住宅ローンの借り換えができない7つのケースと対策|現役FPが解説

「借り換えをしたいけど、できない場合はあるの?」
「借り換え審査に落ちてしまったけど、もう諦めなくてはならない?」

本記事では、住宅ローンの借り換えができないケース7つと対策について解説しています。

借り換えできないケース 対策
1 現在の借入先で借り換え 他の銀行で借り換えする
2 住宅購入当初より収入が減った 収入が減っても借り換えできる場合がある
3 団体信用生命保険の審査が通らない 今の健康状態で加入できる団信を探す
4 独立や産休育休等で雇用形態が変わった 今の雇用形態で借り換えできる住宅ローンを探す
5 住宅ローンやクレジットカードなどの支払いを延滞したことがある 個人信用情報を確認しておく
6 消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用したことがある
7 転勤などの事情があって、その住宅に住んでいない 転勤前か転勤が終了してから借り換えする

本記事を読んでもらえれば、借り換えができないケースと対策を理解でき、具体的にあなたがどう行動したらいいのかまで把握できるでしょう。

あなたの借り換えができない不安を解消するお手伝いができれば幸いです。

1. 住宅ローンの借り換えができないケース7つ

住宅ローンの借り換えができない7つのケースは、以下の通りです。

各ケースにて、どのような状況か・なぜ借り換えできないかを整理した上で、対策方法も解説しました。

  1. 現在の借入先で借り換え
  2. 住宅購入当初より収入が減った
  3. 団体信用生命保険(団信)の審査が通らなかった
  4. 雇用形態が変わった
  5. 住宅ローンやカードの支払いを延滞したことがある
  6. 消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用したことがある
  7. 転勤などの事情により、その住宅に住んでいない

1-1. 現在の借入先で借り換え

借り換えをしようとする場合、まずは、現在の借入先で借り換えができるかどうかを考える人が多いのではないのでしょうか。

実は、現在の借入先での借り換えはできません

なぜかというと、金融機関側からすると儲からないからです。
低い金利への借り換えに応じてしまうと、貸している金額は変わらないのに利息収入だけが減ることになるのです。

このためか、現在の借入先での借り換えは原則できないことになっています。

対策1

借り換えを希望する場合は、基本的に、他の金融機関で申し込みをしましょう。

対策2

現在の借入先がローンの金利引き下げに応じてくれる場合もあります。
交渉にあたっては、まず他の金融機関で事前審査をやっておき、審査結果を持って行きましょう。

ただし金利引き下げしてくれたとしても、支払総額は、他行で借り換えした場合と同額か、もしくは少し多くなる程度だと思われます。

金融機関側としては「他所に顧客を取られるくらいなら金利を下げるのも考えなくないが、あまり下げ過ぎるとこちらの利益もなくなるので、引き留められる程度でいいだろう」という思惑があるのではないでしょうか。

借り換えでは顧客側も手間と費用がかかるので、それらが不要な金利引き下げをしてくれるなら、素直に応じた方がコストパフォーマンスがいい場合もあるでしょう。

あんまりしつこく交渉をすると「それならどうぞ他で借り換えしてください」と返されてしまう恐れもあるので、匙加減には注意が必要です。

そのため金利引き下げ交渉をするなら、事前に専門家に相談し、コツなどを聞いておくことをおすすめします。
ですが、他の金融機関の窓口に相談しても、交渉のやり方は教えてくれません。そのため、金融機関とは直接関係のないところ、例えば住宅ローン業務の知見があるファイナンシャルプランナー等を相談先に選ぶと良いでしょう。

1-2. 住宅購入当初より収入が減った

住宅購入当初より収入が減った場合は、借り換えできない可能性が高いです。

なぜなら住宅ローンの審査では、年収に占めるローン返済額の割合(以下、返済比率)が一定の基準内に収まっているかを指標の一つとしているからです。

返済比率(%)=年間のローン返済額(万円)÷額面年収(万円)×100

返済比率は、いわゆる足切りのような存在であり、この基準がクリアできていないと、そもそも審査してもらえません。

多くの金融機関において、返済比率は30~40%以内が目安とされています。

また、返済比率を計算する時に用いるローン金利(審査金利と言います)ですが、変動金利では、これから借りようとしている住宅ローンの金利よりも、かなり高い数字が使われます。
この数字は明確に公表されていませんが、変動金利の場合、審査金利はおよそ3~4%と言われています。

つまり収入が減ると、返済比率が30~40%を超えてしまう可能性が高くなるのです。

では、年収800万円→年収600万円に下がったケースで、返済比率がどうなるか確認してみましょう。

  • 借り換え額4,000万円
  • 借入れ期間30年
  • 変動金利の審査金利4%
年収 800万円 600万円
返済比率 31% 42%

事例の通り、年収800万円あった人が年収600万円に収入が下がった場合は、返済比率が超過するため借り換えできない場合があるのです。

したがって、住宅購入当初より収入が減少した場合は、借り換えできない場合があることを認識しておきましょう。

対策1

1つ目の対策は、減った後の収入でも借り換えができる金融機関を探すことです。

返済比率の目安は30~40%ですが、金融機関によって値は異なります。そのため「A銀行ではダメでも、B信用金庫では審査が通った」ということも十分ありえます。

ひとつの金融機関で審査に通らなかったとしても、諦めず、他も探してみましょう。

対策2

2つ目の対策は、自己資金をいれて借り換え額を減らすことが挙げられます。

借り換え額を減らせば、年間のローン返済額も減ることになり、収入が落ちていたとしても返済比率をクリアできる可能性があります。

ただし、収入が減った中で自己資金を用意するのは難しい、ということもあるでしょう。その場合は、可能であればご両親などに資金援助をお願いしてみるのも良いかもしれません。

1-3. 団体信用生命保険の審査が通らない

借り換えをする場合、団体信用生命保険(以下、団信)も再審査となります。そこで、団信の審査に通らなかった場合、借り換えできません。

なぜなら、一部の住宅ローンを除いて、住宅ローンの借入において団信への加入は必須だからです。

団信の審査にひっかかってしまうものとして有名なのは、いわゆる三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)が挙げられます。ですが他にも、意外と審査に影響する症例があるので、ここでご紹介しておきます。

  • 軽い不眠や鬱で通院している
  • 健康診断でポリープや腫瘍が見つかった
  • 血圧が高い

借り換えを考えていて、上記の症例に心当たりがある場合は注意しましょう。

対策

団信の審査基準は、その団信を引き受ける保険会社によって違います。そのため、「あなたの今の健康状態でも加入できる団信を見つける」が対策となります。

例えば上記の症例に心当たりがあったり、他に気になる病気等を経験していたりするなら、1社だけでなく複数社で借り換えの申込みをしてみるといいでしょう。

1-4. 独立や産休育休などで雇用形態が変わった

当初借入以降に、会社員から独立して個人事業主になっていたり、産休育休等を取っていたりで雇用形態が変わると借り換えできない場合があります。

なぜなら住宅ローンの審査では、自営業者や産休育休を取っている人に対する審査が厳しいからです。
どちらも収入に不安定さがあると見られてしまいます。

例えば、自営業者は財政的に安定しているしていないに関わらず、「収入・利益を欠く」という括りで判断されてしまいます。また、「産休・育休は復帰できるかわからない」という判断をされてしまう場合もあります。

絶対に借り換えできないという訳ではありませんが、借り換えできない可能性が高くなる要因なので、頭に入れておいて欲しいです。

対策

今の雇用形態で借り換えできる住宅ローンを探しましょう

なぜなら、銀行によって審査基準が異なるからです。
実際にFP相談に来られた自営業者や産休育休中のお客様で、大手銀行やネット銀行で審査を出したところ、無事に通ったケースもあります。

銀行のホームページに審査条件が掲載されている場合もありますので、まずはインターネットで検索し、情報収集をしてみましょう。

1-5.  住宅ローンやクレジットカードなどの支払いを延滞したことがある 

住宅ローンやクレジットカードなどの支払いを延滞したことがある人は、借り換えできないことがあります。

なぜなら、金融機関は「支払いを延滞したことがある人は計画性・信用に疑義が生じる」と判断するからです。
住宅ローンやクレジットカードの延滞履歴は個人信用情報として金融機関に連携されているため、すぐにわかります。

厄介なのは、自分としては延滞したつもりがなくても、個人信用情報には「延滞」と記録されているケースがあることです。

例えば、毎月の住宅ローン返済を口座引き落としにしていた時に入金し忘れて、引き落としができなかった場合が該当します。

督促されてすぐに返済した場合は、延滞した自覚はないでしょう。
しかし「引き落とし予定日に正常に引き落としができなかった」という結果は延滞とみなされるので、個人信用情報に履歴として残ってしまうのです。

実際にFP相談に来られたお客様でも、借り換えの事前審査に通らないケースがありました。
思い返していただくと、引き落とし用の口座に現金を入れ忘れ、住宅ローンやクレジットカードの返済を数回延滞したことがあったそうです。

これから借り換えを検討したいという人は、「住宅ローンやクレジットカードなどの支払いを延滞すると借り換えができなくなることがある」という認識は絶対に持っておくようにしましょう。

対策1

延滞したことに心当たりがある場合、延滞の程度によって借り換えができるケースとできないケースがあります。自分はどちらのケースに当てはまるかを確認するためにも、個人信用情報を取得しましょう。

個人信用情報を確認すれば、審査を出す前に、自分が審査に通る可能性があるかどうかを判断できます。

取得した情報の「返済状況」の欄に「異動」という記載がある場合、残念ながら審査は通らないと考えてください。

個人信用情報は「全国銀行個人信用情報センター」や「CIC」のホームページから、インターネットでの手続きもしくは郵送により取得可能です。ただし費用は1,000円~1,500円程かかるので、ご注意ください。

対策2

延滞したことがあるかどうか分からない場合は、まずは、どの金融機関でも良いので住宅ローン借り換えの事前審査を出してみましょう

そこで審査が通らなかった場合、過去の延滞歴が影響している可能性が考えられます。しかし何が原因となっているかを金融機関の窓口に問い合わせても、答えてくれるかは窓口担当者によります。

ここで思い当たるものが無い、もしくはそもそも事前審査はどうやるのかと不安なら、住宅ローン業務ができるファイナンシャルプランナー等の専門家に相談してみましょう。
専門家なら事前審査のサポートはもちろん、審査が通らない原因の究明に役立つアドバイスをもらえる可能性が高いのでおすすめです。住宅ローンの業務経験が豊富なほど、丁寧なフォローが期待できます。

当社も住宅ローン業務は10年以上行っているFP事務所です。気になる方はお気軽にご相談してみてください。初回は無料でご相談いただけます。

1-6. 消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用したことがある

消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用したことがある場合は、借り換えできないことがあります。

なぜなら金融機関は「消費者金融やキャッシング、リボ払いを利用している人は計画性がない」と判断するためです。

そしてこれらの利用歴も、個人信用情報として金融機関に連携されているため、審査時に把握できます。

例えば審査が厳しい銀行では、消費者金融をもう利用していなくても、カードを保有しているだけでNGになる場合もあります。

また、キャッシングやリボ払いを利用しており、住宅ローン審査において返済比率を超過する場合は審査が通りません。

したがって、消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用している場合は、借り換えできないことがあることを認識しておきましょう。

対策

消費者金融・キャッシング・リボ払いを利用したことがある場合の対策は、基本的には1-5で解説したものと同じ対策が有効です。(1-5の対策はこちら

1-5・1-6ともに、金融機関から「この人は計画性をもって、ちゃんと返済できるのか?」と疑念を持たれてしまうことが、借り換えできなくなる大元の原因だからです。

ただし、消費者金融・キャッシング・リボ払いに心当たりがある人は、他にもやっておくべきことがあります。主には次の3つが挙げられます。

  • たとえ少額でも借りているなら、審査を出す前に全額返済する。
  • リボ払いは自分が気づかないうちに設定されてしまっていることがあるので、まずリボ払いになっているか設定を確認。リボ払いになっていたら解除する。
  • 消費者金融のカードを保有している場合は、すぐに解約

ご注意ください。

1-7. 転勤などの事情があって、その住宅に住んでいない

転勤などの事情により、その住宅に住んでいない場合は借り換えができません。

金融機関は住宅ローン審査にて、住民票の提出を求めます。転勤をしており、住民票上の住所と借り換えする住宅の住所が異なる場合は、審査は通りません。

したがって、転勤などの事情によりその家に住んでいない場合は借り換えができないことを認識しておきましょう。

対策

転勤の予定がある場合は、転勤前か転勤が終了してから借り換えしましょう。

転勤前であれば、転勤が決まっていたとしても借り換えに応じてくれる銀行もあります。転勤後であれば、その家に住んでいる状態であるため、問題はないと言えます。

2. まとめ

借換えをしようとしてもできないケースが8つあり、しっかり対策を取ることで、借り換えができる場合があることをお伝えしてきました。

自分では対策の判断が難しい場合もあるでしょう。特に審査に落ちてしまい、自分でどうしたらいいのかわからない場合もあるでしょう。または、借入当初と収入や健康状態が変化し、借り換えに不安を抱いている人もいるかもしれませんね。そんな時は、住宅ローン審査や金融知識に長けているファイナンシャルプランナーに相談しましょう。

本記事が、借り換えの審査が通らず諦めかけていた人や審査に不安がある人の悩みを解決する助けになれば幸いです。

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