現役FPが伝える、都民共済で知っておくべきメリット・デメリット

家族で団らん

「都民共済って安そうだし、加入してみてもいいかな?」
「都民共済は安いけど、どんな内容?ちゃんと保障してくれる?」
「都民共済のメリット・デメリットってどんなのがあるんだろう?」

もしあなたが都民共済に少しでも興味や関心を持ったことがあるのなら、上記のようなことを考えたことはないでしょうか?

都民共済といえばCMなどで身近で「安い」などイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
当社に相談に来るお客様で都民共済に加入する方に聞いても、「掛け金(保険料)の安さ」が理由に挙がることが多い印象です。

しかし「安いからとりあえず入っておこう」とも考えてしまい、都民共済の保障内容やメリット・デメリットについて、しっかりと認識している人はあまり多くないです。

そこで今回は、都民共済について、メリット・デメリットの観点からわかりやすく解説していきたいと思います。
その上で、あなたが都民共済に入るべきか判断する上で押さえてほしいポイントまでお伝えしていきます。

 

1.都民共済のメリット3つ

(1)掛け金が安い

都民共済の最大のメリットは「掛け金が安い」ということがあげられます。

その理由は、全国生活協同組合連合会(全国生協連)が非営利で保障を請け負っているからです。

通常の保険会社は利益を出さなければならないため、私たちが支払う保険料の中には、保険会社の利益になる分も含まれています。
しかし、都民共済はそれがないので、安い掛け金で保障を受けることができます。

(2)割戻金がある

都民共済は、割戻金という形で掛け金の一部が戻ってくることがあります
割戻金が出るのは、実際掛け金(生命保険会社でいう保険料)に対して支払われる共済金(生命保険会社でいう保険金)が少なかった場合です。

理由は先ほどと同様に、都民共済が非営利で運営されていることにあります。

ちなみに令和3度は、総合保障型・入院保障型では32%強の割戻金がありました
例えば、月間2,000円・年間24,000円の掛け金を支払っていれば、約7,000円以上も掛け金が割戻されたということです。

ただし、割戻金がどのくらい出るかは、加入している保障タイプによって異なります

とは言え、こういった割戻金も都民共済の魅力と言えるでしょう。

なお直近3年間の割戻金のデータは以下の通りです。

令和元年 令和2年 令和3年
総合保障型・入院保障型 37.31% 39.77% 32.73%
こども型 21.14% 30.44% 13.89%
熟年型・熟年入院型 26.06% 29.13% 28.46%
傷害保障型共済 34.76% 36.69%
傷害共済 0% 0% 0%
新型火災共済 4.47% 20.00% 20.00%

〈出典〉都民共済のご案内 割戻金(閲覧日:2022.07.01)

(3)年齢が上がったとしても掛け金は上がらない

また、年齢が上がったとしても、掛金は上がりません。

都民共済の掛け金は、どんな内容の保障を受けるかによって変わるということです。
保障を充実させれば掛け金が上がり、最低限にすれば掛け金はその分安くすみます。

通常の生命保険の場合、保障内容が同じでも年齢が上がれば、支払う保険料は高くなってしまいます

都民共済の持つこのメリットは、通常の生命保険にはない大きな魅力と言えるでしょう。

<関連コラム>都民共済と生命保険はどっちがおすすめ?…決定版!

2.都民共済のデメリット3つ

(1)年齢によって保障内容が先細りする

先ほど、年齢によって掛金は変わらないというお話をしましたが、実は60歳を過ぎると保障内容は先細りしていきます

掛金2,000円の18~60歳の健康な方が入れる総合保障と、65~85歳の健康な方が入れる熟年保障で比べてみましょう。

  • 総合保障(18歳~60歳)・・・入院4,500円/日病気死亡400万円
  • 熟年保障(65歳~85歳)・・・入院2,500円/日病気死亡100万円

これをみると、医療保険は年齢が60歳以上になってから使う人が多いため、少し保障面で不安が残るかもしれません。
また、死亡保障もお葬式費用などのことを考えると100万円では不足するかもしれません。

この点は明確にデメリットと言えるでしょう。

(2)保障は85歳で終わり、一生涯の保障はなし

保障する最高年齢は85歳までのため、85歳以降の保障はありません。

民間の生命保険会社のように「終身」で一生涯の保障が付くタイプの商品はないのです。

61歳以降に保障内容が先細りしていくことを考えると、その分の貯蓄をしっかりしておくといった対策が必要となります。

(3)貯蓄性はない

都民共済は掛け捨てになるため、貯蓄性はありません

仮に、2,000円の掛金で25歳~75歳まで50年払った場合を考えてみます。

50年間で支払った掛け金の合計額は120万円。
割戻率が30%とすると割戻された金額は36万円となり、実質84万円は掛け捨てになります。

もし貯蓄型であれば保険料(掛け金)は高くなるかもしれませんが、商品によっては、支払った保険料がほぼ満額返ってくるものもあります。

「掛け金が安いから」と安易に考えず、貯蓄という観点も加えて考えておくことも大事でしょう。

しっかり検討したい場合は、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談してみることをおすすめします。

<関連コラム>共済と保険はどっちが良いの?共済って本当に安いの?

3.都民共済に入るべきかを判断する2つのポイント

(1)本来の「保障」のあり方を考えてみよう

安いという理由で「共済」を選ぶのも1つだと思います。しかし、本来は「どういった保障が自分に合っているのか」としっかりと考えてから、必要に応じて医療保障や死亡保障を考えるほうが賢明だと思います。特に医療保障は若いうちに使うというケースは比較的少なく、年齢がますにつれ医療保険を使うケースが増えてきます。

また、死亡保障も残された遺族の方のことを考えると60歳以降の死亡保障が少なくして大丈夫かというのは、自分の本当に必要な保障額を考える上での重要なポイントになりそうです。

(2)目的別に保障を組むことも選択肢にいれる

都民共済の場合、総合保障型、入院保障型、総合保障型+医療保障型という3つのタイプから選ぶことになります(18歳~60歳までの場合)。

この時に、死亡保障を考えると1口2,000円で400万円ですから、ご家族をお持ちの方にとっては1口では少なそうです。
仮に3,000万円の死亡保障を考えると7口(14,000円)以上入らなければなりません。

仮にほぼ同じ保障内容で、医療保障と死亡保障を民間の保険会社で設計した場合、A社では年間31,115円(25歳男性死亡保障2,940万円、入院1日5,000円・支払期間60歳まで)で済みます。
月額2,592円です。

一概に言えませんが、年齢や保険の組み方によっては、共済よりもかなり割安で組めることがありそうです。

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4.まとめ

安い、シンプル、都民で健康であればだれでも入れるからいう視点で保障を選ぶなら都民共済も悪くないでしょう。

しかし、どういった保障内容が自分や家族にとって向いているのかを考えてみると、別の選択肢もあるかもしれません。
ぜひ、共済を選択する際の参考にしてもらえればと思います。

2019年1月30日
text by 久保田 正広
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