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2019.11.21
ライフプラン

令和元年、公的年金の財政検証をどう読むか?

5年に1度の年金財政検証。令和元年の年金財政にはどのようなことが書かれているのでしょうか?公的年金の仕組みも確認しながら、最新の年金財政と今後の見通しについて確認しておくことは、今後の老後資金を考える上でも重要になってくるでしょう。

1.年金の仕組み

(1)賦課方式の年金制度とは?

現在の日本の年金制度は「賦課方式」を基本としています。年金制度の発足当初は、将来の給付に必要な原資を積み立てる「積立方式」でした。しかし、積立方式ではインフレにより、積立金の価値が減ること等、年金額の維持が難しいため、その後、世代間扶養の仕組みを取り入れた賦課方式へと移行し、現在に至っています。

(2)賦課方式による年金の仕組み

この賦課方式では、現役世代が納める保険料をその時の公的年金の主な財源としているため、少子高齢化が進み現役世代の人数が少なくなると、公的年金の財源となる保険料収入が減少し、年金給付である支出とのバランスが悪化する可能性があります。そこで、どんな仕組みを取り入れているかというと、収入となる保険料率を固定し、その固定された財源の範囲内で給付水準を調節するのです。簡単にいってしまえば、現役世代が支払う保険料の総額が減少したら、国の支払う年金もそれに合わせて減少させますよということです。このようにして、給付と負担のバランスがとれるようにしているのです。

2.財政検証とは何か?

(1)将来にわたる給付と負担のバランスを検証

年金財政に影響を与える主な要素は「人口動向」と「経済環境」です。人口動向を確認するものとしては「出生率」、「平均余命」等があります。経済環境としては「物価上昇」、「賃金上昇」、「運用利回り」などがあります。
財政検証とは、この年金財政に影響を与える要素である、人口や経済の今後の見通しについて、様々な前提条件から将来の試算を行いながら検証をしていきます。しかし、時間がたつにつれて、現実とのズレが生じることは避けられないため、5年に1回の頻度で修正を加えていくのです。いわば、年金財政の定期的な健康診断なのです。

(2)所得代替率とは?

財政検証の報告をみていくと「所得代替率」という見慣れない言葉がでてきます。これは重要なキーワードなので、解説をしておきます。所得代替率とは、年金を受給し始める時点の年金額が現役世代の手取り収入額(賞与込み)と比較して、どのくらいの割合かを示します。年金財政においてはこの所得代替率が50%以上とすることとされています。所得代替率が50%とは、その時の現役世代の手取り収入の50%を年金として受給するということになります。日本の人口動向を踏まえると、将来の年金受給についてはこの所得代替率の低下は避けられないといえるでしょう。

3.令和元年の財政検証は?

(1)30年後の年金財政はどうなるか?

さて、今回の財政検証の内容を少し覗いてみましょう。財政検証は経済成長や労働参加がどの程度進むかによって良いケースから悪いケースまで、6つのケースに区分されています。年金財政の長期目標は所得代替率を50%以上で維持することにあります。おおよそ30年後に50%を維持できるケースは6ケースのうち3ケースです。注目は経済成長しても、その力強さが弱いと所得代替率50%は維持ができないということです。平均寿命が延びることは今後の日本においては避けられません。平均寿命の延びは年金財政にとってはマイナスです。よって年金受給額を維持していくためには平均寿命の延びのマイナスを別なところで埋める必要があります。それを、政府は経済成長と労働参加を進めることで成し遂げようとしているわけです。

(2)財政検証を受けて、今後何をしていくべきか?

今回の2019年財政検証結果から分かることは、どのケースを取っても、公的年金の長期的な見通しとしては、世帯での所得代替率が50%という値が一つの目安となる点です。残りの50%については個人年金やIdecoなどといった私的年金と組み合わせて自助努力で老後資金の準備を考えることが必要になってくるでしょう。ゆとりある老後を目指すためには早めの準備が重要となりそうです。

4.まとめ

5年に1度の年金財政検証ですが、財政の改善をしていくためには経済成長と労働参加が必須でしょう。労働参加は女性の社会進出の効果もあり、今後も進んでいくと思われます。また、退職後に働く人も多くなっていくでしょう。そうした想定であったとしても、長期的に所得代替率は50%まで減少していきます。老後資金の自助努力と早めの準備が重要でしょう。

2019年11月21日
text by 久保田 正広
FPバンク

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