どうやって住宅ローンを組んだらいいのか?銀行の住宅ローン相談会に行ってみても固定・変動・・・どちらがいいのか?住宅ローンを考え始めたとき知っておきたいお話を紹介します。
目次
1.10年固定金利の住宅ローンとは
(1)10年固定金利のカラクリ
最初の10年間は毎月の支払金額が約束されており、変動はしません。
そのあとは変動金利にするか固定金利にするかを選べるというものが一般的ですが、その際の適用金利は11年目のものとなるため、金利上昇リスクがあるということになります。要は10年固定金利とは10年ごと見直し変動金利と言うことができます。
この「11年目の金利上昇リスク」が要注意ポイントです。
実は、当初10年間の金利が低くなっている理由でもある「金利優遇」という仕組みには、
- 当初10年間のみ大きく金利を下げるタイプ
- 借入の全期間にわたって金利を下げるタイプ
以上の2つのタイプがあります。
このうち、当初10年のみ大きく金利を下げるタイプにしていると、11年目以降に金利が大きく上昇し、返済額が跳ね上がってしまう可能性があるのです。
(2)全期間固定との比較をすると…
全期間固定金利は返済中、ずっと金利が上がらないメリットがある分、金利はやや高めに設定されています。
それと比較すると、10年固定は初めは金利が低く返済額も安く感じますが、その後適用される金利は未知数です。
10年後の金利は誰もはっきりとは想像できないからです。
「過去最低」を更新した現在の金利水準から推測すると、10年後には上がっている可能性のほうが高いかも知れません。
(3)変動金利との比較は…
変動金利は固定期間があるローンに対して金利が低く抑えられることがメリットです。
仮に今後数十年間、低金利時代がずっと続いた場合には最もお得です。ただし、その低金利時代が続く保証はありません。
変動金利は、金利上昇リスクを負える人が対象と言えます。
例えば、金利が上がっても繰上げ返済をすることができたり、収入を上げることで家計への影響を抑えられたりするということです。
10年固定は変動に比べ金利は高いですが、10年間に限って金利上昇リスクを回避できます。
しかしもし10年後、予想外に金利が上昇しており、借り換えようと思っても今では考えられないような金利の高いローンしかなかったらどうするのでしょう。そういった可能性まで考慮して10年固定金利ローンは慎重に検討しなくてはなりません。
<関連コラム>変動金利vs固定金利。住宅ローン金利はどうやって決まるの?
2.10年固定金利ローンは、11年目から金利が低下すれば有利になる可能性がある
上記の比較からわかるように変動金利ローンの金利上昇リスク、固定金利ローンの金利の高さという両方のデメリットを併せ持っているのが10年固定ローンと言えます。
したがって、このローンを選択する際は、返済計画をしっかり立てておく必要があります。
ところで、10年固定金利住宅ローンを選んだメリットを最大限受けられるケースとは、どんなものが考えられるでしょうか。
それは、返済をし始めてすぐに金利が大きく上昇し、11年目を迎えるときには再び現在のような低金利時代が到来、その後完済するまでその低金利を維持するであろうと予測するケースです。
ここで注意しなくてはならないのは、果たしてそのような予測が当たる確率がどれだけあるか、ということです。
その予測に確信が持てないのであれば、安易に10年固定を選ぶのは危険です。
変動は怖いイメージがあり、でも全期間固定は返済額が高い、だからとりあえず10年間固定、というのは問題の先延ばしに過ぎません。
後々、金利が上がり過ぎて返済ができないといった取り返しのつかないことになる可能性があります。
現に日本で組まれた住宅ローンのだいたい5%くらいの金額は破綻して返済不能になっているのです。
予想通りにいかなかった場合を考え、悲観的に準備し、余裕を持って楽観的に対処できるようにしておきましょう。
3.自分にぴったりなローンとは
固定金利と変動金利と10年固定金利を比べて参りましたが、将来の金利予測が難しい中、自分ならどの形のローンを選んだら良いのかというところが一番気になると思います。
多くのお客様からそういった内容のお問い合わせをいただくのですが、実はどんな場合でも最適となるローンはないのです。
固定金利は安心感というメリットがあります。
変動金利は、十分な余力がある方には得となる可能性もあります。10年固定は変動金利よりは高いが、固定金利よりは低い金利が当初10年間適用されるという特色があります。
人によって選ぶべきローンは様々なのです。
<出典>リクルートSUUMOホームページ
住宅ローン、銀行の選び方・選択方法https://suumo.jp/article/jukatsu/money/money_category/loan/ 閲覧日2019.5.15
4.まとめ
それぞれのメリット、デメリットをお伝えしましたが、結論としてはローン商品を比較する前にローンを組もうとしているご自身の今後のシミュレーションを立てることのほうが先決です。
今後のライフプランによって最適なローンは変わるのです。キャッシュフロー診断を行うことでお客様の返済能力を明確にしていきます。シミュレーションを見ると変動金利、固定金利どちらで選んだほうが安心かなど、おのずとお客様が選ぶべき住宅ローンが見えてくるのです。
2019年6月29日
text by 久保田 正広
FPバンク