「高い配当を受け取って生活していきたい」
「利回りの高い商品を保有して、配当(分配金)をおこづかいの足しにしたい」
こんなことを考えた経験はありませんか?
一度でも考えたことがあるなら、「不動産投資信託(リート)」がおすすめかもしれません。
株式や債券と異なる投資として、年々存在感が大きくなっている不動産投資信託(リート)。
「高い利回りが魅力」などという記事も数多くありますが、そもそもリートとは一体何なのでしょうか?
本当に利回りは高いのでしょうか?
この商品に投資すれば、上記で述べたような生活費やおこづかいの足しになるのでしょうか?
REIT(リート)に興味がある方向けに、仕組みやメリット・デメリットをお伝えします。
目次
1.リートの本数は、年々増加中
リートの発祥は⽶国で、1960年代に誕⽣しました。
⽇本で初めてのリート誕⽣は2001年で、それ以来リートの数は年々増加しており、現在では約60本、時価総額は15兆円を超える規模にまで拡⼤しています。
また、最近ではスターアジア不動産投資法人とさくら総合リート投資法人が日本初の敵対的合併へ進展するのではというニュースもあり、ますますリート市場への注目が高まっています。
(1)正式名称は「不動産投資信託」
リートの正式名称は不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)で、リートはその略称です。不動産と聞くと購⼊の⼿続きが⾯倒臭そう・・・と思われるかもしれませんが、金融機関で⼝座を開けば株式や投資信託と同じように、少額からでも簡単に売買をすることが可能です。
(2)不動産を証券化…どんな仕組み︖
次にリートの仕組みを⾒てみましょう。
リートは法律に基づいた「不動産投資法⼈」という形態をとっています。この不動産投資法⼈が投資家に投資証券を発⾏し、その対価として得る出資⾦を集めてオフィスビルやマンションを購⼊し、そこから得た賃料収⼊や売却益等を投資家に分配するという流れになっています。
少し複雑に⾒えますが、会社と株式の関係をイメージすると分かりやすいかもしれません。会社が投資家に株式を発⾏し、その出資⾦を基に会社が事業を⾏い、そこで得た利益を株主に分配する。この流れはリートとそっくりですね。
(3)どんな物件に投資しているの?
リートでは、都市部の1000億円規模のテナントやオフィスビルにも投資していますので、皆さんがよく知っているビルや、行ったことのあるテナントも中にはあるかもしれません。
詳しくは以下のURLをご参照下さい。
<出典> モーニングスターホームページ
(http://morningstar.japan-reit.com/beginner/02 閲覧2019.9.22)
2.リートのメリット・デメリット
(1)⾼いリターンと分散投資
リートの魅⼒として挙げられるのが「⾼いリターン」を期待できることです。平均利回りは3〜4%と⾔われており、株の2%程度と⽐較しても魅⼒的ですね。
なぜこの⾼いリターンを出せるのか︖不動産投資法⼈には、運⽤で得た利益の90%超を投資家へ分配すれば法⼈税が⾮課税になるという優遇制度があります。この制度があるおかげで⼀般的な企業よりも⾼いリターンを出せるのです。
また、株や債券を持っている⽅にとっては、不動産という異なる資産を組み入れることで分散投資としての効果も⾼まります。
実際に不動産を購⼊しようとなると、一般的には多額の購入資金を用意し、購入後も賃貸管理等が必要になりますが、リートであれば少額から購入でき、またご自身で物件管理を行う必要はありません。
(2)不動産市況の影響を受ける
リートは主に投資物件からの賃料を収益源としているため、一般的には物件の賃料動向と空室率が着目されます。不動産市況の影響により、空室率と賃料が上がったり、下がったりを繰り返すサイクルがあると言われます。
また、運用利回りについては国債利回りと比較することが多く、その差が大きいほどリートの収益性が高くなると言われます。
このように不動産市況により、リスクを含む金融商品であることから、投資額に対して元本割れするリスクがあります。
(3)投資対象は不動産であること
リートの投資対象は、不動産なのでインフレに強い投資ができると言われます。「インフレ」と言うと、自分には関係ないと思うかもしれませんが、政府、日銀は物価上昇率2%達成を掲げていますし、2019年10月には消費税増税があり、私達の身近な生活にも関係のある話ではないでしょうか。
一方、不動産という実物資産に投資するので⽕災や地震、水害などの災害による損害により投資額に対して元本割れするリスクがあることも認識しておかなければなりません。
その他、実物不動産を売却する場合は通常数か月と換金までに時間がかかりますが、リートだと基準価格で売却価格が決まりますが、数日間で換金できます。
3.まとめ
リートは、仕組みやメリット、デメリットをご理解したうえで上手に活⽤すれば、投資の幅を広げることができます。
「将来的に実物不動産投資をしてみたい︕」と考えている⼈はもちろん、今まで実物不動産投資をやってきたが、購入や管理など煩わしい手続きは全てプロに任せたい方にも、リートは魅力のある商品の一つだと思います。
2019年10月26日
text by 久保田 正広
FPバンク