50代からのお金の増やし方!老後の資金の貯め方を解説

50代からのお金の増やし方!老後の資金の貯め方を解説

老後の資金として2,000万円必要というニュースを見て、将来のお金に不安を感じている人は多いはずです。

この記事では「50代からのお金の増やし方」をテーマに解説します。合わせて、老後の資金の貯め方や、注意点なども紹介するのでぜひ参考にしてください。

1.50代の平均貯蓄額はどれくらい?

1.50代の平均貯蓄額はどれくらい?

金融広報中央委員会が令和5年に公表した調査によると、2人以上世帯の50代平均貯蓄額は以下の通りです。

 2人以上世帯の50代平均貯蓄額)

平均

1,147万円

中央値

300万円

貯蓄額の多い世帯によって平均値は高くなっていますが、中央値を見ると300万円と決して大きな額ではありません。老後の資金は2,000万円必要という報道が出ている今、不安の残る数字といえるでしょう。

では50代からお金を増やして老後の資金を貯めるには、どうしたらいいのでしょうか?

2.50代からのお金の増やし方

2.50代からのお金の増やし方

50代からのお金の増やし方・貯め方を解説していきます。

(1)自身の目標額を確認しよう

まずは老後の資金が実際にいくら必要なのかを把握しておきましょう。今現在の家計の収支を確認して、公的年金や個人年金、金融資産などを合わせて月にいくら必要になるか計算することをおすすめします。

総務省の2023年家計調査によると、502人以上世帯の平均的な実収入と実支出は以下の通りです。

2023年度実収入と実支出の平均)

実収入

253,014円

実支出

288,655円

差額

-35,641円

60歳で定年を迎え毎月4万円の赤字が30年間続くと仮定した場合、総額は1,440万円となります。しかし、この数字には旅行や子どもの結婚資金といった突発的な支出は入っていません。ゆとりある老後の資金としては、2,000万円程度あると安心できそうです。

(2)家計の見直しから

それでは、老後の資金として2,000万円を貯めるには何を始めるべきでしょうか。まずは家計の見直しをおすすめします。

FPの観点からいえば、見直すべきは日々の生活費ではなく「金額の大きい固定費」です。特にお子様の手が離れた50代が見直すべき固定の項目を挙げてみます。

電気ガス

契約しているプランが基本料金の高いファミリープランになっていないか確認を

インターネット

無駄なオプションがついていないか確認してみましょう

スマートフォン

大手キャリアではなく格安SIMへの乗り換えを検討しましょう

サイズダウンすれば自動車税や保険料が変わる可能性があります

保険

お子様が成人している場合は保障を減らす、払済保険にするなどの方法で節約できるかもしれません

 以前は必要だったものも、今の生活環境で考えてみると不要だったということは多くあります。この機会に、家計の無駄を見直してみてはいかがでしょう。

(3)実は多い生涯現役という選択肢

金融広報中央委員会が2024年に公表した調査によると、年金に対する考え方の割合は以下のように推移しています。

(年金に対する考え方の推移)

 

2021

2023

ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる

55.8%

52.0%

日常生活費もまかなうのが難しい

35.0%

38.1%

 半数以上の人が「年金ではゆとりがない」と回答してしており、「ゆとりがなく日常生活費をまかなうことも難しい」と捉えている人も含めると、全体の9割近くが年金額に不満を持っているようです。

 次に同調査から老後の生活費の収入源を見ていきましょう。

 (老後の生活費の収入源)

 

2021

2023

就業による収入

49.1%

46.4%

公的年金

71.1%

68.1%

企業年金、個人年金、保険金

37.7%

32.8%

利子配当所得

9.7%

11.2%

 2021年時点では半数近くが、2023年にも46%の人が就業していることがわかります。就業することによって、人生にやりがいを見つけたり、人から感謝、評価されたりといったメリットも生じます。老後に目標がない、やりたいことがない、という場合は仕事を継続して生活にハリを出すと同時に収入源につなげてはいかがでしょうか。

 なるべく長く働くメリットはまだあります。60歳で退職した後も、厚生年金は70歳まで加入できます。これにより受給できる厚生年金額が増えるのです。働けるうちは、働いて将来の年金額を多くする、老後の資金として貯蓄に回す、などしておくと良いでしょう。

(4)利子配当所得という手もあり

金融広報中央委員会の調査で、老後の生活費の収入源として増えている項目が「利子配当所得」です。2014年には2.8%しかなかった割合が、2021年には9.7%、2023年には11.2%と2ケタに突入しました。

体力に自信がない、働き続ける自信がない場合はお金に働いてもらって、利子配当所得を得るという方法もおすすめです。お金に働いてもらう場合、気を付けたいのが自身のリスク許容度です。お金を無理に増やそうとしてリスクの高い金融商品に投資をしても、不安の種が増えるだけです。

お金を増やすよりも重要なのは「お金の寿命を伸ばす」ことです。

保有資産2,000万円を60歳から10万円ずつ取り崩した場合のシミュレーションは以下の通りです。

2,000万円を65歳から毎月10万円取り崩した場合の資産寿命)

 

運用しない

年率0.1%で運用

年率5%で運用

終了年齢

81歳8カ月

81歳10カ月

99歳3カ月

運用しなかった場合と運用しながらの場合で、資産の寿命が大きく異なることがわかります。

(5)先取り貯金で失敗知らず

貯金が苦手という人は、まず給料日に貯金をする先取り貯金をおすすめします。最近の金融機関は口座振替などで、予め決めておいた日に自動で貯蓄用口座へ振替できるサービスを導入しています。

この貯め方なら余った分を貯蓄にするのではなく、先に貯蓄に回して残った分で生活するという癖がつくので貯めるのが苦手という人にもおすすめです。

また老後の資金の形成を目的としているなら、普通預金よりも次に紹介する個人年金や、NISAiDeCoを活用しても良いでしょう。

(6)個人年金を活用する

年金は原則65歳から受給でき、受け取れる年金は3種類あります。

1.国民年金(公的年金)
2.厚生年金(公的年金)
3.個人年金保険、確定拠出年金(個人年金)

個人年金はその名の通り、個人で準備する年金であり、公的年金に上乗せして年金額を補完する目的があります。投資や運用という言葉に抵抗のある人や、計画的に老後の資金を貯めたい人におすすめです。

(個人年金のポイント)

個人年金のメリット

  1. 公的年金に上乗せして個人で年金を準備できる
  2. 年末調整や確定申告で所得税控除の対象になる

個人年金のデメリット

  1. 決まった利率で運用するためインフレに備えられない
  2. 途中で解約すると元本割れする可能性が高い

 個人年金は自分で備える年金です。所得税控除の対象になるので、個人年金かiDeCoは優先して活用したいところです。特に日本は稼げば稼ぐほど課税される累進課税を採用しています。所得税控除を受けることで、かかる税金も抑えられる点は大きなメリットといえるでしょう。

(7)iDeCoを活用する

NISAもiDeCoも始めていない場合、優先したいのが税制優遇のあるiDeCoです。

iDeCoに積立(拠出といいます)することで、税金が控除されますし、運用益も非課税になります。

 (抑えておきたいiDeCoのポイント)

iDeCoのメリット

1.iDeCoの掛金が全額所得控除の対象となる
2.運用中に増えた利益は非課税
3.受け取る時にも税制優遇が受けられる
4.運用が好調であれば受け取れるお金が増える
5.月5,000円と少額でも始められる
6.60歳まで原則引出不可なので使ってしまう心配がない

iDeCoのデメリット

1.運用で損をする可能性もある
2.加入時に2,829円の事務手数料、運用中に運用手数料がかかる
171円~589円、金融機関によって異なる)

 手数料がかかると聞くと不安を感じる人も多いかもしれません。しかし、iDeCoは掛金が全額所得控除となり受け取る時にも税制優遇が受けられます。デメリットもありますが、メリットも多い制度なので老後の資産形成として検討して頂きたい方法の1つです。

(8)NISAを活用する

すでにiDeCoを活用している人は、NISAも始めてみてください。

NISAは2024年から新制度になり、非課税枠が増え、非課税期間が無期限になりました。投資を始めたことがない人は、毎月一定額を積み立てる「つみたて投資枠」を、すでにある程度投資に知識がある人は「成長投資枠」を活用してみてください。 

iDeCoやNISAを始める際に、50歳から65歳までの15年間でいくら積み立てるとどのくらいになるのかシミュレーションは以下の通りです。

(資産形成シミュレーション・15年間積み立てた場合)

 

年率3

年率5

年率8

毎月5,000円積立

113万円

134万円

173万円

毎月1万円積立

227万円

267万円

346万円

毎月3万円積立

681万円

802万円

1,038万円

iDeCoやNISAでいくら積み立てればいいのか検討中という人は、ぜひ積立額の参考にしてください。iDeCoNISAも途中で増額、減額することが可能です。

投資初心者の人であれば、最初は5,000円から始めてみて、慣れてきたら10,000円、30,000円に増やす方法がおすすめです。

3.老後資金を貯める奥の手!?

3.老後資金を貯める奥の手!?

今までの方法でも老後資金の目標貯金額2,000万円を到達できない方には、「奥の手」をお伝えします。賛否両論あると思いますが、お子様が社会人になったら毎月生活費を受け取るのはいかがでしょうか。

お子さんの勤務地等の都合で別居になるケースは、お子様ご自身の生活もあるので難しいと思いますが、同居する場合は生活費として毎月家に一定金額を入れてもらいます。

その金額を貯金しておけば、老後資金を貯めるチャンスになるかもしれません。

ここでのポイントは、お子さんが入社したタイミングで毎月家に入れる生活費の金額を相談して決めておく事だと思います。相談した結果、お互い納得した金額であれば今後親御様に定期収入が入る仕組みができます。

子供からお金をもらうのは申し訳ないと思う方は、将来のお子さんの結婚資金を援助するなどの名目で、貯金してあげてもいいかもしれないですね。

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4.50代から老後の資金を貯める場合の注意点

4.50代から老後の資金を貯める場合の注意点

50代から老後の資金を貯める場合に注意するべき点があるので解説します。

自身の年金額を確認しておこう

自分自身で年金がいくら受け取れるのか、きちんと確認できていますか?これを知らないと、老後の収入はいくらなのか、どのていど貯金すべきなのかがわからず、ライフプランニングができません。

年金額を確認する方法を紹介するので、この機会に自身の年金額を調べておきましょう。

(年金を確認する方法)

年金定期便を見る

毎年、誕生月に郵送されてきます。

50歳未満の人はこれまでの加入実績に応じた年金額が、50歳以上の人は年金見込額が確認できます。

35歳、45歳、59歳の節目の年には全期間の年金記録が郵送されます。

ねんきんネットを見る

ねんきんネットでは、インターネット上で自分の年金額を確認したり年金見込み額を試算したりできます。

年金定期便の内容確認もできるので、手元に書類が見つからない時でも利用できます。

年金事務所、年金相談センターに行く

「年金事務所+地名」で検索すると近くの年金事務所や相談センターが表示されます。混雑状況によっては長時間待つことになるので、事前に予約することをおすすめします。

 厚生労働省が公表している調査によると、2024年の平均年金月額は国民年金が「56,428円」、厚生年金が「144,982円」となっています。

退職金で散財しないようにしよう

退職金を受け取るとつい気持ちが大きくなってしまい、旅行や高額な買い物などで散財してしまうケースがあります。退職金を散財しないように気を付けましょう。

退職金は、一度に全額受け取る「一時金」と、年金として受け取る「年金」、「一時金」と「年金」を組み合わせて受け取る、の3つの受け取り方があります。

一般的には退職所得控除が適用される「一時金」がお得なケースが多くなっていますが、退職金受け取り後も就労を続けたり、年金を繰り下げ受給したりする場合は年金として受け取った方が良い場合もあるので覚えておいてください。

1つの投資先に集中しないようにしよう

老後の資金の形成のためといって、退職金や投資資金を1つのものに集中しないようにしましょう。

投資の基本は分散投資です。1つの投資先にまとまった資金を投入してしまうと、値下がりしたときに大きな損失になるリスクが高まります。運用する場合は、積極的に攻める資産と、手堅く守る資産とに分けて運用することをおすすめします。

どのようなものを選ぶべきか悩んでいる人は、ぜひ一度FPに相談してください。

5.50代からのお金の増やし方・老後の資金の貯め方について

5.50代からのお金の増やし方・老後の資金の貯め方について

順調に老後資金の貯金ができれば、理想のセカンドライフが叶う可能性は高まりますね。人によっては、セカンドライフを「何十年と頑張って仕事や家事、育児をしてきた後にやってくる人生のご褒美のようなもの」と考える方もいます。

最近は人生100年時代と言われるなかで、男性の平均余命は81歳*、女性は87歳*まで伸びてきました。幸せなセカンドライフを送るためにも、今からしっかりと準備しておきたいものですね。

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