
住宅ローンについて調べていると、「財形住宅融資」という言葉を目にすることがあるでしょう。
実はこの制度、あまり知られていない一方で、手数料がかからなかったり、低金利だったりと、民間ローンにはないメリットがあるのです。
これから長い付き合いになる住宅ローンだからこそ、「知らなかった」で選択肢から外してしまうのは、もったいないです。
この記事では、「財形住宅融資とは何か」をテーマに仕組みやメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次
1.そもそも財形住宅融資とは
財形住宅融資とは、金利が5年ごとに見直される「5年固定金利型」の住宅ローンです。住宅の購入、建設、リフォームの資金として使え、融資手数料や保証料がかからないのが特徴です。
財形貯蓄残高の10倍まで、かつ最大4,000万円までの借入が可能で、他の住宅ローンやフラット35との併用も可能です。ただし、財形貯蓄住宅融資は第一順位の抵当権設定が原則として必要なため、フラット35以外の住宅ローンの利用は難しい傾向にあります。そのため、物件価格に応じて柔軟にローン設計をすることができます。
財形住宅融資は、具体的にどんな人が使えるのか、ポイントをまとめてみました。
- 自分が住むための住宅を、建てる・買う・リフォームする予定のある方
- 財形貯蓄(年金・住宅・一般)を1年以上続けていて、残高が50万円以上ある方(※申し込み日の2年以内に預け入れが必要)
- 勤務先から、住宅手当、利子補給、社内融資などの援助(負担軽減措置)などが受けられる方
- 年収400万円未満の人の総返済負担率が30%以下、年収400万円以上の人の総返済負担率が35%以下
- 申込日現在70歳未満(親子リレー返済などの場合は70歳以上でも申込できます)
年収に対して返済負担率が高いと審査に落ちてしまいますし、年齢が70歳を超えている場合も同様です。
前提条件として、会社や企業に所属しており、財形貯蓄をしているということが挙げられます。
2.財形住宅融資のメリット

主なメリットとして「手数料がかからない」「財形貯蓄残高の10倍まで融資が受けられる」「他のローンと組み合わせることができる」というのが挙げられます。
(1)手数料がかからない
財形住宅融資は、融資を受ける際に手数料がかかりません。
融資手数料の他、保証料もかからないので、不要な出費を抑えられるという点も、財形住宅融資の大きな魅力です。
一般的に民間の金融機関でローンを組むと、融資手数料、もしくは保証料が発生します。融資手数料や保証料は、定額制の銀行もあれば、借入額に応じて決まる定率制のところもあります。最近では、融資手数料を融資金額の2.2%に設定している銀行も多く、その費用はばかになりません。
新築の住宅を購入した場合、諸費用は購入価格の3〜10%と言われています。4,000万円の物件を購入したら、120万円〜400万円ほどの費用が発生するイメージです。諸費用の多さに驚かれた人も多いかと思います。
財形住宅融資では、融資に関する手数料が不要なのも、大きなメリットです。
(2)財形貯蓄残高の10倍まで融資が受けられる
財形住宅融資は、財形貯蓄(年金・住宅・一般)の合計残高の10倍までの額で、最高4,000万円まで融資が受けられます。
なお、住宅の価格全額を借りられるわけではなく、物件価格の90%が上限になります
(3)他のローンと組み合わせることができる
財形住宅融資は他のローンと組み合わせて利用できる点もメリットです。財形住宅融資の限度額は4,000万円ですが、これを超えてローンを組みたい時はフラット35などと併用してローンを組むことも可能です。
特に、財形住宅融資は5年固定金利ですから、組んだ当初は金利が低く有利な反面、金利上昇局面では返済額が上がってしまうこともあります。
将来の金利上昇が心配な場合は、最初から一部をフラット35で借りるなど、組み合わせておくと安心です。
3.財形住宅融資のデメリット・注意点

主なデメリット・注意点としては「金利上昇リスクがある」というのが挙げられます。
金利上昇リスクがある
財形住宅融資は5年固定金利となっています。5年ごとに金利が見直される仕組みのため、長期間固定金利で融資を受けたい人にとってはデメリットといえます。
ローンを組んだ当初は金利が低かったけれど、将来金利が上昇したら金利が高くなってしまう、ということもあるので、注意しましょう。
これらの点をあらかじめ理解しておくことで、財形住宅融資を安心して活用できるでしょう。
4.財形住宅融資について
住宅の購入は、多くの人にとって人生最大の買い物であり、住宅ローンはそのための重要な資金調達の手段です。
だからこそ、金利や返済額だけでなく「どんな制度があるか」「自分に合った借り方はどれか」を知ることが、自分が納得した選択に繋がります。
財形住宅融資は、手数料がかからない・併用できるなど、他のローンにはない特徴があります。
あなたの状況に合えば、大きな味方になってくれるかもしれません。
「こんな制度もあるんだ」と、選択肢の一つとして心に留めておいていただけたら幸いです。