一戸建てを土地探しから始めると「青田売り」という言葉に当たることがあります。少し怪しい響き?の「青田売り」が何かについて、今日は解説してみます。
1.「青田売り」とは
青田売りは不動産用語ですが、その語源は農業にあります。お金に困った農民がまだ田畑が青いうち、つまりまだ稲が実っておらず青々としている時期に、収穫を見越して先に農作物を販売してしまうということがかつて起きていました。
もともとはそのことを青田売りと言っていたのですが、不動産業界にこの言葉が使われるようになり、不動産業者が「工事完了前の宅地、建物を販売すること」を指すようになりました。建て売りならぬ「売り建て」ということになります。
2.購入者に何かメリットはあるの?
完成後のイメージ画像などしかなく、どんな出来栄えになるかもわからないのに、先にお金を払わなくてはならない青田売りに購入者のメリットはあるのでしょうか。
一見、建物が出来上がるまでの不安感や、完成までの間の地価下落リスク、実際の通風、日照、眺望が確認できないなどデメリットばかりに見えると思います。
ただ、メリットもないわけではありません。
例えば契約が早ければ間取り変更、設備、壁紙の変更など融通が効くことです。物件によりますが、住宅が建築されていく過程を見ることができるのもメリットです。そのほかにも優れた物件を早い者勝ちで押さえられる、引っ越しまでのスケジュールをゆっくり立てられるなど、挙げてみるとメリットも少なくはないようです。
3.違法じゃないの?
しかし、まだ立ってもいない住居を売るという青田売りは、そもそも違法じゃないの?という疑問も浮かぶと思います。
結論から申し上げますと、青田売りの全てが違法というわけではありません。例えば新築マンションは完成前にモデルルームで販売されることがよくあると思います。
では違法な青田売りとはどのようなものなのでしょうか。
それは建築確認、開発許可をとらずに販売、または広告をしているケースです。「許可なしで、完成していないものを売ろうとするケースが違法」ということです。
青田売りと混同しやすい言葉として「建築条件付土地」」の販売というものがあります。
建築条件付土地というのは「所定の工務店などで建物を建てることを条件」に買うことができる土地のことですが、これは「あくまで土地の売買であって建物の契約はまた別」になっているため、開発許可、建築確認がとれていて宅建業法に基づく正しい販売がされていれば違法性はありません。
4.まとめ
「青田売り」は上手に使えばメリットもありますが、違法な青田売りで悪質な業者に騙されないように気を付ける必要があります。
違法な青田売りをする業者には特徴があると言われています。広告に「自由設計」「フリープラン」などと大きくうたい、建築条件付土地であるという明記がない又は欄外に小さく書いてある、土地と建物のセット価格が目立ち土地の価格表示が小さい、などです。
また建築条件付土地売買の契約から建築発注までは通常3か月くらいの期間を取ることになっているので、建築内容の検討に十分な期間が取られているか、は重要です。
住宅の計画は、このような点にも十分注意して、上手に立てたいものです。
2019年7月29日
text by 久保田 正広
FPバンク