あなたは今「投資信託を始めたいけど、どうしたらいいんだろうか」と悩んでいないでしょうか。
将来の不安を解消するためにも、少しでも早く投資信託を始めたいはずです。けれど、
「どの投資信託を選んだらいいのか分からない」
「どこの金融機関がいいのか分からない」
「いくらでやればいいのか分からない」
と、分からないことだらけで二の足を踏み、さらに焦りがつのってしまっているのではないかと思います。
ですが投資信託を始めるにあたり、目標を決めずにとりあえず購入してみたり、ネット上でおすすめされている投資信託をなんとなく始めたりするのと、手痛い失敗をすることに繋がりかねません。
本コラムでは、銀行勤務を経て、現在は独立系FPとして働く筆者の経験を交えて「失敗しない投資信託の始め方」解説していきます。
そしてここでつまづくことがないよう、やるべきことはできるだけ分かりやすく、かつ詳しく明確にしました。
私は、自身の投資信託の販売経験から、投資信託の始め方次第で、運用がうまくいく人・うまくいかない人が出てくることを実感しています。
投資信託の始め方で悩んでいる方は、ぜひ本コラムを参考にしていただき、スムーズに投資信託の運用をスタートさせましょう。
目次
【全7ステップ】失敗しない投資信託の始め方
第1章では、投資信託の始め方を解説していきます。
ただ単に投資信託を始めるのであれば、最寄りの金融機関の窓口に行ったり、ネットで検索したりすれば、すぐに始められるでしょう。
ですが、そのように始めるのはおすすめしません。
なぜなら、投資信託の運用で失敗しないための重要なステップが抜けているからです。
本章では、失敗しない投資信託の始め方を7つのステップに分解しました。
- ステップ1:「いつまでにいくら必要か」という目標を設定する
- ステップ2:活用する制度を決める
- ステップ3:金融機関を選ぶ
- ステップ4:証券口座を開設する
- ステップ5:証券口座に入金する
- ステップ6:投資信託を選ぶ
- ステップ7:投資信託を購入する
ステップの詳細を確認していきます。
ステップ1:「いつまでにいくら必要か」という目標を設定する
まず始めに、いつまでにいくら必要か、という目標を設定しましょう。
なぜ第1ステップで目標を設定するのかというと、そもそも目標がないと、
- 自分はいくら投資すればいいのか
- どの投資信託を選べばいいのか
- いくらになったら解約すべきなのか
といった、先のことが何も決められないからです。
これらは目標があってこそ、決められるようになるものです。
目標を決めて、投資信託を始めたケースを考えてみます。
例えば、ある35歳の人が「60歳の退職までに3,000万円を準備したい」という目標を立てたとします。
「いつまで」が60歳、「いくら必要か」が3,000万円ですね。
そうすると下図のように、毎月7万の積立で、年間の想定利回り3%が見込める投資信託を購入すれば、60歳の時点で3,122万円ができると計算できます。
となれば「月にいくら投資にまわす」が7万、「どの投資信託を選ぶのか」のヒントになるのが想定利回り3%、ということも分かりますね。
このように、どこを目指せばよいかが分かれば、そこへたどりつくためには何をすれば・どんな投資信託を選べばよいのか、までが具体的に描けるようになるのです。
逆に、明確な目標なく、例えば「セカンドライフが心配だから運用したいんです」等というように、漠然と投資信託を始めてしまうと失敗します。
投資した金額も、選んだ投資信託も、目標がないまま決めたものなので、全て何となくで続けていくことになってしまうのです。
このような事態を起こさないためにも、投資信託を始める時は、まず目標を決めることからやっていきましょう。
ステップ2:活用する制度を決める
次に、活用する制度を決めましょう。
ここでいう制度とは、NISAやiDeCoなど、資産運用における税制優遇制度のことを指します。
なぜ第2ステップで制度を決めるのかというと、各制度にはそれぞれ固有のメリット・デメリットがあるので、目標を達成するのに適した制度を選ばないと、期待した成果を得られない可能性もあるからです。
例えば、現在35歳の人が、15年後の子供の大学進学費用200万円を用意するために投資信託を始めたい、と考えていたとします。
ここでiDeCoを選択すると、どうなるでしょうか。
iDeCoには60歳まで現金化できないとのデメリットがあります。
この人が学費を用意したいと思っているのは50歳なので、60歳まで現金化できないiDeCoでは、せっかく運用しても使えませんよね。
つまり、学費の準備のためにiDeCoを選んでしまうのはNGなのです。
目標達成にあたって遠回りしてしまうリスクを避けるためにも、活用する制度は、先に選んでおきましょう。
ステップ3:金融機関(店頭orネット)を選ぶ
第3ステップでは、投資信託を始める金融機関(対面orネット)を選びましょう。
現在では、多くの金融機関(証券会社、銀行、郵便局、信用金庫、信用組合、農協など)で投資信託を始めることができますが、正直なところ、商品の品揃えに大きな違いはありません。
ですが、店頭で購入するか・ネットで購入するかには、手数料や受けられるサービスに大きな差があります。
例えば、ある人が「投資信託を初めて購入するから、商品の説明が受けられる対面型の証券会社を利用しよう」と考えたとします。
一般的に店頭で購入すると、ネット証券よりも手数料が割高です。理由は人件費などのコストがかかるからです。商品説明は受けられるかもしれませんが、コストを重視している人ならば、手数料の高さに不満に感じることがあるかもしれません。
逆に「投資信託についてよく分からなかったけど、ネット証券で購入したから全部自分で確認するしかなかった」とのケースもあります。
このように、店頭・ネットにはそれぞれメリット・デメリットがありますので、どちらを選ぶかは重要です。
店頭かネットか、どちらの金融機関で投資信託を購入すべきか、向いている人をまとめてみました。
「店頭で購入」が向いている人 | 商品の説明を受けたい人 自分で投資信託の良し悪しを判断する自信がない人 |
「ネットで購入」が向いている人 | コストを抑えたい人 自分で投資信託の良し悪しを判断できる人 |
自分で判断できる人はネット、自分で決められない人は店頭を選びましょう。
ステップ4:口座開設する
次は、選んだ金融機関で口座開設をしましょう。
店頭であれば担当者から説明を受けられますので、ここではネット証券の口座開設を見ていきましょう。
例として、楽天証券の場合を確認してみます。
楽天証券の口座開設では、次のような3ステップになっています。
- 口座開設申し込み
- 本人確認(本人確認書類の提出)
- 完了通知の受け取り
- 初期設定
1~3が完了すると、メールもしくは郵送でログインIDが送られてきます。
4の初期設定を行うと、取引ができるようになります。
さてこの口座開設では、特に初心者の方に気を付けてほしいポイントがあります。
それは「納税方法の選択」です。
どこの金融機関で口座開設をしても、3つの選択肢が出てきますが、基本的には「特定口座・源泉徴収あり」を選ぶようにしましょう。
なぜなら、「特定口座・源泉徴収あり」は、取引等で生じた利益に対しての納税を金融機関がやってくれるものだからです。確定申告も不要です。自分で何もする必要がないので、一番楽なのです。
納税方法の選択 | 説明 |
特定口座・源泉徴収あり | 確定申告が不要。金融機関が納税を代行。 |
特定口座・源泉徴収なし | 自身で確定申告を行う。「年間取引報告書」を金融機関で作成してくれるので、簡素な申告納税での手続きが可能。 |
特定口座を開設しない(一般口座) | 自身で確定申告を行う。2003年以前に特定口座がなかったときの制度が残っているもの。 |
楽天証券でも「特定口座・源泉徴収あり」のところに“おすすめ”と表示されているように、金融機関もおすすめしていますので、初心者の方は「特定口座・源泉徴収あり」を選ぶようにしましょう。
ステップ5:証券口座に入金する
口座開設が完了したら、第5ステップ「証券口座に入金」を行いましょう。
ネット証券口座の取引にあたっては、投資信託の購入前に入金が必要です。
口座に残高がないとエラーが出て、そもそも購入ができません。
なぜ事前入金が必要かと言うと、購入代金が引き落とされる日に残高不足が発生すると、証券会社に「遅延損害金」という損害賠償を支払わなければならない可能性が生じるからです。
引き落とし日前日までに入金できればいいのですが、うっかり忘れてしまうケースもあります。
しかしネット取引では、顧客ひとりひとりに担当者がつかないため、タイムリーに確実な入金を促すことが難しくなっています。
このため、そもそも事前入金するルールになっているのです。
ちなみに店頭で口座開設すると、注文を出した時点で口座にお金が入っていなくても、購入できる場合もあります。
ただし担当者や注文を取り次いだ人から、とてもとても強く、入金の念押しをされます。もし入金が間に合わないと、担当者や取り次いだ人は上司からものすごく怒られてしまうからです。
また「このお客様は、過去に入金遅れになってしまった取引がある」と社内で情報共有され、残高不足の状態で注文を取り次いでもらうことは二度とできなくなる可能性もあります。
こうした事態を防ぐためにも、ネット・店頭を問わず、投資信託を購入する場合はあらかじめ入金しておくことをおすすめします。
ステップ6:投資信託を選ぶ
入金が完了したら、投資信託を選びましょう。
投資信託選びをステップ1と考える人もいるかもしれません。
実際、金融機関の店頭で「投資信託を始めたい」と相談したら、投資信託を選ぶところから始まるケースもあるでしょう。
しかし、それは間違いです。
なぜならステップ1でもお伝えしたように、「いつまでにいくら必要か」が決まっていないと、そもそもどんな投資信託を選ぶべきかが判断できないからです。
例えば、どんな失敗が考えられるか、ステップ1と同じ例で考えてみましょう。
ある35歳の人が、60歳の退職までに3,000万円を準備したくて投資信託を始めるため、現時点で毎月7万円の積立で3%の運用を目指せば良かったのでしたね。
一般に、投資の利回りとリスクは比例関係にあり、高い利回りを得ようとするとリスクも大きくなります。
反対に、リスクを少なくしようとすると、あまり高い利回りを得ることはできません。
投資信託を選ぶには、自分の目標に合ったリスクとリターンの商品を買うことが大事です。
今回のケースで言えば、毎月7万円の積立が可能な人であれば、3%の運用を目指せばよいわけですから、そう大きな利回りを狙う必要はないわけです。
店頭で10%を目指すようなハイリスク・ハイリターンの商品を勧められたら、「自分の目標とするものではありません」と答えてほしいです。
ですが、もしも目標を立てていない人ならば、勧められた商品を買って失敗してしまうことも考えられるのです。
投資信託を選ぶ際には、目標が定まった上で、目指すべき利回りや、許容できるリスクなどと合わせて、商品を選びましょう。
ステップ7:投資信託を購入する
ここまでのステップ1から6で投資信託を購入するための準備が整いました。
いよいよ、投資信託を購入する方法について解説していきます。
投資信託の購入の仕方には、積立購入とスポット購入があります。
どちらかを選択しましょう。
積立購入 | スポット購入 |
定期的に積立購入する。 毎月貯めていける仕組みを作ることができる。 |
好きなタイミングで1回購入する。 まとまったお金で1回だけ購入したり、タイミングを分けて複数回購入したりできる。 |
[例] 毎月月末に10万円ずつ投資信託を購入。 | [例] まず1,000万円分投資信託を購入。その後、市場の様子を見ながら100万円、200万円と追加で購入。 |
なお投資信託を購入する直前には、目論見書等の確認が必須です。
目論見書とは、購入しようとする投資信託のコストなどの重要事項を説明した書類のことです。
投資信託を購入する前に必ず確認することになっており、目論見書等の画面を開いて確認してからでないと、購入ボタンが押下できませんので注意しましょう。
画面で内容を確認して、投資信託を購入しましょう。
投資信託の相談はFPバンクへ
いかがでしたでしょうか。
投資信託を始めるために、まず大事なことは「いつまでにいくら必要か」という目標を設定してからスタートすることでした。
それによって、失敗せずに投資信託を続けることができるので、ここはしっかりやって欲しいと筆者は強くお伝えしています。
ただし、目標とする「いつまでにいくら」をどうやって決めたらよいか分からない方もいるでしょう。
そんなときはファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみることをお勧めします。
あなたのライフプランに合わせた目標となる時期、額をアドバイスし、その上で投資信託をどのように始めたら良いかサポートも行っています。
お気軽にご相談下さい。
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