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2019.11.5
相続相談

贈与税は本当に高いのか!?税制改正にみる国の思惑とは!

贈与税は本当に高いのか?近年、政府から贈与税を優遇する特例が矢継ぎ早に出されています。こうした政府の動きの思惑はどんなところにあるのでしょうか?特例の内容を確認しながら、政府の思惑について考えてみましょう。

1.贈与税は何のため?

(1)贈与税は何のためにあるのか?

贈与税は金銭等をもらった者に納付義務のある税金です。お金をもらっただけなのに、税金を納めなければいけないなんて少し抵抗感があります。実は税法上の贈与税の役割は「相続税を補完するもの」と位置付けられています。簡単にいってしまうと、相続税逃れを防ぐために贈与税という税制度を作ったのです。例えば、相続税が多額にかかりそうな資産家がいたとしましょう。相続発生前に、自分の資産を全て子供に移せば、相続税はかからないことになります。このように相続税を逃れようとする者からも税金を納めてもらうために、贈与税があるのです。このケースでいえば、相続税の発生はありませんが、資産を受けた子供が多額の贈与税を払うことになるわけです。このように、贈与税は相続税の補完的な役割を担います。

(2)贈与税の税率は高いのか?

では贈与税の税率はどのくらいなのか相続税と比べながら、見ていきましょう。まず、贈与税の税率ですが、一般贈与なのか特例贈与なのかで適用する税率が違います。贈与は親族間が一般的ですが、赤の他人に対しても行うことができます。特例贈与とは祖父母や父母からお金をもらった20歳以上の方限定の贈与のことです。それ以外は全て一般贈与となります。例えば課税価格600万円以下の贈与の場合、一般贈与では税率30%であるのに対し、特例贈与では20%となります。

一般贈与財産

特例贈与財産

次に、相続税についてみてみましょう。相続税の税率は下記の表のようになっています。例えば

課税金額が1,000万円だとすると相続税では税率10%です。一方、贈与税では(特例贈与)税率30%となっており、贈与税のほうが税率は高くなっています。贈与税は高いから、贈与はあまりしないほうがいいという考えはこうした税率の高さに理由があるのではないでしょうか?

2.特例を使えば、贈与税を払わなくてもいい!?

(1)贈与税の特例

税率の高い印象のある贈与税ですが、実は政府としては贈与を積極的に行ってほしいと考えています。それを裏付ける贈与税の特例がここ数年で矢継ぎ早に出されています。政府は高齢者に偏在する個人資産を消費意欲のある若年層に移転することで、経済の活性化を狙いたいと考えています。具体的にはもらったお金の使い道を決めた上で贈与し、かつ贈与金を使わせる特例なのです。いくつか紹介していきますね。

(2)教育資金一括贈与

この特例は贈与でもらったお金の使い道を教育資金に限るものです。この特例を使うと1500万円までは贈与税が非課税になります。条件は祖父母や父母等の直系尊属からもらうこと、また受け取る側が30歳未満であることが必要です。金融機関に贈与用の口座を作成、贈与金を入金します。教育資金以外の払い出しはできないようになっているのです。教育資金と見なせるものは限定されているので、この制度を使う際は事前に確認しておきましょう。

(3)結婚・子育て資金の一括贈与

この特例は贈与金の使い道を結婚・子育て資金に限るものです。この特例を使うと1000万円までは贈与税が非課税になります。これも祖父母や父母等の直系尊属から金銭をもらうこと、また受け取る側の年齢が20歳以上~50歳未満であることが必要になります。こちらの特例も結婚・子育て資金とみなせる資金は細かく決められているので、事前に確認しておく必要があるでしょう。

(4)住宅取得資金の贈与の特例

この特例は贈与金の使い道を住宅の建築・取得に限るものです。贈与を行う年や取得する建物によって非課税となる限度が異なります。条件は祖父母や父母等の直系尊属から贈与を受けること、また、受け取る側が20歳以上である必要があります。例えば、2020年の3月31日までに一般住宅を取得するためのお金を父親から贈与を受けた場合、2,500万円までは贈与税が非課税となります。

この特例を受けるには贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住しなければいけません。住宅取得までには時間がかかりますから、贈与を検討する場合は時間的な余裕をもって進めたいところです。

3.長い目でみていけば、贈与税は高くない

(1)特例を活用しよう

特例の内容をみていくと住宅や教育など多くのかたが、人生において最もお金のかかる資金について贈与税の非課税が認められています。ライフプランの中で、結婚や出産、住宅取得のタイミングで贈与を検討することは有効といえます。贈与も相続も次世代への資産移転を図るという観点からみれば、同じです。こうした特例をうまく活用すれば、相続よりも贈与を活用したほうが、早期の資産移転を図ることができ、税金を安く抑えられるケースも十分に出てくるでしょう。

(2)贈与税の暦年課税を使おう

税率の高い贈与税ですが、実は年に110万円以内の贈与であれば課税されません。これは一人当たりの金額です。例えば子供3人に非課税の範囲内でなるべく沢山贈与したい場合は一人に110万円ずつ年間合計で330万円までは、非課税で渡すことができます。しかも、先ほどの特例と違い、使い道は自由です。金額は特例に比べて低いですが、使い道に制限がないことや、毎年繰り返していくことでかなりの金額を非課税で移転することができますから、特例と合わせて使っていきたいところです。ただし、注意したいこともあります。相続発生前、3年以内の贈与は相続税で計算されてしまうということです。せっかく、非課税で贈与ができても、無くなる直前の贈与は相続税で計算されてしまうのです。これは相続直前に贈与によって税金減らすことを防ぐためです。

実はこの制限にも抜け道があります。この制限は推定相続人(相続発生時に相続人となることが予想される人、一般に法定相続人のこと)のみに適用され、推定相続人以外の人が財産をもらう場合は適用されません。例えば、孫は法定相続人ではありませんから、亡くなる1年前に贈与を受けたとしても、相続税で計算することはありません。

このように長期的な視点でとらえていくと、高い税率と思われる贈与税も納付額を相当に抑えられるのです。

4.まとめ

近年、贈与税の特例が政府から矢継ぎ早に出されました。こうした税制改正から高齢者に偏在する個人資産を早期に若年層に移転を図りたい政府の意向が伝わってきます。贈与しやすい環境整備は整っていますから、以前のように贈与税が高いという印象はなくなりつつあるのではないでしょうか。

2019年11月5日
text by 久保田 正広
FPバンク

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