都民共済と生命保険はどっちがおすすめ?…決定版!

手を繋いでいる人たちの上に虹がかかっている

こんにちはFPバンク編集部です。

大きな病気など万一の時に保障が受けられる仕組みというと先ず生命保険が思い浮かびますが、似た仕組みに都民共済など生命共済があります。

生命保険と都民共済はどう違うのでしょうか。

生命保険と言うと掛金は月々数万円になることも珍しくないですが、都民共済であれば月々の掛金は数千円のイメージなので、同じように役立つものなら負担は軽い方がいいですよね。

そこで今日は、都民共済の特徴と利用法を、生命保険と比べながらご説明します。

このコラムを読んでいただければ都民共済か生命保険かで迷う事はなくなるでしょう。

それぞれの優れた点と弱い点をしっかり押さえて、上手に使い分けましょう。

1.都民共済と生命保険の共通点 …「万一に備えて」

災害や大病など、万一(≒10,000人に1人ぐらいの割合)の発生が見込まれるような家計の危機には上手に備えたいですよね。

そんな場合に、多くの人から少しずつお金を集めておき、危機が当たってしまった人がまとまったお金を受け取ることで備えようとする基本的な仕組みは、都民共済も生命保険も同じです。

しかし都民共済と生命保険では運営主体や考え方の違いから、具体的に提供している商品や保障内容にはかなり違いがあるので、詳しくはこの後に説明していきます。

2.都民共済と生命保険の違い

(1)都民共済

都民共済は東京都知事の認可を得て設立された「東京都民共済」という生活協同組合が運営しています。

生活共同組合は「近所の助け合い」を大きくしたような仕組みです。

参加者は出資金(都民共済の場合200円)を払うと組合員となることができ、助け合いに参加することができます。

助け合いによる非営利の保障制度なので、加入者から決まった掛金を集めて、そこから万一に当たった加入者にはまとまったお金を払い、余ったお金があれば割戻金という名前で加入者それぞれに返還されることになっており、過去の実績を見ると3割くらいは戻っています。

ただし非営利と言っても集めた掛金の全てを保障に回せる訳ではなく、運営事務にかかるコストは差し引かれます。

また保障の内容は助け合いと言えるような範囲に限られるので、具体的に用意されている商品は、誰にとっても必要最小限度と言えるような額でのセット商品に限られています。

保障額が小さいこともあり掛金水準は数千円で済むので、生命保険に入った場合に一般的にイメージする保険料に比べると負担感は小さくなります。

(2)生命保険

生命保険は、金融庁の認可を得た生命保険会社が、それぞれ開発した保険商品を全国規模で販売しています。

生命保険会社の形態には共済に性質が似ている相互会社と、株式会社があります。

生命保険会社は一般的に生活協同組合よりも規模が大きく、専門性が高い金融機関なので、様々な種類や大きさの保障ニーズに対応できる豊富な品揃えがあります。

また資産運用も得意としているので、資産運用ニーズに応える貯蓄性のある商品が用意されています。

株式会社には営利目的がありますが、たくさんの保険会社間での競争があるので、単純に非営利目的の共済の方が安いとは限りません。

また都民共済のような割戻金はありませんが、生命保険にも配当金が戻るタイプがあります。

しかし生命保険の場合は都民共済よりも大きな保障額や貯蓄性のある商品で加入することが多いので、保険料の支出は都民共済の掛金よりも大きくなりがちです。

<関連コラム>都民共済を有効に活用するために知っておくべきこと

3.都民共済と生命保険の使い方

(1)都民共済の保障内容

都民共済のホームページで「人気No.1」と紹介されている月掛金2,000円で65歳までの「総合保障2型」と、同じ月掛金で65歳以降の「熟年2型」内容を具体的に見てみましょう。

保障内容で主にチェックすべきは病気による入院や、病気による死亡時の保障でしょう。

病気による入院は65歳までは1日あたり4,500円ですが、65歳以降は2,500円、80歳で1,000円に減り、85歳で保障は終了します。

病気による死亡も60歳までは800万円の保障がありますが、その後は年齢とともに徐々に小さくなり、85歳で保障が終了します。

総合保障2型
<参照サイト>東京都民共済「生命共済」

(2)都民共済の使い方

都民共済は月々の負担のハードルが低く、また保障がひと通りセットされているというメリットがあるので、初めての保障商品として加入する場合が多いようです。

確かに月掛金2,000円は負担感が少ない金額ですが、それでも1年に24,000円、仮に50年かけ続けると120万円(30%割戻しがあると仮定して120万円×0.7=84万円)にもなるので、加入する場合は自分が欲しい保障にあっているかをしっかり考えた方が良いでしょう。

上記のとおり都民共済は同じ月掛金だと年齢とともに保障が徐々に小さくなっていくので、老後の保障はかなり小さくなってしまいます。

もしあなたが老後も病気による入院保障が欲しい場合、これで足りるでしょうか。

また死亡保障はどれくらい必要でしょうか。

扶養家族がずっといない想定ならあまり要らないかもしれませんが、あなたが家計の稼ぎ手になる場合は、家族構成や生活水準、持っている資産の状況にもよりますが、400万円の保障では心許ないのでは。

都民共済に加入する場合は、あくまで必要な備えのひとつのパーツと位置付けて、「必要な保障-都民共済の保障」の不足分をどうするか、を考えておくことが欠かせないでしょう。

<関連コラム>共済と保険はどっちが良いの?共済って本当に安いの?

(3)生命保険の使い方

生命保険の場合は、商品のバリエーションが豊富で、加入プランの自由度も大きいので、必要な保障にピッタリの商品を探すことができます。

ただし生命保険は選択肢が多い代わりに、内容も複雑なので、加入時の検討が不十分だと、本当は自分に合っていない生命保険に高額な保険料を払い続けることになる恐れがあります。

高い保険料を払い続けたのに万一の際に期待していた保障が得られないのでは最悪です。

そんな事にならないためには、自分に合う保障額を自分のライフプランを踏まえて決めること、また不明点は何でも質問して、納得してから加入を決断することが必要です。

4.まとめ

今日はここまで、都民共済と生命保険の使い方を説明してきましたが、いかがでしょうか。

人生は他にも色々お金がかかるので、「万一」のために大事なお金をムダにかけている余裕はありませんよね。

一番大切なことは「都民共済か生命保険か」ではなく、あなたのライフプランに合っているか、あなたに必要な保障に合っているかどうかでしょう。

そうした判断が自分では難しい場合は、ライフプラン相談に強いファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。

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2020年8月21日
text by 久保田 正広
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