こんにちはFPバンク編集部です。
皆さんは家計管理されていますか?どのくらいお金の流れを把握できていますか?将来お金を貯めたい、節約したいと考えている方には家計管理はとても大事なことです。
管理をすることで支出がおさえられたり、貯蓄や投資などに回すお金も増えることになります。家計管理というと家計簿というイメージがありますが、それだけではない家計管理について考えてみたいと思います。
目次
1. 家計管理の実態とは
家計管理というと、家計簿をイメージする人も多いと思います。まずはどのくらいの人が家計簿をつけているのか気になりますよね。日経新聞web版で『家計簿、「つけてる」5割弱』という記事がありましたので、参考までに見ていきましょう。
(1)自分の世帯の家計管理に関わっている人は?
「自分」と答えた方の男女比は女性77.3%、男性58.5%で18.8ポイント差でした。年代別では30代の女性は66.0%と高い印象です。
ただ、30代は、独身・既婚・ファミリーによってお金の使い方は大きく変わります。独身の場合は、自由に自分にかけるお金が大きくなりますし、既婚者の場合は夫婦でマイホーム購入などライフイベントの為に貯蓄するなど、将来に向けてお金を貯めることになります。
子供がいる方は、産休育休などで働けない時期がありますし、子どもにかかる支出も増えるので、節約しようという意識が高まります。
(2)家計簿をつけている?
次に家計簿についての調査結果です。
約半々の結果でした。では家計簿をつけている方はどのような形式でつけているのでしょうか?
a.男女比で見ると、女性:33.8%、男性:16.9%
b.男女比で見ると、女性:11.7%、男性:20.6%
c.年代別で見ると、20代:21.8%、30代:17.4%
家計簿アプリはスマホやタブレットを積極的に使用している20~30代の方は多いという結果でした。数ある中から自分に合うアプリを上手に使い、時間や手間などが解消できることはメリットが高いと思います。
〈参照サイト〉日本経済新聞ホームページ
<関連コラム>節約を強制しない家計見直しで、誰でも驚くほど貯金ができる
2.家計管理するポイント
家計管理とは、家庭経済の諸活動全体を管理すること。毎月の収入から日々の生活をやりくりし、未来のさまざまなライフプランの為の資金や万一の備えを準備するものと考えます。
そのために、まずは収支の把握が重要になりますので、毎月の食費や光熱費、どのくらい支出しているのか、また毎月いくら貯金できるかなどを把握することで、将来のマネープランが立てやすくなります。
〈参照サイト〉知るぽるとホームページ
(1)家計簿はつけるべき?
家計簿をつけることは決して義務ではありませんが、つけることでメリットがあります。
①収支の把握
毎月の収入に対して何にいくら使ったかなど収支を明確に知ることができます。特に支出に関して、家計簿なしではどの項目で何に使ったかわからないといったことが把握できるようになりますし、現金だけではなく、クレジットカードや交通系カード、アプリ等による支払い、口座引落しなども含めて、支出額全体を把握することが大切です。
②過去との比較
今月は使いすぎなのかどうかなど先月、先々月、半年前、1年前と同じ月で比較することで、その時の生活状況を振り返りながら比較ができます。
③効率的に貯蓄
収支を把握することで、意識的に無駄使いを減らすことができたり、どのくらい貯蓄にまわせるかがわかるので、効率よく貯蓄をすることができます。
家計管理をしたいのではあれば、家計簿をつけてみることをおすすめします。
家計簿ときくと、つい構えてしまいがちですが、1.での調査結果をご参考に決まったルールは特にありませんので、気軽に始めてみることです。
最初は自分に合いそうな形式で始めて、自分のやりやすい形式が見つかったらその形式で継続していただければと思います。
また、家計簿のチェック項目は自由に決められますが、細かく分けすぎると管理が大変になりますので、最初は大まかな項目に絞って「何にいくら使ったのか、今月の予算内に収まったか」を把握することが大切です。
(2)貯蓄目標額を立てる
家計簿で収支の把握をするとともに、貯蓄目標額を決めることです。
例えば、1年後には車を買い替えたい、3年後には海外旅行に行きたいなど目標額を設定します。そうすることで、実現する時期から逆算して毎月もしくは年間いくら貯めていけば良いかが分かります。
そのためには、やはり毎月の収支を家計簿で把握し、何にいくら使っているか無駄遣いに気付くことで見直しをするなど、どのくらい毎月の貯蓄に回せるか予算を出すことです。
毎月予算内で家計のやりくりができれば良いのですが、そういかない時期もあると思います。共働きご夫婦の場合は妻の収入は全て貯蓄に回せるかもしれませんが、産休育休中は収入減になりますし、場合によっては会社を辞めることも…。そういった場合は、無理に確保せず状況に応じて調整していきましょう。
(3)お金を3つに分けて管理
家計のやりくりで毎月貯蓄できる金額が決まったら、ただ口座に貯めていくのではなく、目的に合わせてお金も分けてしっかり管理していくことが重要です。
① 短期的管理(流動性)
使うお金:日常の生活資金や、いつでも出し入れ可能なお金
管理方法:普通口座
② 中期的管理(確実性)
貯めるお金:教育費、住宅購入の頭金、大きな旅行など、数年後の目的に向けて計画的に備えるお金
管理方法:貯蓄型保険
③ 長期的管理(収益性)
殖やすお金:10年以上使う予定がないお金、将来に向けてできれば殖やしたいお金
管理方法:投資信託
このように目的に合わせてお金をコントロールすることが出来れば、目標額の達成の近道になるかもしれません。
3.夫婦の円滑な家計管理
(1)最初に話し合っておくべきことは?
お金が原因で夫婦げんかも少なくないのではないでしょうか。なるべくけんかせずに家計管理を円滑にしたいと思いますよね。そのためには、やはり夫婦で将来の目標を共有し、それぞれのお金事情を把握することが大切ではないかでしょうか。
① 夫婦共通の目標額を決める
例えば、将来の子供の教育費として300万、住宅購入を考えているのではあれば頭金500万、老後は夫婦で3,000万など、具体的な目標額を設定し、書き出してみるのも良いのではないでしょうか。また優先順位も決めておくと計画が立てやすくなります。
② 収入はどれくらい?
それぞれ収入をオープンにして、夫婦合わせての総収入を知っておくこと。昇給や産休育休で変動する時期もあるので、年1回など決めて夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
③ 自由に使えるお金お小遣いは?
単純に収入から必要な生活費や貯蓄分以外が全て自由に使えるお金お小遣いとなってしまう可能性があります。お互いに収入のどのくらいの割合で決めるなど、生活費とお小遣いはきちんと分けると無駄使いは減るかもしれません。
④ 買いたいものややりたいことは?
人生の三大資金(教育・住宅・老後)は欠かせません。お互いに将来どんなことがしたいかなど、ライフイベントを考えながら具体的に共有しておくことで、何にお金を使いたいかの優先順位が見えてくるのではないかと思います。
⑤ 将来のライフイベントで必要になる金額は?
最後は夫婦での目標貯蓄額を明確にしましょう。まずは今の貯蓄額と、いつまでにいくら貯めるかの目標をお互いに把握しておきます。共通の口座を作って毎月の貯蓄額を決めてお互いにお金を入れるようにするという方法も確実に貯金できるひとつです。
(2)夫婦共通財布で家計管理
共通の財布を夫婦で管理することのメリットは、収支全体を把握できること、無駄な支出をなくし貯蓄に回せるところです。現状の収支でどのくらい貯蓄ができているのか、どの項目で節約できるか、どこが無駄な支出かなど、家計管理や将来の計画が立てやすくなります。
逆にデメリットは、自由になるお金が制限されてしまい、欲しいものがあってもなかなか買えなくなります。妻(夫)が収入の全てを管理していて、お小遣いとしてもらう場合は、金額に不満が生じやすくなります。支出や貯蓄額を不透明にせず、きちんと開示し共有しておくことが大切です。
(3)夫婦別財布で家計管理
別財布は夫婦それぞれが自分のお金を自分で管理するということです。メリットは、家計に必要な共通の費用を確保できれば、残りは自由に使うことができます。また項目によって支払いを分担できることや相手に自分の収入を知られたくない人はオープンにする必要がないなどもあります。
しかし、夫婦別財布ではやはり収支全体が把握しにくいというデメリットはあります。残ったお金をすべて自由に使っているといざまとまったお金が必要になった時には、相手に貯金が全くないという事態も起こりうるので注意が必要です。
夫婦別財布にしているご家庭は、自分の収入を知られたくない、お互い相手の収入を知らないといったケースが多く、収入のわりに貯蓄額が少ないという印象です。
自分で管理するということで自由度が高いという理解ではなく、家族のためにもしっかりと将来を見据えた家計管理が必要ではないかと思います。
4.まとめ
ご夫婦での家計のやりくりはどちらかが管理していれば良いということではなく、やはり大事なことは、夫婦間での話し合いではないでしょうか。普段からコミュニケーションをとってお金の使い方や価値観を共有し、自分のライフスタイルに合った家計管理の方法を見つけるところから始めてみてください。
そして収支のバランスを見ながら目標貯蓄額に向かって貯めていく仕組みを作っていくことが必要です。将来、お金に振り回されないに豊かな人生を送るためにも、今から準備をしていきましょう。
2020年6月15日
text by 久保田 正広
FPバンク