で今使っていい生活費を知るための3つのステップ
この章では夫婦の生活費を、より安心で満足のいくものにするために必ずトライしてほしい3つのステップを紹介します。
その3つのステップとはこちらです。
- 長期のライフプランを把握する
- 教育資金の準備に必要な金額を把握する
- セカンドライフの準備に必要な金額を把握する
長期のライフプランを作成することで、将来の子供の教育費とセカンドライフに必要な資金がデザインできれば、今使っていい生活費がわかります。
そして今の生活費をどのくらいかけるかは、未来のライフスタイルと生活費に大きな影響を与えるのです。
4-1. 長期のライフプランを把握する
夫婦2人の生活費を考えるうえでまずトライしてほしいのが、長期のライフプランを把握することです。
長期のライフプランとは、例えば将来子供は何人欲しいのか、夫婦で叶えたいイベントや夢はあるのか、介護費用は準備するべきか、などが挙げられます。
直近の支出についてはリアルに想像ができても、5年後10年後30年後など将来の支出の見通しというのは漠然としている方が多いと思います。正確な未来の支出は予測できないとしても、漠然としたままでは直近の支出についても不安が拭えなくなってしまいます。
さらに今は、老後2000万円問題や教育資金の負担など、お金に関する様々な情報が飛びかっており、より一層「自分たちは大丈夫だろうか」という将来への不安を感じやすくなっています。それが今の生活費にも影を落としている方が多いです。
そこで、未来に必要なお金を長期で可視化するライフプランを作成すれば、将来必要なお金について今からどの位準備すればよいのかわかり、夫婦二人の生活費に安心して回せるお金も明らかにできるのです。
具体的には、将来の収入を少し保守的に想定し、将来の支出をしっかり想定した1年単位のキャッシュフロー表を作成することをお勧めします。
※キャッシュフロー表とは、収入・支出・単年度収支・資産残高を数十年の長期で見ていくものです。
ポイントは、厳しすぎず甘すぎない、できるだけ客観的なキャッシュフロー表を作成することです。
- 自身で作成する場合→便利ツールで家計をチェック|日本FP協会
- 簡易的なシミュレーションをまず体験してみたい場合→iction!みらい家計シミュレーション|リクルート
上記サイトはネット検索で出てくる中ではクオリティが高い方ですが、いずれも自分自身のライフスタイルに本当にマッチしたものができるかというと、そこまでではありません。自分自身のライフプランを客観的に作成することは、なかなか難しいのです。
きちんと自分自身にあったライフプランを立てたいということであれば、プロのファイナンシャルプランナーに依頼しましょう。プロの知見は必ずあなたの役に立ちます。
しかしそうは言っても、FP事務所の門をたたくのは、自分なんかが相談してよいものなのか、費用はいくらくらいかかるんだろうかと心理的ハードルは高いかもしれません。
そんな方は、まず初回は無料で相談できるなど、ファイナンシャルプランナーのサービスを気軽に体験できるところを利用しましょう。
ライフプランの作成料は5000円~10万円程度までFP事務所によって様々ですが、 「相談料が高いから良いサービス」ということはありません。
あなたの話をきちんと聞いてくれるか、価値観を理解してくれるのか、コミュニケーションが取りやすい人かなど、あなたとの相性がとても大切なのです。
ファイナンシャルプランナーの選び方についてまとめた記事がありますので、興味があればこちらもご覧ください。
→ファイナンシャルプランナーに何を相談できるのか?あなたにとって最適なFPの選び方
4-2. 教育資金の準備に必要な金額を把握する
長期のライフプランを把握するうえで避けて通れないのがお子様を希望される場合の教育費です。希望する教育プランによっては大きな差が出ます。
教育費の中でも大学の費用は入学金も含め大きな負担になることが多く、事前準備は必須です。
例えば、私立大学に支払う費用と教材費や交通費、研修費などを合算すると、次のような金額になります。
私立大学・文系で4年間に必要な金額 | 約650万円 |
私立大学・理系で4年間に必要な金額 | 約850万円 |
お子様が誕生して20年後にお子様が大学に入学すると想定すれば、
- 私立文系の場合:毎月約2.7万円ずつ積み立て貯金→20年後に650万円
- 私立理系の場合:毎月約3.5万円ずつ積み立て貯金→20年後に850万円
上記のような取り組みをしておけば用意できるはずです。
そして、4-3で紹介するセカンドライフのために必要な積立と合わせて毎月準備するべき金額が見えれば、残りは今使ってよいということになります。
4-3. セカンドライフの準備に必要な金額を把握する
セカンドライフのための準備は早い段階から意識することが望ましいです。
なぜなら、より長い準備期間が取れれば、資産運用などで効率的に準備をすることが可能だからです。
直近の支出は想定できても、自身の老後のセカンドライフの支出や準備すべき金額を想定できている人は少ないです。必要以上に不安に陥らないためにも、早い段階で老後資金の目安を知ることが大切です。
まずは、今の生活費を基準に老後の生活資金を想定します。
セカンドライフになったとしても、今の生活費と比べても支出の総額としては大きな差は出ません。人間、慣れてしまった生活レベルは簡単には下げられないからです。
そして将来の収入=年金は日本年金機構のホームページでおよその試算ができます。
現在の生活費から想定されるセカンドライフの夫婦2人の生活費が月額25万円だとします。
日本年金機構で試算した夫婦2人の年金月額が20万円だとすると、月額5万円不足します。
65歳から100歳まで35年間をセカンドライフと仮定すると、5万円×12か月×35年で合計2100万円足りないということになります。
この2100万円を30歳の夫婦が準備しようと思えば、月額5万円積立てればよいということになります。
ちなみに、平均利回り3%で積立運用ができれば2100万円の準備は毎月28,000円で足ります。
以上は、あくまで仮定の計算です。
セカンドライフの生活費をもっと多く見積もりたいというご夫婦もいれば、教育資金と違ってセカンドライフに必要な資金は調整が効くこと長い運用期間がとれリスクの低い運用も可能なことから、運用を活用して積み立てたいという人もいます。
いずれにせよ、将来の支出を想定し、今準備すべき金額を割り出すことで、今自由に使っていい生活費も明確にわかるようになるのです。
5. 不安や不満のない生活費をかなえる2つの方法
本章では、不安や不満のない生活費をかなえる2つの方法をご紹介します。
- 夫婦で3つの財布を作る
- 自動的に貯まる仕組みを作る
この2つを作れれば、きっと生活費の不安や不満から解放されるでしょう。
5-1. 夫婦で3つの財布を作る
夫婦で3つの財布を作ることが大切なのは、大事なお金の見える化とプライバシーが両立できるからです。
最近では、夫婦ともに安定した収入や資産があるご家族が増えてきました。
それと同時に、それぞれに収入や資産があることで、夫婦でもお互いのお財布事情を知らない、知られたくないというケースも増えてきました。
100%お互いの事情を知らないというのよくありません。ある程度お互いが自由に使えるお金があることが、円満な夫婦関係のためにも意外と大事だったりします。
ではどうするかというと、
- 夫用の財布
- 妻用の財布
- 夫婦共通の財布
を作ることで解決できます。
そして夫婦共通の財布には、一定のルールを定めます。
例えば、毎月○○円ずつ口座に入金する、夫婦共通の財布から出す支出項目を明確に定める、などです。
この夫婦共通の財布は、大きすぎず小さすぎず適正なサイズであること、定期的にチェックをすることなどがポイントです。
5-2. 自動的に貯まる仕組みを作る
夫婦共通の財布ができたら、そこから将来に必要な資金が自動的に貯まる仕組みを作りましょう。
例えば、
- 老後資金のために、イデコの仕組みを使って毎月23,000円投資信託の積立設定をする
- 教育資金を積み立てるために、毎月30,000円の学資保険に加入をする
- つみたてNISAを使って投資信託の積立設定をする
- 貯蓄型の生命保険を活用する
- 財形貯蓄を使う
などが挙げられます。
自動的に貯まる仕組みはいろんな手段がありますが、注意点が一つあります。
それは、目標とする金額とゴールの時期を設定し、その目的に合った仕組みを活用することです。
漠然とした不安に駆られて「とにかくお金をためなければ」となってしまっては、今の生活費にしわ寄せがきてしまいます。
過不足のない仕組みを作って、あとは使う!
この発想がとても大切です。
6. まとめ
日本人はお金を使うことに罪悪感を感じている方がとても多いです。
これはかなりもったいないことだと思います。
生活費の平均が気になってしまったり、平均に縛られてしまうのは実は日本人のこのお金の関する価値観が影響しているとも言えます。
頑張って稼いだお金はもっと気持ちよく自由に使うべきです。
ほんの少し夫婦で話をする時間を作り、計画を立て、計画に基づいた仕組みさえ作ってしまえばあとは自由です。普段の生活がもっと気持ち良いものになるはずです。
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