
リート(REIT)とは不動産で運用する投資信託で、安定的な分配金が魅力の金融商品です。
なかには「リートは利回りが高い」と見聞きして興味をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。では、実際どの程度の分配金を期待できるのでしょうか。
本記事ではリートの分配金で生活できるのかシミュレーションするとともに、REIT投資のメリットと注意点もお伝えします。
目次
リートとは?
リートはもともと1960年代に米国で誕生しました。日本では2001年の誕生以来、銘柄数は年々増加しており、2024年7月には58銘柄、時価総額は14兆8,494億円にまで拡大しています。
ここではリートの概要と仕組みを簡単に整理していきましょう。
(1)正式名称は「不動産投資信託」
リートは日本語で「不動産投資信託」といいます。金融機関や投資家から集めた資金で多数の不動産に投資し、投資した物件から得られる賃料収入や、物件の売却益を分配金として投資家に分配する投資信託です。日本国内のリートは「J-REIT」といって、Japanの「J」が頭文字につきます。
リートは投資信託でありながら、その多くが証券取引所に上場している点が特徴です。したがってリートの価格は株価と同様に時々刻々と変動し、売買も成行注文・指値注文と、株式と同じようにおこないます。
(2)不動産を証券化…どんな仕組み?
なぜ不動産投資を投資信託(証券)にできるのか、リートの仕組みをもう少し詳しくみていきましょう。
厳密にいうと、リートは法律に基づいた不動産投資法人です。投資家は不動産投資法人が発行した投資証券を購入し、不動産投資法人は投資家から集めた資金を元手にオフィスビルやマンションへ投資します。そして購入した物件の賃料収入や物件の売買益を、投資家に分配する仕組みです。
株式会社をイメージすると理解しやすいでしょう。株式会社が発行した株式を投資家が購入し、会社は投資家からの出資金を元手に事業を運営して、株主(投資家)に利益を分配する流れはリートとよく似ていますね。
(3)どんな物件に投資しているの?
リートの投資対象物件は大きく分けて次の5種類です。
- オフィスビル
- 住宅・マンション
- 物流施設(倉庫など)
- 商業施設(ショッピングセンターなど)
- ホテル(ホテルやリゾート施設など)
このうち、「商業施設のみ」「ホテルのみ」などと投資対象を1種類に絞ったリートを「単一用途特化型リート」といいます。
一方で「オフィスビルと物流施設に投資する」といったように2種類の物件を組み合わせて投資するリートが「複合型リート」です。
また物件の種類を限定せず、3種類以上の物件を組み合わせて投資するリートを「総合型リート」といいます。
実際には複合型リートや総合型リートが多く、単一用途特化型リートはそこまで多くありません。
リートの利回りは高い?分配金で生活できるかシミュレーション
ここまででリートの分配金原資は賃料収入や物件の売却益だとわかりました。では実際にどの程度の利回りで運用できるのでしょうか。またリートの分配金で生活するために必要な投資額についても試算してみましょう。
(1)リートの分配金利回り
ここではリートのなかでもJ-REITの利回りをみていきます。一般社団法人不動産証券化協会によれば、J-REITの平均予想分配金利回りは2024年8月時点で4.67%です。J-REITに100万円投資した場合、年間4万6,700円(税金は考慮せず)の配当金を得られる計算です。
他方、同協会によると株式(東証プライム市場)の平均配当利回りが2.22%、10年国債の利回りが0.89%ですから、リートの分配金利回りは充分高いと評価できるでしょう。
(2)リートの分配金で生活できる?
家庭により1ヵ月の生活費はさまざまですが、ここでは目安として20万円、30万円、40万円と3パターンでシミュレーションしてみます。なお、リートの分配金利回りは4.67%とします。
- 月20万円(年間240万円)…5,140万円の資金が必要
- 月30万円(年間360万円)…7,709万円の資金が必要
- 月40万円(年間480万円)…1億279万円の資金が必要
毎月の生活費が20万円なら、理論上J-REITに5,140万円投資すれば生活できる計算です。
ただし、おすすめできるか否かの観点からいえば、おすすめできる方は少ないといえます。
なぜなら、資産運用は分散投資が基本だからです。
預貯金が5,000万円あるからといって5,000万円すべてをリートに投資してしまっては、リートの価格や分配金が下落したときに大ダメージを負ってしまいます。また急にお金が入り用になったときには、リートを取り崩さなければいけません。
預貯金が2億円、3億円ある方なら話は別ですが、資産運用は預貯金をある程度確保しながら株式、債券なども含めた分散投資が鉄則です。
これは「今すぐ」ではなく退職後の不労所得形成を目的にJ-REITの利用を考えている方も同様です。
退職金でまとまったお金を受け取ったとしても、J-REITだけではなく預貯金やほかの金融資産と分散したうえで運用するようにしましょう。
(3)分配金がもらえる時期に注意
リートの分配金は毎月ではなく年2回(半年に1回)の支払いが一般的で、決算月の都合上1月と7月、2月と8月とするものが多い点には注意が必要です。
毎月の生活費の足しやお小遣いの上乗せとして使いたい場合は、分配金を受け取れる月と金額から逆算して、計画立てて運用するようにしましょう。
リートに投資するメリット
リートの仕組みや特徴を踏まえて、ここからはリートに投資するメリットをみていきましょう。
(1)⾼いリターンが期待できる
先述のとおり、リート投資では分配金によって高いリターンが期待できます。一般社団法人不動産証券化協会によると、リート(J-REIT)の分配金利回りは2014年9月~2024年8月の10年間においては3%〜5%で推移しています。一方、同期間における株式(東証プライム市場上場銘柄)の配当利回りは1.4%~2.8%での推移です。
リートの分配金利回りが高い理由のひとつに、不動産投資法人に適用される税制度があげられます。具体的には運用で得た利益の90%超を投資家へ分配すれば法人税が非課税になる制度です。
この税制によって不動産投資法人は利益の多くを分配金に回そうとするため、投資家は高い分配金を期待できます。
(2)分散投資できる
リートを購入すると、複数物件への分散投資と同様の効果が得られます。リートが投資家から集める資金額は物件をいくつも購入できる規模となり、不動産投資の専門家が物件を選定して複数の不動産へ投資するためです。
また現物投資で必要となる物件の管理もすべて専門家が担うため、投資家はそうした手間もかかりません。
個人が複数の不動産に現物で投資しようとすれば、数千万円、数億円規模の購入資金や物件管理の労力を要しますが、リートなら少額でも不動産投資が可能です。
(3)売買しやすい
リートは現物の不動産とくらべて少額で購入できる点、また売買の手続きが簡単な点もメリットです。
不動産を現物で購入する場合は少なくとも数百万円が必要ですが、リート(J-REIT)なら安いものだと1口5万円程度から購入できます。(2024年9月18日時点)
またリート(J-REIT)は証券取引所に上場していますから、株式同様いつでも売買できます。値動きも株価と同じくリアルタイムでわかり、成行注文や指値注文も可能です。
リート投資のデメリット(注意点)
リート投資にはメリットがある一方で、もちろんデメリット(注意点)も存在します。ここでは必ず押さえておきたい注意点を2つみていきましょう。
(1)元本・分配金が減るおそれがある
リートは預貯金と異なり、元本保証ではありません。分配金についてもこれまでの水準が今後も続くとはいいきれません。
不動産市況や経済情勢が悪化すれば空室率や賃料にも悪影響が及び、リートの価格や分配金に反映されるためです。
リートの価格については、市場の需給状況によっても変動します。買い注文が多く入れば価格は上昇し、売り注文が多く入れば価格は下落します。
また分配金のおもな原資は投資物件からの賃料です。賃料自体は毎月発生するもののため、
分配金も基本的には安定的に支払われます。しかし分配金の額に関しては不動産市況や景気によって下落するおそれがあり、つねに一定の水準が保証されているものではありません。
なお、海外のリートに投資する場合は、J-REITが持つリスクに加えて国際情勢や為替の動きによる価格変動リスクも負うことになります。
(2)不動産固有のリスクがある
リートを購入する際は、ほかの金融商品にはない、不動産固有のリスクを負う点にも注意が必要です。
リートの投資対象は土地や建物です。火災や地震、水害など予測不可能な災害により土地や建物が損害を受けた場合、リートの価格が下落するおそれがあります。とくに日本は自然災害の多い国として知られていますから、こうしたリスクは念頭に置いておくべきでしょう。
もう1点、法改正が不動産やリートの価格に影響を及ぼす可能性もあります。たとえば不動産税制、建築規制など不動産に関連する法律が改正・規制強化された場合、投資物件やリートの価格が変動するかもしれません。
またリートは金融商品の1種ですから、金融商品の取引に関する法律などが改正された場合にも、価格変動が起こり得ます。
リートを活かしてポートフォリオの幅を広げよう
最後に、本記事の要点を下記にまとめておきます。
- リートは不動産を投資対象とする投資信託で、投資信託でありながら証券取引所に上場している
- リート(J-REIT)の分配金利回りは2024年7月末時点で4.67%と株式の配当金や10年国債よりも高い水準。分配金での生活は理論上可能だが、リスクを抑えるためには数億円の資産が必要であり、多くの方にとって現実的とはいえない。
- リート投資のメリットは分配金利回りの高さ。また現物不動産にくらべて分散投資が容易な点、売買のしやすさもメリット
- リート投資の注意点は、元本保証でない点、分配金も変動するおそれがある点。不動産に投資する以上、不動産特有のリスクを負う点にも注意が必要
リートは高い分配金が魅力の金融商品ですが、分配金だけで生活しようとするよりも他の金融商品と組み合わせてポートフォリオを充実させるための活用をおすすめします。
リートの特徴やリスクを理解したうえで株式や債券での運用にリートをプラスすれば、投資の幅が広がって分散投資の手助けとなるでしょう。
あるいは現物の不動産投資に興味がある方や、今まで現物の不動産に投資してきたが購入や管理の煩わしい手間をプロにすべて任せたい方にもおすすめできます。
リートは投資初心者にとっても経験者にとっても、資産形成の選択肢を広げてくれる、魅力ある商品です。
本コラムで挙げた注意点を参考に、ご自身の『運用戦略』に組み入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、繰り返しになりますが資産運用は分散投資が基本です。リートのみで運用戦略を立てるのではなく、運用期間やリスク許容度を総合的に考えたうえで、ほかの金融商品も含めて資産や投資額のバランスを決めていきましょう。
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