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2020.7.20
資産運用・投資

老後2,000万円問題とは何か!?

こんにちはFPバンク編集部です。

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の出した「老後2,000万円問題」が物議をかもしました。老後はいったいいくらあれば十分なのか?

「いきなり2,000万円準備しておけと言われても・・・どうやって!?」って思ってしまいます。

そこで今回はファイナンシャルプランナーが老後資金を準備するコツも解説します。
老後資金の準備の仕方がわかると、老後への漠然とした不安も払拭できます。

老後資金に少し悩んでいる方は内容を是非チェックしてみてください。

1. 老後2,000万円問題とは?

(1)老後2,000万円の根拠

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書から老後2000万円という言葉が世間を席巻しました。

老後は年金の他に夫婦二人で2000万円必要という内容なのですが、どうして2000万円だったのでしょうか?まず、金融審議会は以下のような前提条件を提示しています。

①夫65歳・妻60歳
②老後期間を30年間とする
③家計収支が毎月▲5.5万円

この①~③の前提で計算をすると老後30年間では▲5.5万円×12ヵ月×30年間=▲1,980万円となり、約2,000万円程度、資産を取崩す計算になります。

これが老後2,000万円の計算根拠になります。

(2)人生100年時代

日本人は世界有数の長寿国です。
1950年頃の男性の平均寿命は約60歳でしたが、現在では男性が約81歳、女性が87歳まで伸びています。

老後2,000万円の計算根拠では老後期間を30年間という前提としていますが、今後ますます長寿化は進展していくと予想されますから、妥当な期間といえそうです。

家計収支が毎月▲5.5万円というのもあくまで平均値。自分の生活水準を確認し、老後の毎月の収支はいくらになるか、それによって2,000万円よりも少額になる人もいれば高額になる人もいるのです。

(3)ライフスタイルの多様化

これまでの日本人のライフスタイルは大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め、退職後は退職金と年金で過ごすという標準のライフスタイルがありました。

しかし、このライフスタイルは徐々に標準的なものにならなくなってきています。

例えば、生涯未婚率が年々上昇傾向にあり、単身の世帯も増加しています。
そのため、結婚や出産などもそもそも経験しない人が増えているのです。

他にも、転職も以前に比べ増えており、定年まで一つの会社に勤めるというケースも少なくなっています。

<関連コラム>ほんとうに必要な老後の生活費、その平均はいくらなのか?

2. 年金はいくらもらえるか?

(1)会社員

①夫:会社員 妻:専業主婦
統計データなどのモデルとしてもよく利用されるケースです。妻がパートで働いており、夫の扶養に入る場合もこのケースに該当します。夫は厚生年金ですが、妻は国民年金のみとなります。

妻が結婚前に加入していた厚生年金の加入期間があれば加算されます。
もらえる年金額としては平均で月額20万円台前半といったところです。

②夫:会社員 妻:会社員
夫婦共に正社員で働いている世帯では、夫婦共に厚生年金となり、年金が一番恵まれている世帯と言えるでしょう。

勿論、老後の年金額は現役時代の給与水準と勤続年数によって変動をしますが、厚生年金が二人というのは心強いです。

年収や勤続年数にもよりますが、夫婦共働きとすると月額20万円台後半~月額30万円を超えるケースもでてきます。

(2)個人事業主

夫:個人事業主 妻:専業主婦
夫婦共に国民年金のみとなります。満額でも月額約13万円にとどまります。厚生年金以外で老後資金の準備していく必要があるでしょう。

ただし、自営業の方は定年がありません。健康であれば働き続けることができるという見方もできます。

3.老後資金をどう準備するか?

仮に老後2,000万円が必要として、どのように準備するかが重要になってきます。

2,000万円を30年で貯めようとすると、2,000万円÷30年÷12ヵ月≒毎月5.5万円となります。
毎月5.5万円とすると中々厳しいなあーという人もでてきそうです。

銀行に預けて増やしてもらうというのもひと昔前は可能でしたが、今の定期預金の金利は0.002%です。
100万円を預けて1年後に20円の利息です。預金だけで2,000万円を作ることはなかなか難しい時代です。

そこで国も国民に老後に向けた資産運用の推奨を始めるようになりました。
ただ、その一方で投資教育をほとんど受けたことのない日本人にはハードルが高いことも事実です。

ここではまず、資産運用で失敗しない3つのルールを解説します。

(1)分散投資

投資の世界にある有名な言葉に「卵を一つのかごに盛るな」という言葉があります。
卵を一つのかごにすべて盛ってしまうとそのかごが落ちてしまった場合(下落した場合)、そのかごに入れていた卵がすべて割れてしまいます。

いくつかのかごに分けて卵を入れておけば、たとえ一つのかごが落ちた(下落)としても他のかごに入れていた卵は守ることができるということです。

投資における分散には資産クラスの分散(国債・株式等)・地域の分散(日本・アメリカ・ヨーロッパ等)銘柄の分散などがあります。

(2)時間分散

時間を分散する手法の代表的なものとしてドルコスト平均法という手法があります。
ドルコスト平均法とは毎月一定額の量買付けをすることで、一括で購入するよりもリスクを減らせ成果が上がるという手法です。

この手法を使うことで、安いときには多く購入し、高いときには少なく購入するという投資が続けられます。

(例)投資元本24万円
• Aさんは24万円一括で購入
• Bさんは3万円ずつ8回に分けて購入(ドルコスト平均法)

ドルコスト平均法

≪8回目の購入直後のそれぞれの評価額≫
• Aさん・・・総購入口数:  24口、評価額19万2,000円 
• Bさん・・・総購入口数:31.15口、評価額24万9,200円 

同じ相場でも一括で購入したAさんは▲48,000円。
毎月一定額ずつを購入したBさんは+9,200円という結果になりました。

このように時間を分散して一定額ずつ購入すると、相場の下落があった場合、一括購入では損失が出るのに、分散では利益のでるケースがあります。

(3)長期投資

投資では長期というと10~15年超を差します。
長期間の保有をすることにより、一般的にリスクは軽減されます。

5年程度の短期間の相場ではプラスになるときもありますが、一方でマイナスになるケースも多いです。

例えば、ニューヨークダウ平均という指標をご存知でしょうか?

ニュースなどでも日経平均株価と並んで掲示されていますから、見たことのある方も多いと思います。

20年前のニューヨークダウの価格は約10,000円です。現在は約25,000円になっています。20年で資産が倍以上になったわけですが、この期間にリーマンショックやギリシャショックなどの金融危機もありました。

長期の投資ではこうした一時的な相場下落を吸収してしまう効果があります。目先の損得ではなく長期的な視点が必要になります。

<関連記事>投資信託初心者が知るべきこと

4.非課税制度を有効に活用する

(1)つみたてNISA

つみたてNISAとは一定の投資信託を非課税で運用することのできる制度です。
年間の上限40万円で20年間非課税になる制度です。通常、金融商品を運用して利益が出れば約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAの場合は非課税となります。

いつでも引き出しができるという点も使いやすい制度といえます。
制度の仕組み上、まとまったお金での運用はできませんが、投資の基本ルールである「分散投資」、「時間分散」、「長期投資」を網羅できる制度といえます。

(2)iDeCo(個人型確定拠出年金)

確定拠出年金とは国の年金制度に追加して、不足する老後資金を補うために作られた個人年金制度です。会社で既に制度のある企業も最近は増えてきました。

サラリーマンの場合は厚生年金がありますが、これに追加して支給されるイメージになります。

一方、会社に確定拠出年金制度のない人はiDeCo(イデコ)に加入することができます。

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことです。銀行や証券会社で口座開設後、毎月一定の掛金を拠出し、定期預金や投資信託で運用します。

60歳以降に運用で得た利益とともに年金または一時金で受け取ることのできる個人年金です。
確定拠出年金は毎月の掛金の全額が所得控除の対象となり、その年に支払う所得税と翌年の住民税が安くなります。

つまり、節税の効果があります。

また、通常、運用で得た利益(利息や値上がり益)は、通常であれば、利益に対して約20%の税金が課税されます。

しかし、iDeCoは、運用している時にも、運用で増加した利益に対して税金はかかりません。

さらに、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除といって有利な税制が適用されるため、税金負担を軽減することができます。

毎月の拠出金額には限度があり、サラリーマンの場合、勤務先に企業年金が有りの場合は毎月12,000円、無しの場合は23,000円が上限となります。

注意すべき点は60歳前では一切お金を引き出すことができない点です。

しかし、老後まで時間のある方はつみたてNISA同様、投資の基本ルールである「分散投資」、「時間分散」、「長期投資」を網羅できる制度ですから有効活用をしたい制度です。

<関連記事>NISA、知らないと損する6つのデメリット

5.まとめ

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書から老後2,000万円というキーワードが世間を騒がせましたが、日本の長寿化を考えるとき、自分の家計が毎月いくらの収支なるのか把握が必要でしょう。

年金だけでは十分な老後資金を確保することが難しい場合、自助努力が必要ということになります。

少子化・高齢化がますます進んでいく日本では年金制度には今後、期待できそうにありません。

年金とは別に自分で老後資金を準備していかなければならないので、つみたてNISAやiDeCoなどの国の優遇税制を有効に活用していきたいところです。

2020年7月20日
text by 久保田 正広
FPバンク

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