遺族年金はいくらもらえる? それでも生命保険は必要?

手を繋いでいる家族4人

今日は「自分に万一の事があった時、遺族が困らないようにしたいけど、遺族年金がもらえるというし、ムダな保険はかけたくない。実際のところ、生命保険にはいくらぐらい入る必要があるんだろう?」という疑問に、分かり易く答えてみます。

1.遺族年金はいくらぐらい貰える?

(1)遺族年金は月々どれくらい貰えるか

一家の大黒柱に万一の事があった場合に遺族が受け取れる公的年金制度に「遺族年金」があります。加入している年金制度や家族構成、年収などにより異なりますが、厚生年金加入のサラリーマン・配偶者と子1人の場合で、月々約12万円くらいになります。

(2)遺族年金で遺族の生活費は足りるか

総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の食費、水道・光熱費、家具・家事用品費、衣服費、保険医療費、交通・通信費の月平均合計額は約17万円ですが、残された遺族の生活費は1人減ることで7割くらいで足りるとすると、約17万円×0.7≒約12万円となります。

従って、実際にはご家庭により生活費は大きく違いますが、平均的な日々の暮らしにかかる費用という事で言えば、ほぼ遺族年金で足りることになります。

2.それでも保険は必要?

(1)生活費以外にかかる費用

ただし遺族に必要なのは、日々の生活費だけではありません。

先ず住居費ですが、住宅ローンは団体信用生命保険で返済不要になりますが、持家でなければ家賃がかかります。月10万円で年120万円、子どもの独立まで約25年で計算すると、約120万円×25年≒約3,000万円かかります。

次に教育費があります。子ども1人あたり保育園・幼稚園から大学まで全部国公立の場合で約1,000万円超、全部私立の場合だと約2,500万円、平均で約1,750万円くらいかかります。子ども2人で計算すると、約1,750万円×2人≒約3,500万円がかかる計算となります。

残されたご遺族に負担は掛けたくない。自分がいた時と同じように暮らして欲しいと考えると、日々の生活費以外で、やはりかなり大きなお金が必要になりそうです。

(2)生命保険が必要な金額は

生命保険が必要な金額の基本的な考え方は、次のとおりです。

遺族に必要な額 - 遺族年金 = 生命保険が必要な金額(必要保障額)

遺族に必要な額は(1)で挙げたような費用がベースになりますが、家族構成や想定するライフイベント、遺された配偶者の収入や子どもの奨学金利用の想定、などにより変わります。

また、子どもが独立するまでの残りの期間が短くなると、必要な金額は年々減少していきます。

(3)遺族年金が貰えない場合

また遺族年金には受給要件がある事にも注意が必要です。

様々な要件がありますが、一番大事な要件は「18歳未満の子供がいるかいないか」になります。18歳未満の子供がいない場合の遺族年金の額は、会社員の配偶者(厚生年金)であれば月約4万円くらいなり、自営業の配偶者(国民年金)だと全く貰えません。

子どもの無い夫婦で、万一の場合の遺族として配偶者の生活を考える場合は、遺族年金には頼れない事になります。

3.まとめ

万一の時、大切な遺族の生活は守りたい。でもムダな保険料は払いたくないですね。

そのためには先ず、「自分の家族の場合で、遺族の将来の生活に必要な額」を考えてみて、そこから遺族年金などでカバーできそうな額を除けば、保険で準備すべき額が見えてきます。

既に生命保険に入っている方も、これから加入を検討している方も、こんな考え方で保険金額を見直し・検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(データ出典)

・日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html

・総務省統計局「家計調査」
http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.html

・文部科学省「平成28年度 子どもの学習費調査」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001012023

・国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=416M60000080016

・文部科学省「私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1399613.htm

・独立行政法人日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」
https://www.jasso.go.jp/about/information/press/2018040301.html

 

2019年6月28日
text by 久保田 正広
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