退職金は、老後の生活設計を支える重要な資金です。その受け取り方には「一括受取」と「分割受取(年金形式)」の2つがあり、それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。しかし、単純に損得だけで判断するのではなく、ライフプランやキャッシュフローの観点から総合的に検討する必要があります。
本記事では、FPバンクが大切にしている「お客様一人ひとりに合ったライフプランニング」の考え方を軸に、どちらの選択肢が有利かを詳しく解説します。
目次
本記事でわかること
- 一括受取と分割受取、それぞれのメリットとデメリット
- 税負担の違いがもたらす影響
- キャッシュフローやライフプランを基にした判断の重要性
- FPバンクの独自アプローチによる最適な提案
1. 一括受取とは?そのメリットとデメリット
一括受取の特徴
一括受取とは、退職時に退職金全額をまとめて受け取る方法です。多くの企業が提供する一般的な選択肢のひとつです。
1.1 退職金一括受取のメリット
- 税負担が軽減される
一括受取では、「退職所得控除」という税制優遇が適用されます。この控除は勤続年数に応じて計算され、他の所得とは分離課税されるため、通常の所得税率よりも低い税率で済む場合がほとんどです。
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
- 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
(出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得))
(注1)障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額となります。
(注2)前年以前に退職金を受け取ったことがあるときまたは同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは、控除額の計算が異なることがあります。
- 資金の自由度が高い
まとまった金額を一度に受け取るため、住宅ローンの完済や投資、新規事業の開始など、自分の目的に合わせて自由に活用できます。
- 突発的な出費への対応
病気や介護など、予期せぬ出費に備えるために資金を確保しておける点は大きな安心材料です。
1.2 退職金一括受取のデメリット
- 計画性が求められる
大きな金額を一度に受け取ることで、計画的に使わなければ無駄遣いしてしまうリスクがあります。
- 運用リスク
資産運用を検討する場合、リスク許容度や運用知識が必要です。不適切な運用を選択すると、資金が減少する可能性があります。
2. 分割受取(年金形式)とは?そのメリットとデメリット
分割受取(年金形式)の特徴
分割受取は、退職金を年金形式で定期的に受け取る方法です。一括受取よりも長期的な計画でお金を受け取ることができます。
2.1 退職金分割受取(年金形式)のメリット
- 長期的な安定収入
年金形式で受け取ることで、老後の生活資金として定期的な収入を確保できます。特に長寿化が進む現代では、長期的な安心感が得られる選択肢です。
- 運用益の上乗せ
企業年金の場合、運用益が受取総額に加算される可能性があります。年数が長いほど、運用成果が反映されやすくなります。
2.2 退職金分割受取(年金形式)のデメリット
- 税負担が増加
分割金は「雑所得」として、その年の所得に合算して課税されます。これにより、公的年金やアルバイト収入など他の収入と合わせて税金が計算され、一括受取に比べて税負担が大きくなる可能性があります。また、毎年一定額を受け取る形式であるため、受け取る年数が長いほど、その分の税金が毎年かかることにも留意が必要です。このため、総合的な所得税負担を見据えた計画的な受取方法の検討が重要です。
- 運用リスク
企業側の運用成績が不調の場合、期待通りの運用益が得られないこともあります。
- 流動性の低下
手元資金が十分に確保されていない場合、一括受取のように、まとまった資金を柔軟に利用することが難しくなる場合があります。特に急な出費が発生した際に、一括受取では即座に対応できるのに対し、分割受取では毎年一定額しか受け取れないため、必要な資金をすぐに確保できないリスクがあります。このため、資金計画においては、手元資金の確保も重要な要素となります。
3. ライフプランに基づく選択の重要性
FPバンクでは、退職金の受け取り方を単なる「損得計算」で決めることを推奨していません。それは、以下の理由からです。
キャッシュフローを重視
退職後は収入源が限られる一方で、出費が増えるケースが多くなります。特に、退職後から公的年金受給までの間は、キャッシュフローがマイナスになる可能性が高いため、手元資金の確保が重要です。
安全性と流動性のバランス
長期的な運用が難しい年齢では、安全性と流動性を重視した計画が求められます。例えば、住宅ローンの一括返済を検討する場合を考えてみましょう。
一括返済によって毎月の高い固定費から解放されるメリットがありますが、住宅ローンは一度返済してしまうと、その資金を再び引き出すことはできません。そのため、急な出費や予期せぬ支出が発生した際に手元資金に余裕がないと、生活全体のバランスを崩してしまうリスクがあります。
こうした例からもわかるように、「安全性」と「流動性」を考慮しながら計画を立てることが不可欠です。単純に短期的なメリットに飛びつくのではなく、長期的なキャッシュフロー全体を見据えた選択が重要です。
リスク許容度の確認
退職金を運用する際には、個人のリスク許容度を明確に把握することが大切です。この過程は単なるリスク選好の確認に留まらず、ライフプラン全体の作成と密接に関連しています。
退職金は、いわば残り30年の生活資金の「原資」となるものです。そのため、健康状態や将来の生活設計を踏まえ、どんな夢や目標を実現したいのかを明確にすることが第一歩です。これに基づき、必要な運用利回りや許容できるリスク範囲を数値化することで、安心して退職金を使い切るための計画を立てることが可能となります。
FPバンクでは、このプロセスを非常に大切にしています。運用に対する考え方やリスク許容度を丁寧にヒアリングし、ライフプラン全体を考慮した上で、個別に最適なプランを提案します。例えば、短期的に手元資金が必要なケースや、将来的に大きな支出が見込まれる場合など、さまざまなシナリオに対応する柔軟な計画を策定します。
退職金という大切な資産を最大限に活用し、将来への不安を軽減するためには、リスク許容度の確認とライフプラン作成を一体的に行うことが鍵となります。
4. FPバンクの独自アプローチ
FPバンクの強みは、お客様一人ひとりに合った「オーダーメイドのライフプランニング」を提供する点です。以下のような手順で最適なプランを作成します。
- ヒアリング
- 年金や退職金の金額
- 老後の働き方やライフスタイル
- 運用に対するリスク許容度
- ゴールベースアプローチ
資産運用の目的は単に「儲けること」ではありません。FPバンクでは、「あなたの夢は何か?」を起点に、将来のセカンドストーリー(セカンドライフ)を描くお手伝いをしています。
退職後の生活や実現したい目標について丁寧にヒアリングし、それを基に具体的な資金計画を立てます。このプロセスでは、無理のない範囲で必要な資金をどのように組み立て、運用するかを一緒に考えます。退職後の旅行計画、家族への贈与、老後の住まいの整備など、個々の希望や夢を実現するための道筋を共に描きます。
ゴールベースアプローチは、資産を増やすだけではなく、安心して夢を追いかけられるライフプランを形にすることを目的としています。あなたの大切な未来のために、確実かつ柔軟な資金計画を一緒に作り上げましょう。
- 安全性を重視した提案
税金や運用利回りの損得だけでなく、手元資金の流動性やリスクを考慮した提案を行います。
4. 実現に向けた伴走
FPバンクのもう一つの大きな特徴は、提案を行った後もお客様の資産が計画通り実現していくよう、長期的に伴走する点です。定期的なフォローアップを通じて、計画の進捗状況を確認し、市場環境やライフイベントの変化に応じてプランを見直します。お客様の安心と満足を第一に考えたサポート体制で、長期的な資産運用の成功をお手伝いします。
FPバンクは「提案して終わり」ではなく、お客様の未来の実現に向けて共に歩み続けるパートナーです。
5. まとめ
どちらが自分にとって有利か?
いかがでしたでしょうか。
退職金の受け取り方について、一括受取と分割受取のメリット・デメリットを理解いただけたかと思います。2章では、それぞれの方法が持つ特長を解説しました。税負担や運用面での違いを把握することで、自分にとって有利な選択肢が見えてくるはずです。
また、3章で述べたように、退職金の受け取り方法を決める際には、単なる損得だけでなくキャッシュフローを考慮することが重要です。計画的な選択をしなければ、退職後の生活に不安を残してしまう可能性があります。
本コラムをお読みいただき、退職金の受け取り方に対する不安や疑問が少しでも解消され、自信を持って次のステップに進んでいただけることを願っています。
「やっぱり一人で考えてもよく分からない、、、」という方は、ぜひFPバンクにご相談ください!
一人ひとりのライフプランに寄り添った最適なプランをご提案いたします。
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