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2019.6.4
相続相談

数次相続とはなにか?~相続人が揉めないために予めしておくべきこと

相続対策の中で、実は盲点になりやすいのが「数次相続」です。「数次相続」はなかなか聞きになれない言葉ですが、実は珍しくない相続の形です。今回はこの「数次相続」とは何かについて解説していきます。

1.数次相続とはなにか

「数次相続」とはなんのことでしょうか。まずは基本をしっかり押さえてみましょう。

(1)数次相続の基礎知識

数次相続とは、「被相続人の遺産分割協議前に相続人が死亡してしまった場合、その地位を相続人の法定相続人が引き継ぐこと」を指します。例えば、父親(被相続人)が亡くなって、その遺産分割協議が終わらないうちに、相続人である母親が亡くなってしまうようなケースがこの「数次相続」にあたります。

(2)相続発生の間が空いたら?

両親が相次いで亡くなった場合に起こりやすい数次相続ですが、相続発生の間があいていたとしても起こる可能性があります。実は被相続人が亡くなった後もきちんと遺産分割協議がされていないケースは意外と多く、次の相続が発生した時に不動産の名義がずっと前に亡くなった方のままだったというような事例も少なくありません。これらも「数次相続」となります。

2.混同しやすい相続の形

「数次相続」と混同しやすい相続の形として、「2次相続」と「代襲相続」があります。その違いをご説明します。

(1)「2次相続」との違い

「2次相続」とは、夫婦が順番に亡くなることで、順番に相続が発生することです。
一般的には女性の方が長生きですので、夫が亡くなった時が「1次相続」、妻が亡くなった時に「2次相続」となるケースが多いようです。数次相続と似ていますが、遺産分割協議が終わっている点が大きく異なります。2次相続が「配偶者の税額軽減(出典1)」を使えないため、1次相続よりも難しいと言われています。これが数次相続となってしまうと、ただでさえ難しい2次相続が更に厄介なものとなってしまいますので注意が必要です。

〈出典1〉  国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm (閲覧日:2019.4.25)

(2)「代襲相続」との違い

 もう1つ、混同しやすいのが「代襲相続」です。「代襲相続」とは、被相続人の前に相続人が亡くなってしまった場合、その相続権が相続人の子どもに移るという仕組みです。図1を見ていただくと本来、長男が相続人になるはずですが、故人のためその子どもに相続権が移ります。(図1参照)

数次相続との違いは亡くなる順番と考えれば分かりやすいでしょう。

【図1】代襲相続のイメージ

 

3.数次相続のトラブルとその対処方法

数次相続が起こるとどんなトラブルになりやすいのでしょうか。解決方法と合わせて考えてみましょう。

(1)分割協議が複雑になっていく

数次相続で問題になりやすいのは、相続人の数がいたずらに増えていってしまうことです。例えば、父親の遺産分割協議が終わらないまま長男が亡くなったケースはどうでしょう。長男は父親の相続人となっていますので、長男が持っていた相続権は彼の相続人、つまり配偶者と子供に引き継がれます。この場合、他の兄弟たちは父親の遺産分割協議を長男の配偶者と子供を加えて行わなければなりません。

これが代襲相続の場合は、遺産分割協議に長男の配偶者が加わらないところがポイントです。もちろん、長男が亡くなる前に父親の遺産分割協議が終了していれば、長男の遺産を配偶者と子供で分割すれば良いだけですので、他の兄弟たちには影響しません。

(2)前もって想定しておくことで回避できることも

人がいつ亡くなるかは予め決められることではありません。その意味では数次相続はいつ起こってもおかしくないと言えます。しかしながら、前もってそうした事態を想定しておくことで回避できるトラブルもあります。相続が発生したら放置しないできちんと分割協議をして次世代に受け渡すことももちろんですが、相続が発生する前に分割を大枠で決めておくことで分割協議にかかる時間を短縮することも予防策となります。

4.まとめ

こうして考えてみると、決して他人事とは言い切れない数次相続。特に不動産などの分割しづらい資産が多い場合は、分割協議に時間がかかることが予想されます。今できることをしっかりやることで、遺族への負担を減らすことができるはずです。

 

2019年6月4日
text by 久保田 正広
FPバンク

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